OJTを実施する際に大切な4つのポイント!考え方や注意点も紹介!

OJTの実施のポイント

人材育成は、職場を離れて実施する研修「Off-JT」、職場で行う「OJT」、従業員自身が行う「自己啓発」の3つが柱です。その中でも、職場で仕事を通じて行われる「OJT」は、日々の業務の中で個別に具体的な助言や指導が可能であり、人材育成の基本となるものです。そこで今回は、多くの上司が経験するであろう、OJTの実施のポイントについて記載いたします。

効果的なOJTの進め方

OJTの進め方

OJTでは、業務を通じて、教わる側(部下)の思考と業務に必要な能力や知識を高めていきます。教える側(上司)は、部下の現状を良く観察し、思考と業務に必要な能力を同時に高めていくという視点を持ってOJTを進めていくことが重要です。

初めに上司は、部下の思考と業務に必要な能力を観察し、それぞれが現在どのような状態なのか、それによりどのように教えていくのかを検討します【他者理解】。そして業務に必要な知識やノウハウを【説明】し、実際に実践で【任せ】、進捗状況や理解度に応じて【説明する】・【気づかせる】・【後押しする】ことを繰り返します。上記のサイクルを回すことで、成果を出す行動ができるようになります。

OJT実施のポイント① 相手を良く知る

OJTにおいては、相手に教える前の信頼関係構築に加え、相手を理解することがとても重要です。

求められているスキルや任せたい仕事をただ伝えるのではなく、相手の状況(業務知識や経験、取り巻く状況)を把握していくことで、相手にとっても効果的なOJTにつながります。そのためには、普段から下記の2点に気をつけて、相手のことを良く知ることが重要です。

観察すること

日頃から表情や態度、状況の変化をよく観察することで、言葉に表れてこない感情や行動のサインを見つけられるようになります。

相手の話をよく聴くこと

人は相談されると「アドバイスをしなければいけない」「判断しなければいけない」と思いがちですが、まずは相手の話を聴き切ることが非常に重要です。
職場で相手の話を聴く姿勢を持つことで、相互理解が進みます。

OJT実施のポイント② 指導する対象者のタイプ別に接し方を変える

リーダーシップに関する研究の中に、リーダーシップ状況論があります。その中の代表的な理論に、ハーシー&ブランチャードの「SL(Situational Leadership)理論」があります。

これは、部下・後輩の能力と意欲に応じて、有効なリーダーシップ・スタイルは異なるという考えです。この理論を使うと相手を4つのタイプに分けることができます。

SL理論で見るタイプ別部下指導のポイント

もし現在の指導が上手くいっていないと感じた時や、どのように接したらよいか悩んだ際には、指導する部下・後輩のタイプを考え、現在の状況により接し方を変えてみることも効果があるかもしれません。

委任型(能力が高く、意識も高い)

成熟度が高く、高能力、高意欲の相手には「委任型」の形をとります。
課題や進め方などはコーチングを使いながら本人が自発的に考えるように促し、意思決定、執行の責任など社員に任せていくことが効果的です。

参加型(能力は高いが、意識は低い)

成熟度が中程度で、高能力、低意欲の相手には「参加型」の形をとります。
コーチングを活用し、相手の発言や意見を引き出す会議やプロジェクトに参加させることも効果的です。

説得型(能力は低いが、意識は高い)

成熟度が中程度で、低能力、高意欲の社員に対しては「説得型」の形をとります。
理由・意義などを丁寧に説明し、有意味感を持たせ、本人ができるところは気づかせながら自主的に行動させていくことが効果的です。

指示型(能力が低く、意識も低い)

社員の成熟度が低い場合(低能力、低意欲)には「指示型」の形をとります。
何を、いつ、どこで、どのようにと具体的に説明し、その後任せることで行動しやすくさせる必要があります。

管理職はOJTを通じて、部下や後輩が「委任型」に成長していくことを目指しましょう。

タイプ部下・後輩のタイプ接し方
委任型能力が高く、意識も高い意思決定、執行の責任など社員に任せていく
参加型能力は高いが、意識は低い相手の発言や意見を引き出す会議やプロジェクトに参加させる
説得型能力は低いが、意識は高い本人ができるところは気づかせながら自主的に行動させていく
指示型能力が低く、意識も低い具体的に説明し、その後任せることで行動しやすくさせる

OJT実施のポイント③ 実際に教えたことを試す

OJTにおいて、上司が部下に、実際に教えたことを試させることが重要です。一度で全てできるようになることではなく、実際に試してみることで、イメージがより具体的になり、また理解度の漏れなどを相互に確認することができます。

教わる側の主体性を尊重し、また始めから完璧を求めずに何度も試させ、説明することを繰り返していくことで、教わる側は説明内容が腑に落ち、少しずつ実践できるようになります。

試させる上での注意点
  • 依頼内容を説明する
    依頼内容を説明し相手の理解度を高めます。
  • 必要な情報や判断基準を与える
    仕事を実施するために必要な情報や、迷った時の判断基準(相談先)などを伝えることで、行動しやすくなります。
  • 報告・連絡・相談のタイミングを確認する
    仕事の性質で報告のタイミングは変わりますが、教わる側任せにするのではなく、どのタイミングで報告や相談が欲しいか設定することが重要です。
  • 支援する
    仕事を任せた後は任せきりにせず、必要に応じて進行中の業務状況を確認・軌道修正を促し、責任を持ち、支援します。そして結果を振り返り、必要な知識を説明したり、気づかせるよう、働きかけます。

OJT実施のポイント④ OJTの課題分析を行う

いくら指導・助言をしても、上手く伝わらない、何も行動が変わらないと感じることは多々あることでしょう。以下に職場でよくある場合を事例として対応のヒントや職場の人材育成のポイントを紹介しています。

OJTで何か課題を感じたら、まずは以下の視点で多角的に分析してみてください。

OJTの課題分析ポイント
  • 相手に業務知識や経験があるか
    ⇒相手はどの程度業務の知識、経験があるか
    ⇒相手の立場に立った伝え方ができているか
    ⇒相手の理解度を確認しているか
  • 相手のことを理解し、尊重しているか
    ⇒相手にレッテルを貼っていないか
    ⇒相手の意図を尊重しているか
    ⇒感情的になっていないか
  • 職場全体で取り組めているか
    ⇒一人で抱え込んでいないか
    ⇒上司や先輩、同僚をいかに巻き込むか
    ⇒環境づくりはどのように行っていくか
  • 相手に必要な関わり方は何か
    ⇒一人で抱え込んでいないか
    ⇒上司や先輩、同僚をいかに巻き込むか
    ⇒環境づくりはどのように行っていくか
  • 相手に必要な関わり方は何か
    ⇒相手が期待される立場や役割は何か
    ⇒相手の気づきにつながらない、指導・助言を繰り返していないか
    ⇒相手はどのような支援を求めているのか

OJTは自社の型として浸透させていくのかが重要

OJTは自社の型として浸透させていくのかが重要

「OJT」は、研修の中でも実施時間が長いため、「OJT」をどれだけ自社の型として、浸透させて行けるかが重要です。まずは、OJT実施者が、OJT実施のポイント①~④をよく理解していただき、実践することが重要です。

「OJTについてどうすればよいか分からない」という方は是非Sトレにご相談ください。

OJT実施者にも負荷がかかりますが、長期的視点で捉えると、入社直後にしっかりと教え込むことがいかに重要であるかがわかるでしょう。日々の業務の中での指導の積み重ねを大切にしていかれてください。

あわせて読みたい記事