新人研修は必要?適切な研修を受けた際の変化や重要性を徹底解説

自社に入社したての新入社員を、戦力となる組織の一員として成長させるためには、新人研修(新人社員研修)が欠かせません。新人研修は、その名の通り新卒社員・中途採用者を含む自社への新入社員向けの研修です。

企業の人事担当者の中には、「新人研修 内容」「新人研修 方法」などのワード検索で世の中の情報を収集されている方も多いことでしょう。
インターネットで簡単に情報収集できる世の中では、新人研修の実施目的や学習内容、流れ・カリキュラム、実施計画についても、誰もが「理解」できていると考えます。

しかしながら、具体的な行動計画に落とし込み、行動変容を促して、定着させられるような新人研修を実施できている企業は少ないのが現状でしょう。

このコラムでは、簡単に情報収集できるような新人研修について説明するのではなく、新入社員をどのように自社で活躍させること・輝かせることができるか、という点に着目していきます。

新人研修の変化と中堅社員研修の重要性

新人研修の変化と中堅社員研修の重要性

新人研修には「社会人として必要なスキル・知識の習得」「新人の早期戦力化」といったスキル面の強化と「早期離職の防止」というエンゲージメントを高めるメリットなどがあります。

withコロナ時代の新人研修

従来の新人研修は集合型・対面型で行われることが当たり前でしたが、2020年以降のコロナ禍においての新人研修は、オンライン研修オンラインを活用した個別学習+集合研修の組み合わせ(ブレンディッドラーニングやハイブリッド研修と言われることもあります)など、非対面型のオンライン研修も一気に普及しました。

今後、withコロナ時代に向けてオンライン新人研修と集合研修のそれぞれのメリットと特徴を生かした研修プログラムを考えていくことが求められています。

中堅社員の研修も重要

また新人研修と同時に、中堅社員の研修を実行することも重要です。
指示通りに進めるという思考から、中堅社員として今後組織の中核を担う存在になるための思考に変化をしていただきます。

つまり、指示をこなすだけではなく、新入社員を一人前に育てていく人財育成の役割を担えるように中堅社員を育成していくことが必要です。

コロナ禍において、2020年・2021年は学校もオンライン授業、就職活動でもオンライン説明会・オンライン面接・入社直後からリモートワークというように、世の中で非対面が推奨されていましたので、先輩社員とのコミュニケーションという点においては課題も発生しています。

このような社会情勢を踏まえても、新入社員だけでなく中堅社員も育成していく(鍛えていく)必要があるのです。
そして、中堅社員には、部下や後輩を育成していく上で、自分がこれまで当たり前に、意識せずに行っていたことや、感覚的に行っていたことを整理し、部下や後輩に伝わるように言語化する能力も求められます。

新人研修が必要な理由

新人研修が必要な理由

新人研修が必要な理由について書いていきたいと思います。まず下記2点が挙げられます。

  1. 人財の確保
  2. 戦力の向上

それぞれ見ていきましょう。

人財の確保

新人研修を行うことで、企業は戦力となる人財を確保できます。昨今の国内の労働人口は減少傾向にあり、人財の確保はどの企業も急務とされています。積極的に新人研修を行うことは、離職率を下げる効果を期待できます。

現代の求職者は、「研修制度が整っている企業で働きたい」と回答する方も多数いるなど、研修の有無が企業選びの要素の1つにも挙げられます。優秀な人財を育て長期的に活躍してもらうためにも、新人研修は欠かせません。

戦力の向上

企業の戦力を上げるためには新人研修に力を入れる必要があります。組織の一員として迎え入れるために新人研修を行うことで、企業の戦力の底上げにもなります。また、新人は中途採用の人財よりも企業風土になじみやすい傾向もあります。

新入社員の思考や行動の変化

新入社員の思考や行動の変化
時代の変化とともに年々新入社員の思考や行動は変化しています。

ネット検索で情報を得てきた世代

昨今の新入社員は、幼少期から情報化社会で育ったため、ネット検索ですぐに情報が得られます。そのため「すぐに答えがほしい」と考える傾向にあり、実際にネット検索で情報を得てきました。

