人事評価制度がなぜ機能しないのか?導入における課題や注意点とは

人事評価制度の導入における課題

「自社に人事評価制度はありますか」と質問をさせていただくと、「あります」と回答される企業様は多くいらっしゃいます。続けて、「自社の人事評価制度は機能していますか」と質問をさせていただくと、「いいえ」と回答される企業様が多くございます。

「いいえ」と回答された企業様からは

  • 「複雑すぎて理解できておらず、正しい運用はできていません」
  • 「人事評価制度を何のために実施しているのかが分かりません」
  • 「経営陣が外部のコンサルを導入して、人事評価制度をつくりました。社員の私たちには説明もなく、私たちは理解をしていません」

といった声などがございます。
なぜ人事評価制度が上手く機能出来ていないのか?人事評価制度における課題について今回は記述していきます。

自社に適した人事評価制度を導入しているか

自社に適した人事評価制度を導入しているか

殆どの企業における人事評価制度は複雑すぎるのですが、何故そのようなことになっているのでしょうか。それは「自社に適した人事評価制度を導入していないから」です。

大企業と同様の人事評価制度を中小企業にも導入しましょうと提案されるコンサルの方がいますが、その組織に合致したものでなければ、効果を発揮することは愚か、逆効果になることもあります。言うなれば、郵便局の職員が郵便物の配達をするのにベンツは使わない、社員数10名未満の組織にデスクトップ型パソコンは100台もいらない、のと同じです。

つまり、適材適所があるということです。

クラウドソフトで人事評価制度を導入する?

最近はクラウドソフトで人事評価制度を導入する企業も増えてきました。クラウドソフトは活用の仕方によってはITの力を借りることで、人事評価制度の運用をスムーズに行える場合があります。

ここで重要な点が、人事評価制度は本来、「アナログで運用した場合にいかに簡単で円滑に運用できるか」ということです。身の丈に合っていない人事評価制度を導入してしまったが故に、人事評価制度の運用が複雑化し、時間と労力を取られ、人事評価制度の本来の目的が果たせていない企業様から弊社に相談をいただくことも多々ございます。

「形から入る」「器を用意する」という考え方を全面的に否定はしませんが、企業規模の増加に伴い、人事評価制度もその時々で改善していけば良いのです。そのため、従業員数が少ない時期、職種数が少ない時期に導入する人事評価制度は、簡単で円滑に運用できるものが望ましいです。

こんな人事評価制度には注意

人事評価制度には様々ありますが、必ずしも導入するだけで良い訳ではありません。例えば下記の様な場合は注意が必要です。

  1. 人事評価制度の策定を外部に丸投げ
  2. コンサル会社が型として用いている人事評価制度をそのまま自社に導入
  3. 評価者となる管理職への説明を行わずに経営陣のみで人事評価制度の策定を進める

例えば上記③の場合、人事評価制度の策定をしているときは、策定している経営陣たちからみるとそれほど複雑ではないと思えるのですが、人事評価制度の策定にかかわっていない者からみると「理解できない」ことが多いのです。

これは、料理を作っているとき味について「まだ薄い」「まだ薄い」と濃すぎる味付けにしてしまうのと同じで、経営陣本人たちは気づいていないのですが、初めて、その仕組みに触れた方にとっては「複雑すぎてわからない」となるのです。

人事評価の実施目的

人事評価の実施目的

人事評価制度の導入の前に、何故人事評価を実施するのか、その目的を理解しなければなりません。弊社では人事評価制度を簡単にお伝えすると「組織の目標を達成するためのツール」「人財育成に活用するためのツール」と捉えています。

以下に少し専門的な用語が含まれますが、人事評価の目的と概要を記載します。

人事評価では、社員の意欲や資質の向上、能力開発といった人財育成や、適材適所の配置などの適正な人事管理を実現し、「企業が活力ある組織としての総合力を発揮する」ことを目的としています。そのための制度が人事評価制度です。

