管理職に求められるリーダーシップにはフォロワーシップが重要!

管理職に求められるリーダーシップにはフォロワーシップが重要!

近年、リーダーシップに対する重要性の認識が高まり、次期リーダー候補となる中堅社員に対するリーダー研修の実施依頼が増えています。リーダー研修は、リーダーシップに必要な知識やスキルを習得するための研修です。

しかし、組織人事コンサルタントとして言えるのは、リーダー研修を受講したからといって、必ずしもリーダーシップが発揮できるわけではないということです。

このコラムでは、まずリーダーシップとは何か、リーダーとは何か、そしてリーダーシップに関連する考え方について解説した上で、管理職に求められるリーダーシップについて詳しく掘り下げていきます。

リーダーのイメージ

リーダーのイメージ

リーダーと聞いて皆さんはどのようなイメージを抱きますか?

世間のリーダーのイメージ
  • 「リーダーは人を惹き付けるカリスマ性がないと務まらない」
  • 「リーダーは皆を導き、引っ張っていくために必要な能力と才能を保持していなければ務まらない」
  • 「リーダーは皆の意見をまとめた上で、最終的に皆が納得する答えを出せなければならない」
  • 「リーダーは常に明るく元気であり、リーダーには皆を鼓舞する力が求められる」
  • 「リーダーは決断力があり、様々な状況に対して的確な判断をしなければならない」
  • 「リーダーはトラブルがあった際に責任を問われる」
  • 「リーダーは嫌なことがあってもへこたれない精神力が無ければ務まらない」

こんなイメージをされた方は多いのではないでしょうか。たしかに上記内容は間違いではないでしょう。

しかし時代の変化と世代の移り変わりにより、求められるリーダー像も変化しています。

現在はどのようなリーダーシップが求められているのか、見ていきましょう。

リーダーシップとは

リーダーシップとは、「個人やチームを指導し、目標達成に向けた行動を促す力」のことです。

リーダーシップを発揮するためには、ビジョンを設定し、社員のモチベーションを高め、問題を解決する能力が必要です。

ビジョンが明確であることは、社員のモチベーションを維持し、鼓舞するために非常に重要です。ビジョンが明確であれば、誰にでもリーダーシップを発揮できる可能性があります。

ピーター・ファーディナンド・ドラッカーのリーダーシップ論

ピーター・ファーディナンド・ドラッカー

引用元:Wikipedia

ピーター・ファーディナンド・ドラッカーとは
  • 1909年-2005年。経営学者。「現代経営学」あるいは「マネジメント」(management) の発明。

マネジメントで有名なドラッカーは、リーダーシップについて以下のように述べています。

  1. リーダーシップはカリスマ性とは関係がなく、人々が自ら「つき従う」ことである
  2. リーダーシップは生まれ持った資質ではなく「仕事」である
  3. リーダーシップは地位や特権ではなく「責任」である
  4. リーダーシップは「信頼」である

ドラッカーによると、リーダーシップは誰もが身につけることができるスキルであると定義しています。特に上記②を受け入れることで、自分の可能性を信じて鍛錬に励み、技術として習得できるようになるでしょう。

フォロワーシップをしっかりと機能させることが重要

フォロワーシップの重要性

ここまでリーダーとリーダーシップについて記載してきました。リーダーシップは「生まれつきの、特別な力」ではなく、「後天的に習得できる力」です。

また、リーダーシップに加えて、もう1つ理解すべき重要な概念があります。それが「フォロワーシップ」です。リーダーシップは、必ずしも上位者や指導者に限定されるものではありません。フォロワーたちがリーダーを支え、共に目標を達成するために協力することが不可欠です。

フォロワーシップとは

フォロワーシップとは、組織内のリーダーを補佐し、自律的に他のメンバーを支援する力です。変化の激しい時代において、組織を動かすにはリーダーのみならず、フォロワーシップが求められます。

また、組織運営において、チームを成功に導くためには、リーダーと共にチーム一丸となるためにメンバーを支援する存在が必要であり、その役割がフォロワーです。

フォロワーとは

フォロワーと言うのは、チームを成功へ導くためにリーダーを補助することを能動的に行う人を意味します。

フォロワーシップが機能しない場合と解決策

フォロワーは、リーダーシップに対するサブリーダーのような存在となり、リーダーやメンバーに対して自発的に働きかけることが求められます。

ただし、組織やチームの状況によっては、フォロワーシップが上手く機能しない場合があります。

心理的安全性が低い組織だと上手く機能しない

心理的安全性が低い組織やチームに属するフォロワーにとっては、これまで自分の建設的な意見が受け入れられなかったり、公平に貢献が評価されなかったり、何を言っても変わらなかったという経験があるため、心理的安全性を改善しようとしても、何も変わらないと諦めてしまうことがあります。

心理的安全性とは

メンバーが自分自身を表現し、チーム内での対話や行動において自分の考えや感情を自由に表現できる状態のことです。心理的安全性に関する記事は「管理職に求められるリーダーシップとは」をご参照ください。

上記のように、心理的安全性を確立することは簡単ではなく、特に組織文化が根付いている場合は、その変革には時間がかかることがあります。実際に弊社の組織マネジメントコンサルティングを導入いただく企業様の7-8割が、上記問題を抱えています。

外部のコンサルタントを使って解決する

自社だけで解決するには時間がかかることが予想されます。外部の組織マネジメントコンサルティングファームに助言を受けて、自社専属のコンサルタントを交えて調整をしていくことで、今後の取り組みやプロジェクトが円滑に進むでしょう。

