成果を出す会議の方法とは?会議の設計に応用できる5つのポイントも解説

管理職必見!成果を出す会議の方法

弊社では、中堅・中小企業の経営者との接触が頻繁にあります。その中で、「研修を行っていない」という企業は存在するものの、「会議を行っていない」という企業は非常に少ないです。言い換えると、企業の規模に関係なく、多くの企業が「会議」を実施しています。

しかしながら、実際の状況は、会議を開催すること自体が目的になってしまい、多くの企業が「会議の質」を見落としている傾向があるように感じています。

また、管理職からは「無意味な会議を行っている」という声も多く聞かれます。なぜこのような無意味な会議が続けられるのか、管理職が改善できない理由についても考える必要があります。その中で最も大きな理由は、「成果を出す会議」について、一般社員はもちろん、管理職自身も理解していないことが挙げられます。

本記事では、「会議の重要性」について認識しているにもかかわらず、なかなか改善や改革が進まないという課題に焦点を当て、成果を出す会議の方法や解決策について詳しく解説します。

従業員にとって「会議はストレス」

総合人材サービス・パーソルグループのパーソルプロセス&テクノロジー株式会社は、従業員100名以上の企業に勤める管理職250名と一般社員250名を対象に、現在の勤務先で行われている「社内会議や社内ミーティングに関する実態調査」を実施しました。

社内会議や社内ミーティングに関する実態調査

引用:社内会議や社内ミーティングに関する実態調査(2023年3月30日 公開「DIGITAL SHIFT TIMES」)

調査より、以下のような結果が得られています。

管理職も一般社員も会議前・会議後の準備において、半数以上がストレスを感じている。

この調査結果からは、会議を効果的に活用できるはずの管理職でも、実際には会議を負担と感じていることが分かります。本来生産性向上を目的とするはずの会議が、逆にストレスやモチベーションの低下、生産性の低下を引き起こしているのであれば、会議の在り方を見直す必要があるでしょう。

効果的な会議は「学び」に焦点を当てること

効果的な会議は「学び」に焦点を当てること

組織人事コンサルタントが多く在籍する弊社では、「今行っている会議形態を見直し、より良い会議になるように改良すること」や「今まで営業会議を行ってこなかったので、会議の設計を行い、運用すること」など、会議の改善支援を依頼されることがあります。

その際に感じることは、多くの経営者が「研修」と「会議」を別々のものとして捉えていることです。具体的には、「研修」は従業員のスキル向上や新しい知識の獲得を目的として行われるものであり、「会議」は組織の目標達成や業務の円滑な進行に向けて行われるものと認識されています。

しかし、弊社では「研修」も「会議」も、どちらも学習体験と見なすべきと考えています。その理由は、従業員が組織の会議に参加することで、学び、成長することができるからです。

チェックポイント

「研修」と「会議」は別々に考えるものではなく、どちらも学習体験として認識する

「会議」はどのような分野であれ、うまく設計されておらず、機能していないことが多いため、定型的で、非生産的で、退屈だという印象を持たれることが多いでしょう。しかし、もし会議の参加者が、会議のアジェンダを研修のシラバスのように扱うとしたら、その結果は従業員とその組織に大きな変化をもたらします。

そしてこの手法は、より効果的な会議を計画するための重要な戦略となり得るだけでなく、従業員が各々の業務について向き合い、深く分析する機会となり、結果として従業員の研修につながるのです。

以下に会議の設計に応用できる5つのポイントについて詳しく解説します!

  1. 会議の明確な目標と目的を設定する
  2. 会議を自分事として捉える機会を創出する
  3. 集団学習を組織的価値として取り入れる
  4. 定期的に振り返りを取り入れる
  5. 学習成果を測定する

順番に解説していきます。

①会議の明確な目標と目的を設定する

会議を計画する際に、最初に明確にするべき重要な要素の一つは、ゴール(参加者に何を理解させるか)と目的(参加者に何を達成させるか)です。読者の皆様にお尋ねすると、自社の会議のゴール(何を伝えたいか、何を理解させたいか)と目的(何を実現させるか、達成させるか)について自信を持って話すことができるでしょうか。

会議の具体的なゴールと目的を明確にすることにより、参加者全員が共通の理解を持ち、効果的な会議の計画を立てることができます。そして、4つのPのうちの1つ、「PURPOSE」を達成することができます。

効果的な会議を計画するための4つのP
  • PURPOSE(目的)
    なぜ集まるのか、その目的を明確に定義する必要があります。
  • PLAN(計画)
    明確なアジェンダのない会議で従業員が何かを成し遂げることができる確立は極めて低いです。
  • PARTICIPATION(参加)
    会議が明らかに一方向の情報伝達である場合を除き、出席者に何らかの形で参加してもらわなければなりません。
  • PROGRESS(進捗)
    会議が成功したかどうかの測定は、「進展があったか」が重要なポイントです。事前に進展とは何かを定義し、次回会議までに何をすべきかを明確にする必要があります。

②会議を自分事として捉える機会を創出する

経験学習理論では、人が学習するには単に他人の話を聞いたり、概念を読んだりするだけでなく、その概念に関わり、挑戦することが重要であるとされています。そのため、講義よりもセミナーの方が効果的な場合が多いのです。