この目的を達成するためには、以下の視点に立ち、制度の仕組みをより公正で信頼性の高いものとしていくことが必要と考えています。

  1. 人財育成・能力開発・意欲向上につながるものであること
  2. 評価結果を適正に人事・研修等に反映させること
  3. 評価結果の客観性・信頼性・納得性を確保すること
  4. 評価項目の見直し、評価基準の明確化を図ること
  5. 評価者訓練等の充実を図ること

評価の手法としては、「能力評価」(発揮した能力を把握)及び「業績評価」(挙げた業績をプロセスを踏まえて把握)を2つの柱として評価を実施します。

(1)「能力評価」

「能力評価」は、社員一人一人の能力、実績及び意欲を的確に把握し評価することにより、意欲や資質あるいは指導力を高める研修等、様々な場面での指導に生かすとともに、適材適所の配置等を進めるための人事上の資料として活用するものです。

(2)「業績評価」

「業績評価」は、指導・助言者である管理職(評価者)と一般社員の面談を通じて、組織目標と自己目標の整合性を図り、全社員の意識改革を促し、組織目標の達成を図ろうとするものであり、自己目標の達成度や達成に向けたプロセスを評価して次の目標に反映させ、仕事のレベルアップと職能成長を図ろうとするものです。

弊社では「業績が向上することは、能力も向上すること」というように、「能力評価」と「業績評価」は連動していると考え、民間企業として業績を伸ばして行くために、「目標管理」の手法を導入します。

目標管理の手法とは一般社員が自己申告により組織目標を踏まえた自己の職務遂行上の目標を設定し、管理者(評価者)との面談を通じて目標修正等を行い、一定期間経過後に職務の成果等についてその達成度や達成に向けたプロセスを把握し、評価する手法です。

この手法により、社員一人一人が自己の職務に責任を持ち、自主的・意欲的に職責を果たし、自らの資質と指導力の向上などを図るとともに、組織目標の達成に貢献できるようになります。

人事評価制度の運用

人事評価制度の運用

人事評価の目的と概要については、何となくご理解いただけたことでしょう。「企業が活力ある組織としての総合力を発揮する」ための「組織の目標を達成するためのツール」「人財育成に活用するためのツール」が人事評価制度です。

そして「能力評価」と「業績評価」の二軸で評価をするということを何となくご理解いただければ問題ございません。なぜなら、設計以上に運用が課題となるためです。立派な人事評価制度が完成しても、運用ができなければ何の意味もありません。

弊社では以下を支援することで、人事評価制度を企業に定着・職場環境に浸透させていきます。

  1. 社員説明会
  2. 評価者研修
  3. 人事評価制度のメンテナンス

特に上記①②が重要です。評価を受ける社員、評価をする社員が、人事評価制度の目的について正しく理解し、自社が目指すべき姿を把握した上で取り組む必要があります。

弊社では評価者に対しては、プロジェクト形式の研修会を実施していきます。

評価者が人事評価制度の工程を理解するだけではなく、管理職の役割とは何か、永続できる組織とはどのような組織か、モチベーションの管理術、時間管理と生産性の向上について、部下への権限移譲のステップ、上司部下とのコミュニケーション方法などを理解し、職場で実践できるようになることが重要です。

弊社では、トレーナーとして皆様の伴走者として、人事評価制度を企業に定着・職場環境に浸透させていくことを通じて「人財育成」を行っていくことが通常のコンサル会社と異なる点です。

人事評価制度の導入における課題のまとめ

人事評価制度についても、インターネットや書籍からも多くの情報を入手できる時代になりました。賃金制度に関して言えば、社会保険労務士の方や税理士の方に相談することもできますし、人事評価制度の策定をウリとしているコンサル会社も多数存在しています。

これから組織の規模拡大にあたり、また適切な人財育成を行われたい企業様は是非、人事評価制度は単に賃金を決めるためのものではなく、社員を育てて企業の業績を向上につなげる、経営戦略と連動したツールであることをご理解ください。

その上で、自社に適した人事評価制度の策定と運用、もしくは既にある人事評価制度の見直しと定着でお困りの企業様は、是非外部パートナーを頼っていただくことも視野に入れ、お考えください。

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