しかし、ここで注意すべきことは、知識があることと、実践に移すこととは異なります。新入社員はネット検索によって知識を得ただけでも「できる」と思い込んでいる場合が多分にあるのです。

そのため、研修内でビジネスマナーなどを実践する場合は、理論や事例を説明する前に新入社員にその場で実践させてみてください。恐らく、実践には移せないでしょう。新入社員に「知識があることと、実践に移していることは異なる」ことを理解させることで、研修への参加の仕方が変化するでしょう。

意識変化、意識改革に繋げる研修が大切

新入社員においては、必要なスキルや知識を身につける研修では、企業の戦力とはなりません。最も重要な要因になるのが、意識変化意識改革に繋げる研修をすることです。その上で、自社で新人研修を行う予定の人財(以下、研修トレーナーと言う)が、「人に影響力を与えられる人財であるか」「人の意識を変えられる力を備えた人財であるか」を見極める必要があります。

情報が溢れている現代においては、研修の価値は「研修トレーナー」の影響が大きく、単に知識や情報を提供するだけであれば、費用対効果を考えた場合、新人研修をOff-JT(※1)で行わず、OJT(※2)で実施し続けたほうが成果に繋がる場合もあるのです。

Off-JTとOJT

※1 Off-JTとは
Off-the-Job Trainingの略。職場や通常の業務から離れて、時間や場所を取って行う教育・学習のことです。座学で行われる研修がメインで、多様な知識やスキルを体系的に学習できます。

※2 OJTとは
新入社員などを育成する上で、現在多くの企業で取り入れられている手法が「OJT」です。 OJTは「On The Job Training」の略。 主に先輩社員が後輩に対し、業務を実践しながら知識やスキル等を教えていくやり方です。

適切な新人研修を行った場合、行わなかった場合

適切な新人研修を行った場合、行わなかった場合

研修トレーナーとして適切な人財が新人研修を行った場合と、能力が伴わない研修トレーナーが行った場合とを比較して、その後どのような変化が出てくるのでしょうか。

大きく5つに分けて記載します。

  1. 企業理念の理解と浸透
  2. 事業内容や組織の理解
  3. 学生から社会人への意識変革(マインドセット)
  4. 社内での人脈形成
  5. 社内ルール・コンプライアンスの徹底

順番に見ていきましょう。

1. 企業理念の理解と浸透

企業理念の重要性を理解して、行動指針(バリュー)を現場で実践させていくことを新人研修の中で重要事項と位置づけています。新入社員が企業理念を正しく理解することは、帰属意識の醸成にも影響します。

企業理念とは、企業が大切にする考え方や価値観・存在意義などを言葉に表したものであり、全従業員が共有し、企業における行動や意思決定の基準になるものです。

理念は言葉だけの理解ではなく働きながら身につけていくものでもあり、明確な行動指針を持って、企業理念に基づいた判断・行動ができているかどうか定期的に振り返りを行うことが重要です。

新人研修を正しく行えなかった場合

上記思考を新入社員が自ら持ち合わせることは非常に難しく、新入社員は「企業」ではなく「個人」の判断基準で行動することになるでしょう。

2. 事業内容や組織の理解

新人研修では、配属先の担当業務だけでなく、企業全体の理解を深めることも重要です。各事業の内容や組織を理解することで、社内にどのような部署や業務があり、どのように連動して、自分がどのポジションに位置し、何をすべき部署・役割なのかが明確になります。

また、自身の製品やサービス、取引先や社会的な役割・貢献度などを知ることにより、自社への愛着心や誇りを育むことにも繋がるでしょう。

新人研修を正しく行えなかった場合

自部署の業務内容や業務工程は理解できても、自社が世の中に何を価値として提供し、評価をされているのかを、新入社員が説明することはできないでしょう。

3. 学生から社会人への意識変革(マインドセット)