フォロワーシップの発揮がリーダーシップの発揮につながる

「フォロワーシップ」という用語自体は、約30年前に出版されたロバート・ケリーの著書『The Power of Followership』の中で提唱されています。

The Power of Followership

ロバート・ケリーとは
  • カーネギーメロン大学教授。リーダーシップ研究の専門家である。

ロバート・ケリーがリーダーとフォロワーの調査の結果、その関係に関して、3つの衝撃的な報告を行いました。

下記が3つの報告内容です。

  1. ほとんどの組織において、その成功に対するリーダーの平均的貢献度は20%に過ぎない
  2. フォロワーは、残り80%の鍵を握っている
  3. ほとんどの人は、その肩書きや給与とは無関係に、リーダーとしてよりフォロワーとして長く働く

ロバート・ケリーは、当時からフォロワーシップを提唱していましたが、従来の組織論では、リーダーに注目が集まりがちでした。優れたリーダーやカリスマ的なリーダーがいれば、組織はパフォーマンスを出せるという考え方です。

しかし、個々人が主体的に行動することが求められる現在では、フォロワー一人ひとりが自発的に動き、激変する環境に即応できなければならない状況に変化してきました。

現在の求められるリーダー像
  • 「リーダーは一人で考え、判断し、指示しなくて良い」
  • 「リーダーは一人で頑張るのではなく、皆で役割分担する(周囲の人も、リーダー一人に背負わせない)」
  • 「リーダーは『偉い』わけではない。『役割』である」
  • 「チームを成功に導くためには、リーダーが一人で考えるのではなく、メンバー含めて様々なアイデアを出すことが望ましい。また、問題が発生した際にも皆で取り組んだほうが早く解決できるため、リーダーにはメンバーが主体的に動く働きかけが求められる。」
  • 「皆で議論を尽くして、それでも決まらなければ、リーダーが決める権利がある」

リーダーシップとフォロワーシップは、単独では機能しないことが分かってきました。リーダーがパフォーマンスを引き出すためには、フォロワーが主体的に行動することが必要であり、フォロワーが主体的に行動するためには、リーダーが適切に支援することが必要です。

これからの時代のリーダーシップ

これからの時代のリーダーシップ

現代社会では、不確実性が高く、多様な価値観を持つ人々と一緒に仕事をすることが当たり前になっています。そのため、チームを強く導くリーダーシップだけでなく、チームをまとめるファシリテーターシップがますます重要になってきています。

組織内のメンバーが、それぞれに異なる能力や多様な価値観を持つようになると、従来の指示型リーダーシップはうまく機能しなくなります。

現代のリーダーには、個人の自律性を支援し、メンバーの相乗効果を生かして高い成果を生み出すことが求められています。

ファシリテーション型リーダーシップとは

ファシリテーションは、チームのメンバーが目標達成に向けて協力するために、ミーティングや議論を進める上で重要な役割を担います。

具体的には、公平かつ中立な立場を保ちながら、メンバー一人ひとりの意見や貢献を尊重し、チームを成功に導くためのスキルや能力を持ったリーダーのことをファシリテーターといいます。

先導型リーダーシップ管理型リーダーシップファシリテーション型リーダーシップ
適用環境大きな変化が必要なとき組織が安定状況にあるとき絶え間ない変化が必要なとき
上位者の役割組織の方向づけをする目標を達成するシステムをつくる場(関係性)を築き、協働を促進する
下位者の役割モチベーションを高める与えられた役割を全うする自律的に問題解決を図る
人を動かす手段ビジョン・戦略(What)計画・構造(How)意味・関係(Why)
組織の考え方意思決定のピラミッド型の連鎖知的相互作用のネットワーク
コミュニケーション権威的・官僚的民主的
組織システム専制的・固定的流動的

出典:『ファシリテーション入門』(2004年7月、堀公俊著、日本経済新聞出版社)

但し、規律や役職定義があいまいなチームになり、速度のある意思決定ができなくならないように注意する必要があります。

これからの時代のリーダーシップ
  1. メンバー各人が持っている才能や強みなどのリソースを最大限に発揮できるように「支援」をする
  2. チームメンバーが活躍できる「場づくり」をする
  3. メンバーの力を引き出し「協働」を促す

リーダーシップとは皆を巻き込む力

リーダーシップとは皆を巻き込む力

リーダーシップ論は時代とともに変化します。過去の研究では、リーダーシップ能力にはさまざまな種類があり、環境や状況に応じて適切な人物は異なることが判明しています。今後のリーダーシップには、特に「多様性に着目し、個人の意志や価値観を尊重し、個人の能力を最大限に活かせる力」が求められると考えられています。

つまり、チームメンバーのサポートと同時に、個人の潜在的な能力や可能性を引き出すような育成を行うことが、結果的に今後の企業の成長につながるということです。単に「管理職になったから、中堅社員になったから、リーダー研修を受けさせる」のではなく、「リーダーに何を求めているのか」を理解していただいた上で、具体的なスキルの習得に務めることが大切です。

管理職に求められるリーダーシップとは、皆を巻き込む力であるとも言えます。1人だけがリーダーシップを発揮するのではなく、役割や年齢を問わずチーム全員が発揮すべきものです。そうすることで、チームとしてより高い成果を出せ、難しい局面も乗り越えていくことができます。

昨今の時代背景も踏まえて、リーダーひとりの視点で課題に対する解決策を見つけることは困難であり、速度の遅さが致命的となる場合があります。そのためにも、チームのメンバーそれぞれが、専門性を持ってリーダーシップを発揮していくことが重要です。管理職には、個々のパフォーマンスを最大化させる環境を整える役割が求められていると言えます。

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