新人・新入社員研修の株式会社Sトレーニングhttps://s-tore.co.jpSトレーニングは、“経営陣のパートナー”として組織マネジメントを支援いたします。 新入社員研修・新人研修、管理職研修に関して、一般的な「詰め込み型研修」ではなく、職場で成果を出す「研修トレーニング®」を提供します。 経営資源の「ヒト(従業員)」の価値を高めていき、企業価値と業績向上に貢献し続けることが、私たちの役割です。Thu, 14 Dec 2023 06:58:41 +0000jahourly1https://s-tore.co.jp/consulting/wp-content/uploads/cropped-Straning_logo_maru_FIX-01-32x32.png新人・新入社員研修の株式会社Sトレーニングhttps://s-tore.co.jp3232 管理職研修のカリキュラム!リーダーシップ理論と活用方法https://s-tore.co.jp/management-training/2296/Thu, 14 Dec 2023 06:56:59 +0000https://s-tore.co.jp/?p=2296

管理職研修のカリキュラムを作成する際には、従業員のリーダーシップスキルや組織の成果を向上させるための概念やツールに焦点を当てることが重要です。 本コラムでは、管理職研修のカリキュラム作成のポイントを説明いたします。 管理 ...

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管理職研修のカリキュラムを作成する際には、従業員のリーダーシップスキルや組織の成果を向上させるための概念やツールに焦点を当てることが重要です。
本コラムでは、管理職研修のカリキュラム作成のポイントを説明いたします。

管理職研修とは

管理職研修とは
管理職研修は、組織のリーダーシップ層や管理職に必要なスキルや知識を提供するトレーニングプログラムです。このプログラムを通じて、彼らは組織を成功に導くための運営方法を学び、従業員を効果的に指導する能力を身につけることができます。

管理職研修の目的

以下は、管理職研修の目的についてまとめた表です。

NO.目的詳細
1リーダーシップスキルの向上管理職研修は、リーダーシップスキルの向上を促進します。これには、コミュニケーション、モチベーション、意思決定能力、チームビルディングなどが含まれます。
2戦略的な思考の養成管理職は組織のビジョンや目標を理解し、戦略的な思考を養う必要があります。研修はこの能力を向上させます。
3人材育成とモチベーション管理従業員の成長をサポートし、彼らをモチベーションづけるためのスキルや戦略を習得させます。
4業務効率とプロセス改善組織の業務効率を向上させ、プロセスの改善に関するスキルを提供します。
5変革への対応と柔軟性変化する環境に対応し、柔軟性を持って組織を導くためのリーダーシップスキルを養います。
6コンフリクト解決と交渉スキル管理職はコンフリクトを解決し、効果的な交渉を行うスキルを身につける必要があります。
7パフォーマンスマネジメント従業員のパフォーマンスを評価し、育てるための適切な手法やツールを提供します。
管理職研修の内容

以下は、管理職研修の内容についてまとめた表です。

NO.テーマ内容
1リーダーシップ理論とスタイル異なるリーダーシップ理論やスタイルについて学び、個々の強みを理解するトレーニングが含まれます。
2コミュニケーションスキルの向上有効なコミュニケーションの原則や技術を学び、チームや部下とのコミュニケーション能力を向上させます。
3モチベーション理論と実践従業員をモチベートする理論と実践的な手法に焦点を当て、高いモチベーションを引き出すスキルを養います。
4意思決定と問題解決複雑な状況での意思決定と問題解決のスキルを向上させるトレーニングが含まれます。
5チームビルディングチームの効果的な構築と運営に関するスキルやツールを提供します。
6パフォーマンスマネジメントとフィードバック従業員の評価とフィードバックの方法について学び、個々の成員のパフォーマンスを最大化するスキルを向上させます。
7時間管理とプライオリティ設定効果的な時間管理の原則や業務の優先順位付けのスキルを提供します。
8リーダーシップの戦略的側面戦略的思考やビジョンの構築、企業戦略との連携に焦点を当てます。
9変化管理と柔軟性組織の変革に対応し、柔軟なリーダーシップを発揮するためのスキルを向上させます。
10業務効率とプロセス改善組織の業務効率を向上させ、プロセスの改善に関するスキルを向上させます。