新人研修には、学生(気分)意識から、社会人(プロフェッショナル)としての自覚を持ち、思考を切り替えるための研修も欠かせません。学生と社会人の違いを明文化することや仕事や責任とは何か、組織で働く意味、ビジネスマナーなど、全てに意識改革が必要です。

また、配属後、円滑に業務スキルの習得に集中できるよう、名刺交換や電話応対、PCスキル(社内システムの使い方)などを新人研修で時間を取って行う場合もあります。詰め込むだけの知識ではなく、社会人基礎力を身につけるロールプレイングなど、行動が伴う実践的な研修も効果的でしょう。

新人研修を正しく行えなかった場合

個人の生まれ育った環境で得た知識、個人の価値観で物事を判断し、その後の技術の理解や習得も属人的になることが予測され、成長速度に差が出ることが予測されます。

4. 社内での人脈形成

新入社員は内定後より、どのような同期ができるのか、どのような先輩や上司と一緒に働くのか、困った時には誰に相談すればいいのかといった不安を抱えています。そのため、不安の解消に繋がる基本情報として、社内環境や人的ネットワークの構築の機会を提供してあげることも新人研修の目的の1つです。

同期との研修では、講義だけでなくグループワーク形式で取り組むと、より一層コミュニケーションが活発になります。同期と協力して課題に取り組むことで連帯感が醸成され、配属部署が別れた後も励まし合い切磋琢磨する良好な関係を築く機会にもなりますし、メンタルヘルスやキャリアなどプライベートなことを相談できる担当者と繋ぐことも重要です。

新人研修を正しく行えなかった場合

先輩や上司からは「今の新入社員は何を考えているのか分からない」という声が挙がり、新入社員同士でも消極的や否定的な発言に影響を受け、新入社員全体のモチベーションの低下や早期退職につながる恐れがあります。

5. 社内ルール・コンプライアンスの徹底

新人研修で、社内規範や規定、重要な機密情報の漏洩などを未然に防ぐ教育は徹底しておかなければなりません。これは企業の危機管理を目的とした重要な内容です。

多くの企業の実態として、専門部署に配属されない限り、コンプライアンスを学ぶ機会は少ないため、コンプライアンス遵守の意識は新人研修時に心に留めてもらう必要があります。

同時に社内独自のルールや報連相などの社内の常識についても理解を深めてもらいます。社内ルールの中には、企業文化によって独自の定義があり、新入社員には「古臭い」「面倒くさい」「自分もやらなければならないのか」という否定的な印象を持たれる可能性があります。また、機密情報に関しては、「そんなこともいけないのか」といった認識不足も多々あるようです。なぜそのルールが存在するのか、理由や背景も含め正しく理解ができるよう丁寧な対応が必要です。

新人研修を正しく行えなかった場合

新人研修を正しく行えなかった場合は、顕在化せずとも、今後の企業活動の中で大きな問題に発展する可能性がある不安要素を抱えながら経営することになりかねません。問題が発生してからでは遅いため、事前に対処し、リスク回避をするための施策を実行することは重要でしょう。

新人研修の重要性のまとめ

新人研修の重要性のまとめ

新人研修の重要性について、ご理解いただけましたか。新人研修を受講する社員は、新人研修を受講した後で、初めて業務理解に努めることを推奨します。

配属先の業務に必要な知識、技術に関する研修は、実践的なスキルを身に付けることが目的ですのでOJTで強化できるでしょう。

しかし、その基礎となる「思考」を新人研修で形成しない場合は、新入社員のOJTに臨む意識や姿勢は「受け身」であり、自己概念や自己の判断基準で臨むため、成長速度に影響します。

新入社員をどのように自社で活躍させること・輝かせることができるか、という点に関して、一言で表すと、「新入社員の意識改革ができる研修トレーナーが、新入社員に気づきを与え、行動計画を立てさせ、実行させて、継続させる」ことが重要です。

その過程で得られた、思考、行動、技術により、新入社員が2年後、3年後、どのように成果を出し、活躍できるかが決まります。研修トレーナーに適した教育責任者が社内にいない場合は、専門家に依頼し、正しい指導や教育体系を構築する必要があると考えます。

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