Z世代は、1980年代後半から2000年代初頭に生まれた世代を指す言葉です。Z世代は、デジタルネイティブであることや、ソーシャルメディアの積極的な利用、スマートフォンやタブレットの普及による情報の迅速な入手性などが特徴として挙げられます。
今回はZ世代の新人教育はどのように行えばよいのか?Z世代新入社員の特徴や背景などを紹介していきます。
Z世代の育った時代背景
よく上司の立場から「Z世代は何を考えているのかわからない」という声を聞くことがあります。世代によって育ってきた社会環境は大きく異なるため、行動特性や仕事への価値観が違うのは当然です。
上司はZ世代の考え方に寄り添い、Z世代も相手に理解してもらえるように、前向きなコミュニケーションに努めることが重要です。もちろん、何事も最終的には人によって異なります。
したがって、ここで述べるZ世代の特性や、彼らが育った時代背景は一般的な理解を深めるためのものとして捉えてください。
自分らしさを重視した育成環境
Z世代は、学校でも就活でも「自分らしさが大事」と言われながら育ってきています。好景気時代を知らないZ世代は、将来に対して現実的であり、金銭感覚も保守的です。
ブランド品を持つことで、承認欲求を満たしていたZ世代の親の代にあたるX世代や、非日常的な贅沢を好むミレニアル世代とは異なります。
なりたい自分になるために学びや体験、趣味など自己投資にお金を使うことは惜しみません。彼らは「自分らしさ」を追求することを最も重視しています。
SNSにおける注目や評価への関心
SNSで「いいね」をもらい、注目されるかどうかにこだわりを持つように、自分が選んだものやスタイルが評価されることに関心があります。
お金や地位、権力といったものよりも、自分の価値を皆に認められることが、彼らにとって最も重要だと考えています。
Z世代に共通する特徴
Z世代の人格を形成する背景については前述の通りです。それではZ世代に共通する特徴を紹介していきます。
- 長期的な価値と貯蓄への関心
- プライベートと仕事のバランスを重視
- タイムパフォーマンスと効率重視の仕事スタイル
順番に見ていきましょう。
長期的な価値と貯蓄への関心
Z世代は、2008年のリーマンショックや2011年の東日本大震災など、幼少期に社会や経済の不安定さを目の当たりにしました。その経験から、彼らは社会問題に対して深い関心を抱き、他の世代に比べて保守的でリスク回避の傾向が強いと言えます。
また、彼らは貯蓄への意識が高く、長期的な価値や投資に着目する特徴があります。
プライベートと仕事のバランスを重視
Z世代はプライベートを犠牲にするような仕事を敬遠し、自己実現を重視するために仕事とプライベートのバランスを大事にします。仕事での成果を上げつつも、プライベートの時間を充実させることが重要と考えています。
タイムパフォーマンスと効率重視の仕事スタイル
Z世代は「お金」や「モノ」よりも「時間」に価値を見いだします。限られた時間をいかに有意義に使うか、つまり「タイムパフォーマンス」を重視します。
彼らはデジタル技術に精通しており、非効率な事柄を嫌います。上司から的確な指示があれば、効率よく仕事を進めることができます。
Z世代と上手く働くためには、彼らのプライベートを尊重しつつ、仕事の納期や求められる品質を明確に伝えることが大切です。
SDGsへの関心と社会貢献意識
Z世代は、持続可能な開発目標(SDGs)と深く結びついています。この世代は、環境問題や社会的公正、経済的公平などを重視し、これらの問題に積極的に取り組む傾向があります。
- 教育や社会の中でのSDGs学習
- 身近な社会課題への理解
- 理由と背景の説明重視
順番に見ていきましょう。
教育や社会の中でのSDGs学習
Z世代は学校教育の中でSDGsを学んだり、インターンシップで実際の企業の取り組みを知ったりと、SDGsに触れる機会が多い世代です。
幼少期から、地球温暖化、海洋汚染などの環境問題、そして少子高齢化による介護問題、東日本大震災などの自然災害などが身近にありました。そのため、社会貢献意識が強く、自社の活動がSDGsにつながっているかも重要視します。
身近な社会課題への理解
日頃の行動だけでなく、働く上でも社会貢献を重視する傾向があります。
また、仲間との一体感を重視するZ世代は、一緒に働く社員や社内の雰囲気、居心地の良さや働きやすさを考えた企業選びをします。
意見や価値観の押し付けを嫌う
Z世代は、意見や価値観の押し付けを嫌います。そのため、理由や背景を説明せずに一方的に指示を出すのではなく、しっかりと必要なことを丁寧に説明した上で、同じ目線でコミュニケーションを取ることが重要です。
Z世代は自分が手がける業務が何の役に立つのか、どのような意義を持つのかを理解したいと考える傾向が強いということも念頭に置いて接する必要があります。
Z世代の新人にはコーチング型の指導が有効
前述した通り、Z世代はデジタルネイティブとも称され、高度なITリテラシーを有しています。幼少期からインターネットが身近な存在であったため、彼らはITツールやSNSを自然と活用することができます。
情報収集の手段も多岐にわたり、「ググる」だけでなく、目的に応じて複数のSNSを使い分ける能力を持っています。