管理職研修の内容は、リーダーシップのスキルや組織マネジメントに焦点を当て、管理職が組織を成功裏に運営し、従業員を効果的に指導できるようにすることを目的としています。

一言メモ

プログラムは通常、講義、ワークショップ、グループディスカッション、ケーススタディ、ロールプレイなどのさまざまな学習メソッドを組み合わせています。

リーダーシップ理論とスタイル

リーダーシップ理論とスタイル

管理職研修において、リーダーシップ理論の理解は重要な要素です。これには、組織の方針と目標を達成するための戦略立案や、従業員のモチベーションとエンゲージメントを高める方法が含まれます。また、変革への適応力とイノベーションを促進するための技術も重要です。

以下は、その重要性に関するいくつかのポイントです。

  1. 組織の方針と目標の達成
  2. 従業員のモチベーションとエンゲージメント
  3. 変革への対応とイノベーション
  4. チームビルディングとコラボレーション
  5. 個別ニーズへの対応
  6. 問題解決と意思決定
  7. 組織文化の形成
  8. 従業員との信頼関係の構築

それぞれ見ていきましょう。

1)組織の方針と目標の達成

リーダーシップ理論を理解することで、管理職は組織の方針や目標を達成するために適切なリーダーシップアプローチを選択できます。異なる状況に応じて適切なスタイルを採用することが求められます。

2)従業員のモチベーションとエンゲージメント

トランスフォーメーショナルリーダーシップやサーベイティリーダーシップなどの理論は、従業員のモチベーションとエンゲージメントを向上させる手段を提供します。管理職はこれらの理論を活用して、従業員の個々のニーズに応えるリーダーシップアプローチを取ることができます。

3)変革への対応とイノベーション

リーダーシップ理論は変革への対応やイノベーションの奨励に役立ちます。特にトランスフォーメーショナルリーダーシップは、組織を変革し、新しいアイデアやプロセスを生み出すための枠組みを提供します。

4)チームビルディングとコラボレーション

リーダーシップ理論はチームビルディングやコラボレーションの重要性を強調します。管理職は、これらの理論を基にして、チームの結束を強化し、メンバーとの協力関係を構築する方法を学びます。

5)個別ニーズへの対応

サーベイティリーダーシップやサーバントリーダーシップなどの理論は、従業員の個別なニーズや成長に焦点を当てます。これにより、管理職は部下の個々の特性や目標に対応する方法を見つけることができます。

6)問題解決と意思決定

リーダーシップ理論は問題解決や意思決定においてもガイダンスを提供します。どのようにリーダーシップを発揮し、組織の利益や共通の目標を達成するかについての理論的な知識は、管理職の判断力を向上させます。

7)組織文化の形成

リーダーシップは組織文化を形成する一因です。リーダーシップ理論の理解により、管理職は望ましい組織文化を醸成し、従業員に共有価値観を浸透させる手段を理解します。

8)従業員との信頼関係の構築

リーダーシップ理論を適切に活用することで、管理職は従業員との信頼関係を築く上での原則や手法を理解し、組織全体の協力と連帯感を促進することができます。

総じて、リーダーシップ理論の理解は、管理職が変化する環境に適応し、組織や従業員を成功に導くための重要なスキルとなります。管理職研修では、これらの理論を現実のビジネス状況に適用する方法を具体的に学ぶことが求められます。

リーダーシップ理論を活用した管理職研修の例

リーダーシップ理論を活用した管理職研修の例
リーダーシップ理論を基にした研修プログラムは、管理職に多角的な視点とスキルを提供し、組織内での効果的なリーダーシップを実践するための基盤を築くことを目指しています。

以下は、いくつかの主要なリーダーシップ理論と、それらを活用した管理職研修の例です。

トランスフォーメーショナルリーダーシップ理論

特徴と研修内容
  • 特徴
    ビジョンの共有、従業員のモチベーション向上、イノベーションの奨励。
  • 研修内容
    ビジョンの構築、インスピレーショナルなリーダーシップ、チームワークの促進。

トランザクショナルリーダーシップ理論

特徴と研修内容
  • 特徴
    報酬やペナルティを通じた取引に焦点を当てる。
  • 研修内容
    効果的な報酬体系の構築、業績評価の方法、目標設定と報酬の連動。

