新入社員の離職率低下を防ぐ!新人教育の方法を解説

新入社員の離職率低下を防ぐ!新人教育の方法を解説

少子高齢化社会で日本国内の人材不足が深刻化している中、中小企業・小規模企業者においては人材を確保することが至難の業となっています。

今回の記事では、新入社員の離職率を下げるために中小企業・小規模企業者で取り入れるべき、人材定着を図るための方法について記載します。

人材の定着は企業の存続にも影響を与えかねない重要課題

人材の定着は企業の存続にも影響を与えかねない重要課題

中小企業・小規模企業者における人材不足の状況の中、人材確保とあわせて人材定着が大きな課題となっています。

企業規模別の3年以内の離職状況を見てみると、企業規模が小さいほど離職率が高い結果が出ています。

大卒新卒の企業規模別3年以内の離職率

社員数3年以内の離職率
社員数5人未満56.3%
社員数5人~29人49.4%
社員数30人~99人39.1%
社員数100人~499人31.8%
社員数500人~999人28.9%
社員数1000人以上24.7%

(厚生労働省)新規学卒就職者の離職状況を公表します

上記データからもわかるように、社員数30人未満の企業は、10人採用しても3年以内には半数が離職します。

少子高齢化社会で日本国内の人材不足が深刻化している中、中小企業・小規模企業者においては人材を確保することが至難の業となっています。

そのため、いかに離職率を下げ(戦力として、会社に定着してもらい)、生産性を上げていくかを考えることが重要です。社員を離職させず育てることができれば、会社の成長にも良い影響を及ぼすことができます。

そもそも、なぜ離職してしまうのか?

なぜ離職してしまうのか?

厚生労働省が発表した「雇用動向調査」によると、離職の原因の上位には「職場の人間関係」「労働時間、休日等の労働条件」「給料等収入」に関する内容が入っています。

全体の離職理由ランキングは下記の通りです。

離職理由ランキング
ランキング離職理由
1位職場の人間関係が好ましくなかった
2位労働時間、休日等の労働条件が悪かった
3位給料等収入が少なかった
4位会社の将来が不安だった
5位能力・個性・資格を活かせなかった
6位仕事の内容に興味が持てなかった

(厚生労働省)令和2年雇用動向調査結果の概要

新卒や若手社員の離職理由ランキングは下記の通りです。

新卒や若手社員の離職理由ランキング
ランキング離職理由
1位仕事が自分に合わなかったため
2位人間関係がよくなかったため
3位労働時間、休日、休暇の条件がよくなかったため
4位賃金がよくなかったため
5位ノルマや責任が重すぎたため
6位自分の技能・能力が活かせなかったため
7位勤務先の会社等に将来性がないと考えたため

(内閣府)特集 就労等に関する若者の意識

早期離職が発生すると、採用コストや教育コストが無駄になったり、既存社員の負担が増加するなどの問題が生じます。

早期離職を防ぐためには、どのような対策が必要でしょうか?

就職ミスマッチの防止

早期離職をする主な原因は就職ミスマッチです。「思っていた仕事と違った」「聞いていた話と違った」などの理由で、多くの若者は早期離職を選択しています。
そのため、就職前に相互理解を深めておくことが重要です。

求職者には仕事の良い面ややりがいだけでなく、厳しさも伝えておくことが重要です。採用活動では、求職者に企業のことを知ってもらう取り組み(インターンシップなど)を取り入れることも推奨します。

人間関係の改善

「上司が仕事の進め方を教えてくれない」「上司に質問しにくい空気がある」「上司に認めてもらえない」などと感じて、精神的に孤立する新入社員は少なくありません。重要な点は、実態ではなく、本人がこのように感じていることです。周囲が気遣っていても、職場で孤立していると感じる新入社員はいます。

特にZ世代の新入社員には、つながりを感じられる仕組みを導入することを推奨します。例えば、社内SNSツールを導入し、スマートフォンのアプリなどを介して従業員間で小まめに感謝や称賛の気持ちを伝えるようにします。

業務を手伝ってもらったときに「ありがとう」、研修を終えたときに「お疲れ様」などのメッセージを送れるため、忙しいときでも目に見える形で本人へ働きかけることができます。

労働条件の改善

「有給休暇が取りにくい」「残業時間が長い」「サービス残業が常態化している」「入社時の雇用条件と異なっている」など、労働条件が合わず早期離職を選択する若者も少なくありません。

内閣府が平成29年度に行った、「子供・若者の意識に関する調査」によると、「仕事よりも家庭・プライベート(私生活)を優先する」と回答した者は63.7%であり、近年の傾向としてワークライフバランスを重視する人が増加しています。

また、コロナ禍で「働き方」を考え直す人も増え、若者に限らず社会全体としてワークライフバランスを重視する人が増加しています。仕事の内容よりも条件等で就職を決定している場合もあり、一概に企業側だけの問題ではありませんが、ミスマッチをなるべく減らすために入社前に伝えた労働条件と相違がないようにすることと、働きやすい職場環境を見直していくことが重要です。

不満を解消する為におすすめの対策

労働条件への不満を解消するための対策として、在宅勤務等の新しい勤務制度の導入も効果的です。給与への不満に対しては、単純に賃金を上げる、という直接的な対策も考えられますが、福利厚生を充実させることも解消につながります。

離職による企業へのデメリット

離職による企業へのデメリット

社員の離職率が高まることは、企業にどのようなデメリットを与えるのでしょうか。
学卒の新入社員に限らず、離職率の高さは採用や教育のコスト面などを始め、企業にとって様々なデメリットをもたらします。