Z世代のこのスキルを効果的に仕事に活かすためには、上司の彼らへの接し方や指導法が重要となります。Z世代は、自己啓発を促すコーチング型の指導を受けることで、その能力を最大限に発揮することが可能です。
コーチングによる教育とは
従来はコーチングといえば主にスポーツの世界で、選手の技術面や精神面の向上を促すための手段として一般的に理解されていました。しかし最近では、ビジネスの現場でもこのコーチングのアプローチが取り入れられ、自らの思考力を用いて成果を出すことのできる社員の育成が求められています。
一方的な叱責や強制はNG
Z世代に対しては、一方的な叱責や、自分の思考や手法を強制するような指導方法、または相手の意見を無視するような接し方は、意図が思いやりから生じたものであっても、逆効果となり得ます。
これらの手法は、彼らのやる気を損なう可能性があり、自己抑制の結果としてミスを増加させるか、または指導者への不満が蓄積し、退職へと繋がるかもしれません。むしろ、指導者としては新人に対して「自信を持たせ、自主性を引き出し、自分の考えで主体的に行動する人材を育てる」視点から接するべきであり、その達成のためにコーチングの手法が必要となるのです。
コーチングの基本スキル
指導者は新人の話をじっくりと聞くことから始めます。新人の言葉を事実として受け入れ、信頼関係を築くことが重要です。「聞く」ことに専念し、評価は避けます。コーチングの基本スキルは「承認」「傾聴」「質問」「伝達」の4つです。
承認
承認には3つの要素があります。まず、相手の話や行動、感情をそのまま事実として認める存在の承認です。
次に、相手に変化があったときに、その変化を認めたり伝えたりする変化の承認です。
最後に、相手の成果が出たときに承認する成果の承認です。具体的な表現方法としては、うなずいたり笑顔を見せたり、相手と同じ言葉を繰り返したりすることが挙げられます。また、指導者が自身の所感を伝えることも重要です。
傾聴
指導者の役割は話を聞くことです。具体的な傾聴の方法としては、新人の話す速度や呼吸、トーンなどに合わせることが挙げられます。また、「なるほど」「うんうん」といった相づちやうなずきを使って相手に自分がしっかり聞いていることを伝えます。話を盛り上げるために、「それで」「ほかには」「具体的には」といったフレーズを使うことも有効です。そして何よりも、笑顔で接することが大切です。
質問
指導者が質問することにより、新人は自ら考え、答えを導き出そうとします。効果的な質問は考えを整理したり新たな発見を促したりします。質問は指導者自身が知りたいことを聞くためのものではなく、相手が気づきを得るための質問でなければなりません。
伝達
指導者は相手から感じたことを伝える必要があります。伝達は相手の成長を願って行うものであり、変えることができる要素について伝えます。ただし、身体的な要素や性格など変えることができないものについては伝えません。前述したように、「私は○○と感じました」という短く丁寧な口調で伝えることが重要です。
新人への「共感的理解」と「指導」
Z世代の思考を理解できない場合でも、彼らを見捨てず、対話を通じて理解を深めることが重要です。
相手を理解し指導するためには、「共感的理解」と「指導」の二つの観点を念頭に置いて接することが必要です。
- 相手の立場になって考える
- 相手の気持ちを想像する
- 相手の感情に寄り添う
- 理解したことを相手に伝える
- 具体的な「行動」に焦点を当てる
- 人格を否定したり、性格を非難しない
- 感情的にならない
- 状況に応じた指導をする
- 伝わったかどうかを確認する
- 相手の成熟度に合わせて指導する
忙しい中で人材育成・定着を図るためには
「新人を育てたいが、中小企業なのでそんな余裕がない」という声はよく聞きます。どの企業も、日々の業務に加えて人材育成と定着に向けた時間を見つけるのは共通の課題です。
日々の業務をこなしながらも、社員一人ひとりへの「フィードバック」を行うことが、人材育成と定着を実現する有効な手段です。あなたが日々の業務に目を配っていることを示し、適切に評価することで、社員の成長を促進します。
- 業務や報告に対するフィードバックを行うこと
- 新人社員の業務を適切に見守り、そのことを伝えること
- 新人社員をサポートし、尊重する姿勢を保つこと
- 具体的な行動に対してフィードバックを提供することの重要性を理解すること
- 意見を伝える際には、感情的にならず冷静さを保つこと
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Z世代が重視する「互助」や「貢献」の考え方は「周囲の力を借り、その借りた力を活かす」、「相手の期待に応えようとする」という行動につながるため、Z世代の強みとも言えます。しかし、コロナ禍でコミュニケーション量が減少し、上司や先輩社員との関係性が築きにくい職場においては、その強みが発揮しにくい可能性があります。
そのような状況の中、Z世代の「主体性」や「積極性」を引き出すためには、上司・先輩社員のZ世代に対する関わり方が非常に重要です。
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最後までお読みいただきましてありがとうございました。