サーベイティリーダーシップ理論

特徴と研修内容
  • 特徴
    サービス志向のリーダーシップ、従業員の成長と発展の奨励。
  • 研修内容
    サービス志向の養成、メンタリングとコーチングのスキル、フィードバックの提供。

分散型リーダーシップ理論

特徴と研修内容
  • 特徴
    リーダーシップが組織全体に分散され、柔軟な連携が強調される。
  • 研修内容
    コラボレーションの促進、情報共有の重要性、自己組織化のサポート。

カリスマティックリーダーシップ理論

特徴と研修内容
  • 特徴
    カリスマ性や魅力を活用して部下を引き込む。
  • 研修内容
    コミュニケーションスキルの向上、ビジョンの伝達、魅力的なプレゼンテーションのトレーニング。

サーバントリーダーシップ理論

特徴と研修内容
  • 特徴
    リーダーシップの本質は奉仕であり、部下のニーズを優先する。
  • 研修内容
    サービス志向の強化、共感力の向上、従業員参加の促進。

リーダーシップグリッド

特徴と研修内容
  • 特徴
    業績と人間関係の2つの次元に焦点を当てたモデル。
  • 研修内容
    リーダーシップスキルのバランス、人間関係の重要性、目標達成とチームビルディング。

総じて、リーダーシップ理論の理解は、管理職が変化する環境に適応し、組織や従業員を成功に導くための重要なスキルです。管理職研修では、これらの理論を現実のビジネス状況に適用する方法を具体的に学ぶことが求められます。

管理職に不可欠なスキル【意思決定】と【問題解決】

意思決定と問題解決

意思決定と問題解決は、管理職にとって不可欠なスキルであり、これらを効果的に行うためのトレーニングが管理職研修において重要です。

以下は、意思決定と問題解決に焦点を当てた管理職研修の一般的な内容です。

  1. 意思決定プロセスの理解
  2. 意思決定のためのデータ分析
  3. クリティカルシンキングの養成
  4. グループ意思決定と協力
  5. 意思決定スタイルの認識
  6. リーダーシップと意思決定の関連性
  7. 决断力の向上
  8. ストレス管理と意思決定
  9. 失敗からの学び方
  10. 倫理的意思決定

それぞれ見ていきましょう。

1)意思決定プロセスの理解

意思決定の基本的なプロセスを理解し、情報収集、評価、選択の段階を明確にします。リスク評価や意思決定の透明性についても学びます。

2)意思決定のためのデータ分析

データ駆動の意思決定の原則を学び、データの収集と分析方法を身につけます。統計的手法やデータビジュアライゼーションに関する基本的な知識を提供します。

3)クリティカルシンキングの養成

問題の本質を洞察し、独自の視点で情報を分析するクリティカルシンキングのスキルを養成します。偏見を排除し客観的な視点を持つことを強調します。

4)グループ意思決定と協力

チームでの意思決定プロセスにおいて、意見の収集、意見の違いの調整、協力的な意思決定の原則を学びます。チームビルディングとの結びつきを強調します。

5)意思決定スタイルの認識

参加者自身の意思決定スタイルを認識し、それが組織やチームの文化に与える影響を理解します。柔軟な意思決定スタイルの採用について学びます。

6)リーダーシップと意思決定の関連性

リーダーシップと意思決定の密接な関係を理解します。リーダーシップの役割としての意思決定プロセスへの介入やリーダーシップスタイルの影響を学びます。

7)决断力の向上

複雑な状況での決断力の向上を目指すトレーニングです。迅速で的確な決断のためのスキルを強化します。

8)ストレス管理と意思決定

ストレスの中で冷静かつ効果的な意思決定を行うための戦略を学びます。プレッシャー下での意思決定のトレーニングを実施します。

9)失敗からの学び方

失敗を機会と捉え、適切な反省と学習を行う方法を理解します。失敗を恐れずに挑戦し、改善に繋げるマインドセットの構築します。

10)倫理的意思決定

意思決定における倫理的な側面を理解し、適切な倫理的基準に基づいた意思決定を促進します。倫理的ジレンマへの対処方法について学びます。

これらのトピックを含んだ研修プログラムは、管理職が複雑な状況において効果的な意思決定を行い、問題解決のスキルを発展させるのに役立ちます。

管理職に期待される意思決定と問題解決の能力

管理職は、複雑な情報を効果的に分析し、データに基づいた意思決定を行う能力が求められます。また、偏見を排除し、客観的な視点から問題を評価するなど論理的な思考で結論を導く能力も重要になってきます。