  • ノウハウが蓄積しない・流出する
  • 企業のイメージが下がる
  • 採用・教育コストがかさむ
  • 既存社員のモチベーションが低下する

それぞれ見ていきましょう。

ノウハウが蓄積しない・流出する

社員が継承していくことによってノウハウや知識は受け継がれて、企業は進化していきます。しかし、離職者が増えることで、業務に必要な技術やノウハウを積み上げられないことや業務効率が改善されないでしょう。

新しく社員を雇い入れるたびに既存社員は新人教育に時間を取られて、業務の作業効率を上げることに注力できず、生産性も上がりません。また、自社にしかない特別な技術が漏洩してしまう可能性もあります。

企業のイメージが下がる

新しい職場を探すときに「離職率」に着目する人は少なくありません。その理由は、離職者の少なさは職場での働きやすさを示す指標となるからです。

また、離職率が高いことで「社員を大切にしない企業ではないか」といった印象を与えてしまいます。離職率が高くなると求める人材を逃してしまう可能性も高まるでしょう。

採用・教育コストがかさむ

求人広告費や人事業務に含まれる人件費を始めとして、選別や面接に費やす時間や労力もコストそのものです。

また、新入社員には1日も早く戦力になってもらうために、費用や時間を投資をしますが、1年・2年などの短い期間で辞められてしまうと、今まで費やしてきた費用と時間は損失に変わります。離職率が高くなることにより、必要以上にコストがかさむことになります。

既存社員のモチベーションが低下する

見落としがちですが、離職率の高さは「既存社員のモチベーションの低下」にもつながります。

離職率が高い状態が続くと「自社は人材を大切にしていないのか」「人が離れるような問題を抱えているのか」と、社員間で組織に対する不信感が広がります。

離職率上昇の連鎖を引き起こす上に、パフォーマンスの低下による業績悪化にもつながるため、企業成長において大きな悪影響を及ぼすでしょう。

新入社員の定着率向上のためには「教育」が重要

新入社員の定着率向上のためには「教育」が重要

新入社員への適切なフォローを行うことによって、即戦力となるための能力を身につけながら企業への定着を高めることができます。

新入社員を定着させるための「教育」には下記のような方法があります。

  1. メンター制度の導入
  2. 新入社員研修、フォローアップ研修の実施
  3. 部門交流ランチ会の実施
  4. キャリアアップ支援

新入社員へのフォローの方法や、得られる効果を以下に記載します。

メンター制度の導入

メンター制度とは新入社員と比較的年齢の近い社員を、業務やプライベートにおけるさまざまな相談相手として割り当てる制度のことです。

担当のメンターがいることで、新入社員は精神的に安定しやすくなるだけでなく、疑問が生じた際にもすぐに解消することができます。

新入社員研修、フォローアップ研修の実施

学卒新入社員には、入社後「新入社員研修」を行うことを推奨します。

自社で実施できる担当者がいない場合や、時間的余裕が無い場合は、外部教育機関を活用しても良いでしょう。新入社員研修では、以下のような内容を新入社員に学ばせることを目的とします。

  • 社会人への意識変革
  • 社会人に必要な考え方、知識の習得
  • 企業、職場の理解
  • 一般的なビジネススキルの習得
  • 仕事で必要な専門性の習得

「フォローアップ研修」は入社から2~3か月後、6か月後、1年目の後半などに実施します。
入社後の研修で学習したことを実際の業務に活かす中で生じたギャップなどについては、フォローアップ研修でもう一度確認します。

部門交流ランチ会の実施

新入社員が他部門の先輩社員とランチの約束を取り、お互いに交流を深めることを目的としてランチを活用する方法です。ざっくばらんな会話を通じて、自社に対する理解も深まり、モチベーションアップにつながります。

また、ランチを通して、その後の会計処理やお礼メールなどの対応を学ぶことで、社会人としての基礎を学ぶこともできます。堅苦しい面談とは違い、食事をしながらコミュニケーションがとれるので、相談しやすくなるのがポイントです。

キャリアアップ支援

入社後しばらくして社内の雰囲気や自社を取り巻く環境がみえてきた新入社員は、「自社にとどまっていて将来の自分は大丈夫だろうか」と考えます。キャリアアップを理由とした離職者の割合は、年齢が高くなるほど多くなる傾向にあります。

新入社員がキャリアについての不安を持たないようにするためには、新入社員がスキルを身につけることができる、計画的な教育訓練のキャリアアップ支援制度を準備することが重要です。

「人が育ち、定着する職場づくり」に向けて

「人が育ち、定着する職場づくり」に向けて

中小企業・小規模企業者においては、学卒新入社員の採用は採用計画に則り、募集・採用から育成・教育までのプロセスを標準化させることが重要です。
   
新入社員は企業の将来を担う大切な人材であり、さまざまな研修カリキュラムを企画して、新入社員の教育・キャリア形成に力を入れようと考える企業は多いでしょう。 

しかし、「指示されたことはできるが、自ら考え行動することができない」「新しいことに挑戦する意欲が低い」「社会人としての基本的な常識やマナーが身についていない」「社員のスキルが停滞してしまっている」と感じている企業も少なくありません。

これらの問題は自社だけでは解決できない場合もあります。
その際には、外部教育機関も活用し、場当たり的な教育ではなく「人が育ち、定着する職場づくり」に向けて企業成長に役立つ人材育成の方法を、幹部・管理職から理解・浸透させていくことも良いでしょう。

社員の能力は企業の業績に大きく影響します。企業が安定して成長するためには、有能な人材を育て、確保し続けることが重要です。そのためには、人材育成が欠かせません。

人材育成には、離職率を抑える意図もあります。成長環境が整っていれば、社員は「自社で頑張りたい」「自社は将来の見通しが明るい」と考え、企業への愛着も高まるのです。

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