講義とセミナー 出典:デジタル大辞泉(小学館)
  • 講義
    学問の方法や成果、また、研究対象などについて、その内容・性質などを説き聞かせること。また、その説明。
  • セミナー
    大学の教育方法の一つ。教授などの指導のもとに、少人数の学生が特定のテーマについて研究し、報告・討論するもの。演習。ゼミ。セミナー。またこのような方法・形態をとる講習会。

会議のアジェンダは、参加者が積極的に関与し、自身の考えを提供し、解決策を試み、決定を振り返る機会を持つために、多方向性を持つべきです。また、会社の最新の課題について一方的に講義を行い、解決策を求めるのではなく、参加者が対話を通じてその課題を共同で探求する機会を設けることが良いでしょう。

③集団学習を組織的価値として取り入れる

学習は、授業や研修などを通じて個人が行う活動も意味しますが、集団学習というものも存在します。

Garavan and McCarthy(2008)によると、集団学習とは、「二者関係、チーム、組織、コミュニティ、社会の間で起こる学習」と定義しており、会議や自己学習を含む、個人学習と集団学習の両方を重視して組織風土に定着させていきます。

集団学習は、ブレインストーミングや問題解決の対話の中で従業員の価値観や能力を深く理解する機会や、自己学習の中で新しい概念を発見する際に重要な役割を果たします。つまり集団学習は組織における価値そのものなのです。

④定期的に振り返りを取り入れる

振り返りは、経験から学びを引き出すための学問的な手法です。振り返りを通じて、組織の課題や出来事、プログラム、人間関係の改善方法を学ぶことができます。

学問的な観点では、振り返りは具体的な質問を投げかけることや演習、対話を通じて行われることが最適です。それは、行ったことを分析し、発展させていくことを意味します。組織においても同じ原則が適用されます。明確な質問やフレームワーク、構造を用いて組織の業務を振り返る機会を作ることで、組織の課題を改善するための有益な手段を学ぶことができます。

例えば、「アフター・アクション・レビュー」というアプローチがあります。これは会議が終わった後に以下のような質問をするものです。

アフター・アクション・レビュー
  • 私たちは目的を達成できたか?目的を達成できなかった場合、なぜ達成できなかったのか?
  • 今回の取り組みの良い点(うまくいったこと)は何か?
  • 次回の改善点(もっとうまくできること)は何か?
  • 今回の会議で、参加者全員が何を共通認識とするべきか?

振り返りを繰り返して行うことで、組織に定着させていくことができます。

⑤学習成果を測定する

最初に設定した学習目標や目的が達成できたかどうか、もし未達成であればその要因を調査する必要があります。同様に、会議でも検証と評価を必ず行うべきです。

組織においても同じ原則が適用されます。会議の目的や目標が設定されている場合は、その結果を測定する必要があります。例えば、会議後に簡易なアンケートを実施することが効果的です。また、会議の最後のテーマを「今日は何を学んだか」とすることや、参加者に「所感レポート」の提出を求めることも考えられます。弊社では研修や会議終了後に、参加者に対してこのような課題を常に提示するようにしています。

会議の効果に関するフィードバックを定期的に取り入れることも重要です。参加者が会議で学習できているかどうかを測定し、評価することも必要です。実際によくある例として、進行者は会議の資料を十分に準備して臨む一方で、その内容が参加者にほとんど伝わっていない場合や、一時的には伝わったとしても後に記憶から消えてしまう場合があります。このようなケースに備えて、参加者が実際に学んだことを確認する手段を取り入れることが重要です。

会議の質を上げ、生産性を向上させる

会議の質を上げ、生産性を向上させる

会議を実施する際には、会議を教育の場と位置づけて、学習体験を通じて従業員に学ばせ、成長させる機会にすると良いでしょう。

その上で以下を設定して、実施することが重要です。

  • 会議を通じて、参加者に何を学ばせて、何を達成してほしいのか?
  • 目的や目標を達成するために、どのような会議の内容(進行、事前・事後の準備・課題など)にすべきか?
  • 個人的な学習と集団的な学習の両方をどのように従業員に奨励するか?
  • どのような振り返り方法を取り入れるか?
  • 決め事が行われたかどうかをどのように知るか?また、どのように測定するか?
  • 会議は生産的に感じられたか?次回までにどのような改善策を実施すればよいのか?

この機会を活かして、会議を通じて従業員の教育や現在の業務を深く分析する機会を設けることはいかがでしょうか。

ただし、自社内での実施には労力と時間がかかる可能性も予測されます。もし自社で完結が難しいと判断される場合や外部の支援が必要と判断される場合は、いつでも弊社にご連絡ください。

弊社では、各社に最適な方法で責任を持ち、会議を通じて従業員の教育を支援します。外部の組織人事コンサルタントとして、会議の改善や教育の促進に関するサポートを提供しています。私たちは経験と知識を持ち、最新の手法とベストプラクティスを活用して、会社のニーズに合わせた効果的なソリューションを提供します。

ご興味がありましたら、いつでもお気軽にご連絡ください。弊社は従業員の教育を支援するために、柔軟かつ効果的なサービスを提供いたします。

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