このように、管理職に求められる意思決定と問題解決のスキルは、組織の成功に大きく寄与します。以下に管理職に期待される意思決定と問題解決の能力に関する要点をまとめました。

No.意思決定に求められるスキル問題解決に求められるスキル
1分析力複雑な情報を効果的に分析し、本質的な要因やパターンを見抜く能力。問題の定義問題を正確に理解し、根本的な課題や課題の本質を把握する能力。
2判断力利害関係者や組織の全体像を鑑み、状況に応じた的確な判断を下す能力。クリティカルシンキング複雑な問題に対して冷静なクリティカルシンキングを駆使し、解決策を見つける能力。
3リスク管理意思決定に伴うリスクを評価し、バランスを取りつつ適切な行動を選択する能力。創造的なアプローチ問題に対して創造的で新しいアプローチを提案し、イノベーションを促進する能力。
4迅速かつ効果的な決断力圧倒的な情報や複雑な状況下で速やかに決断し、組織の利益を最大化する能力。協力とチームビルディングチーム全体を巻き込んで問題に取り組み、協力して解決策を見つける協力とチームビルディングの能力。
5データ駆動のアプローチ値やデータに基づいて决断を下し、客観的な意思決定を行う能力。持続可能な解決策長期的な視点で問題に対処し、持続可能な解決策を見つける能力。
6柔軟性状況に応じて柔軟に意思決定のアプローチを変える柔軟性。優先順位の設定問題に対して優先順位を設定し、リソースを最適に活用する能力。
7意思決定の透明性意思決定プロセスを明確にし、関係者とのコミュニケーションを通じて透明性を確保する能力。フィードバックの受け入れ問題解決のプロセスにおいてフィードバックを受け入れ、改善に繋げる柔軟性。

これらの能力を備えた管理職は、変化する状況に対応し、組織の課題や機会に適切に対処できるでしょう。

管理職研修のカリキュラム作成まとめ

管理職研修のカリキュラム作成のポイントと注意点まとめ

今回は管理職研修について、研修を組み立てる上でのポイントや注意点について記載しました。計画を立てて、計画通りに遂行することが管理職には求められますが、それは管理職研修においても同様です。

管理職研修は組織の成果を上げるために重要な要素であり、管理職の成長と発展に不可欠な存在と言えます。

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新入社員研修のカリキュラムとは!具体的な方法・アイデアを徹底解説https://s-tore.co.jp/new-employee-training/2190/Sun, 10 Dec 2023 09:56:02 +0000https://s-tore.co.jp/?p=2190

新入社員研修のカリキュラムを工夫することは、従業員のモチベーションの向上やスキルの向上につながります。本コラムでは、新入社員研修のカリキュラムに取り入れることができる工夫やアイデアを紹介いたします。 新入社員研修とは 新 ...

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新入社員研修のカリキュラムを工夫することは、従業員のモチベーションの向上やスキルの向上につながります。本コラムでは、新入社員研修のカリキュラムに取り入れることができる工夫やアイデアを紹介いたします。

新入社員研修とは

新入社員研修とは、新しく企業や組織に入社する従業員が、業務に必要な知識、スキル、慣習、企業文化などを学ぶためのトレーニングプログラムです。新入社員研修は、従業員が迅速に組織に適応し、円滑に仕事をこなせるようにすることを目的としています。

新入社員研修の内容は、企業や業界によって異なりますが、一般的なテーマには以下が含まれます。

No.テーマ内容
1自社の概要と文化自社の歴史、ビジョン、ミッション、バリューなどについての理解を深めます。
2業務に関する基礎知識業界や職種に関する基本的な知識や、具体的な業務内容についてのトレーニングを実施します。
3コンプライアンスと倫理企業の法的要件や倫理規定、行動規範について学習します。
4組織の構造と部署の役割各部署やチームの概要、役割、相互関係についての理解を深めます。
5職場のツールやシステムの使用方法仕事で使用するツールやシステム、ソフトウェアなどの基本的な操作方法を習得します。
6チームビルディングチームワークやコラボレーションに重点を置いたトレーニングを実施します。
7コミュニケーションスキル職場での効果的なコミュニケーションの重要性やスキルの向上に焦点を当てたトレーニングを実施します。
8業界の最新動向やトレンド業界の最新の動向や競合状況についての情報提供を行います。
9個人のキャリア開発個人の職業的な目標や成長のためのリソース、トレーニングの提供をします。
10フィードバックと評価パフォーマンスフィードバックの重要性や、評価プロセスに関する理解を深めます。

新入社員研修は、従業員が早期に戦力になり、組織に貢献できるようにするための、非常に重要な研修です。

各テーマについて、以下で解説していきます。

1.企業の概要と文化

企業の概要と文化を伝えよう

新入社員研修において、自社の概要と文化を徹底的に伝えることは非常に重要です。自社の概要と文化を伝えることでどんなメリットがあるのでしょうか。

企業の概要と文化を伝えるメリット
  • 業務を円滑に進めることができる
  • 仕事へのコミットメントが強化される
  • 離職率の低減に繋がる

それぞれ見ていきましょう。

業務を円滑に進めることができる

自社の概要や文化を理解することで、新入社員は組織により速やかに適応し、業務を円滑に進めることができるようになります。自社の文化を明確に伝えることで、共有の価値観が確立され、従業員は統一された目標に向かって協力することができるからです。

仕事へのコミットメントが強化される

企業の使命やビジョンの理解は従業員のモチベーションを高め、仕事へのコミットメントを強化します。共通の理解がコミュニケーションの円滑な進行につながり、チームや部署間の協力を促進します。

離職率の低減に繋がる

新入社員が自社の概要や文化を把握することで、企業ブランドが一貫して伝わり、顧客やパートナー企業にも良い印象を与えることができます。このように、適切な研修を通じて企業文化を浸透させることで、従業員は組織に強い結びつきを感じ、離職率の低減が期待されます。

一言メモ

新入社員研修において自社の概要と文化を重要視することで、従業員の満足度や生産性を向上させ、組織全体の成果に寄与します。

2.業務に関する基礎知識

業務に関する基礎知識を伝えよう

新入社員研修において業務に関する基礎知識を提供することは、従業員が仕事を円滑に遂行し、組織に貢献できるようにする重要なステップです。業務に関する基礎知識を提供することで、新入社員は業務内容を理解しやすくなり、効率的に業務に適応できます。

業務に関する基礎知識を伝えることでどんなメリットがあるのでしょうか。

業務に関する基礎知識を伝えるメリット
  • 生産的なメンバーとしての役割を果たせるようになる
  • 業務プロセスがスムーズに進行する
  • 課題やプロジェクトにも柔軟に対応できる

それぞれ見ていきましょう。

生産的なメンバーとしての役割を果たせるようになる

適切な基礎知識があれば、ミスや誤解を軽減し、業務の品質向上につながると共に、基礎知識を提供することで、新入社員は必要なスキルをより早く習得し、生産的なメンバーとしての役割を果たすことができます。

業務プロセスがスムーズに進行する

従業員が業務の基本原則を理解することで、職場全体の効率が向上し、業務プロセスがスムーズに進行します。全員が共通の業務基礎知識を共有することで、チーム協力が促進され、協力的な労働環境が構築されるからです。

課題やプロジェクトにも柔軟に対応できる

上司との円滑なコミュニケーションが可能になり、期待に応えることができます。基礎知識があれば、新入社員は自己管理がしやすくなり、業務に対する自信も向上します。業務の基礎知識は変化に対応する基盤を提供し、新しい課題やプロジェクトにも柔軟に対応できるようになります。

一言メモ

これらのポイントを考慮して業務に関する基礎知識を提供することで、新入社員は迅速かつ効果的に業務に取り組み、組織の目標達成に貢献することができます。

3.コンプライアンスと倫理

コンプライアンスと倫理

新入社員研修において、コンプライアンスと倫理に焦点を当てることは極めて重要です。コンプライアンストレーニングは、法令や規制への適切な対応を教育し、法的なリスクを最小限に抑えます。

コンプライアンスと倫理を理解するメリット
  • 取引先や顧客との信頼関係を築ける
  • 従業員の行動が一貫性を持ちやすくなる
  • 企業のブランド価値を維持し、社会的な信頼を築ける

取引先や顧客との信頼関係を築ける

倫理的な行動とコンプライアンスは、企業の信頼性を高め、取引先や顧客との信頼関係を築く重要な要素です。コンプライアンストレーニングは、不正行為や法的なトラブルを未然に防ぐためのリスク管理手段となります。

従業員の行動が一貫性を持ちやすくなる

倫理とコンプライアンスは企業の価値観と密接に関連しており、これを強化することで従業員の行動が一貫性を持ちます。コンプライアンストレーニングは社内のコミュニケーションを促進し、従業員間でのルール倫理的な判断力を養うことで、新入社員は様々な状況において適切な意思決定ができるようになることにつながります。

企業のブランド価値を維持し、社会的な信頼を築ける

コンプライアンスと倫理はリーダーシップの基盤であり、従業員はリーダーの行動を手本にしやすくなります。倫理的なビジネス実践と法令順守は、企業のブランド価値を維持し、社会的な信頼を築く重要な要素です。

新入社員がこれらの原則に従って行動できるようにすることは、企業の長期的な成功に寄与します。

一言メモ

コンプライアンスと倫理のトレーニングは、組織全体に一貫した標準を確立し、従業員が倫理的なビジネス実践を理解し、それに基づいて行動することを可能にします。

4.組織の構造と各部署の役割

組織の構造と各部署の役割

新入社員研修において、組織の構造と各部署の役割に焦点を当てることは非常に重要です。

組織の構造と部署の役割を知るメリットは下記になります。

組織の構造と各部署の役割を理解するメリット
  • 協力的な労働環境が築ける
  • 組織全体の目標達成に寄与しやすくなる
  • チームの一体感を促進する

協力的な労働環境が築ける

組織の構造を学ぶことで、新入社員は企業全体の体系や階層を理解しやすくなります。各部署の役割や相互の関係を把握することで、チーム間の連携が促進され、協力的な労働環境が築かれます。

組織全体の目標達成に寄与しやすくなる

部署の役割や業務内容を明確に説明することで、業務が透明化され、従業員は組織全体の目標達成に寄与しやすくなるからです。新入社員は自身の役割を明確に認識し、期待に応えることができるようになります。

チームの一体感を促進する

部署の構造と各メンバーの役割理解は、チームビルディングを強化し、チームの一体感を促進します。組織の構造と部署の役割を理解することで、リーダーシップやコミュニケーションのスタイルを把握しやすくなるからです。組織の構造が変更される場合、新入社員は変更に柔軟に対応できるようになります。

一言メモ

各部署の機能や連携関係を理解することで、問題が生じた際に迅速かつ効果的な解決が可能となります。これらのポイントを考慮して、新入社員に組織の構造と各部署の役割をわかりやすく伝えることは、従業員が組織全体で協力的に働き、目標を達成するために重要です。

5.職場のツールやシステムの使用方法

ツールやシステムの使用方法

新入社員研修において、職場のツールやシステムの使用方法を重点的に教育することは非常に重要です。

職場のツールやシステムを使用するメリット
  • 業務の効率が向上し、生産性が向上する
  • チーム内でのコミュニケーションが円滑になる
  • 自ら解決できる能力が向上する

業務の効率が向上し、生産性が向上する

ツールやシステムの正しい使用方法を学ぶことで、業務の効率が向上し、生産性が向上します。ツールやシステムを正確に使うことで、ミスやエラーが軽減され、業務品質が向上します。最新のツールやシステムの使用方法を理解することで、新しい技術を効果的に活用できます。

チーム内でのコミュニケーションが円滑になる

チーム内でのコミュニケーションが円滑に行われます。ツールやシステムの正しい使用はデータセキュリティを確保し、情報漏洩のリスクを低減するからです。ツールやシステムの使用方法を迅速に習得することで、新入社員は業務に素早く適応できます。全員が同じツールやシステムを使用することで、業務の連携が円滑に進み、情報共有がスムーズに行われます。

自ら解決できる能力が向上する

ツールやシステムの基本的なトラブルシューティング方法を理解することで、問題が生じた際に自ら解決できる能力が向上します。これらのポイントを考慮して、新入社員が職場で使用するツールやシステムの適切な使用方法を習得することは、効果的かつスムーズな業務遂行に必要不可欠です。

6.チームビルディング

チームビルディング
チームビルディングは、新入社員研修の重要な一環です。

チームビルディングのメリット
  • チームワークが向上する
  • 共通の目標に向けた問題解決能力を向上させる
  • 組織に対する熱意と愛着を深める

チームワークが向上する

チームビルディングは共感力を高め、信頼感を築くプロセスです。従業員同士がお互いをよく知り、理解することで、チームワークが向上します。チームビルディングは協力とコラボレーションを奨励し、個々のスキルや強みを活かしてチーム全体の成果を最大化するためです。コミュニケーションスキルが向上し、メンバー間の誤解やコミュニケーションのハードルを取り除くことにもつながります。

共通の目標に向けた問題解決能力を向上させる

チームビルディングはチーム全体で問題に取り組む機会を提供し、共通の目標に向けた問題解決能力を向上させます。但し、それは、チームビルディング活動が楽しくて意義のあるものであれば、の話です。持続的な成果を得るためには、定期的な活動や継続的な取り組みが必要です。

組織に対する熱意と愛着を深める

チームビルディングは、メンバーにリーダーシップを発揮する機会を提供し、チームを率いることを促します。このプロセスは、変化への柔軟性や適応力を高めるための重要な一環です。さらに、チームビルディングは従業員のエンゲージメントを向上させ、組織に対する熱意と愛着を深めます。

一言メモ

実際に、新入社員研修でのチームビルディングでは、アイスブレーカーゲーム、チームビルディングのワークショップ、共同プロジェクトなどを活用します。これらの活動を通じて、新入社員はお互いに親しみを感じ、共通の目標に向けて協力しやすくなります。

7.コミュニケーションスキル

コミュニケーションスキル

新入社員研修においてコミュニケーションスキルの向上は極めて重要です。

コミュニケーションスキルが向上するメリット
  • 作業効率が向上する
  • リーダーシップが発揮されやすい
  • 信頼関係が築かれ、働きやすい職場になる

作業効率が向上する

効果的なコミュニケーションは業務プロセスをスムーズに進め、作業効率を向上させます。コミュニケーションスキルが向上することで、チーム全体が協力し、連携して働くことが可能になります。

リーダーシップが発揮されやすい

適切なコミュニケーションは問題解決に役立ち、チームが効果的な解決策を見つける手助けをします。コミュニケーションスキルが高まると、リーダーシップの発揮がしやすくなり、他者を導く力が向上します。

信頼関係が築かれ、働きやすい職場になる

新入社員が顧客や取引先と効果的にコミュニケーションをとることは、信頼関係を築く上で重要です。良好なコミュニケーションスキルはフィードバックを正しく理解し、成長に活かすことができます。コミュニケーションが円滑であれば、より仕事上のストレスが軽減され、働きやすい環境が整います。

一言メモ

適切なコミュニケーションは争いや衝突の発生を予防し、発生した場合でも効果的な解決策を見つける手助けとなります。新入社員に対するコミュニケーションスキルの向上は、トレーニングやワークショップを通じて行うことができます。役立つコミュニケーションスキルは、個々の成果や組織全体のパフォーマンスに大きな影響を与えます。

8.業界の最新動向やトレンド

業界の最新動向やトレンド
業界の最新動向やトレンドを新入社員研修に取り入れることは、組織にとって重要です。

業界の最新動向やトレンドを取り入れるメリット
  • 戦略的なアドバンテージを確立できる
  • 将来の展望に合わせた計画を策定できる
  • 即戦力となる助けになる

最新の動向やトレンドを理解することで、新入社員は市場や業界の現状を把握し、競争環境に適応できます。

戦略的なアドバンテージを確立できる

企業は競合他社との差別化ポイントを見つけ、戦略的なアドバンテージを確立できます。最新の動向は新しいアイデアや革新を生み出すのに役立ちます。新入社員は積極的なアイデアの提案や改善に寄与できます。

将来の展望に合わせた計画を策定できる

業界の最新動向を踏まえて組織の戦略を構築することで、将来の展望に合わせた計画を策定できるようになります。最新のトレンドを把握することで、顧客の期待やニーズに応えるサービスや製品を提供するための戦略が構築できるのです。業界の最新動向を理解することで、新入社員はリーダーシップの素地を築き、変化に対応する柔軟性を身につけます。

即戦力となる助けになる

業界の最新動向を取り入れたトレーニングプログラムは、新入社員が実践的なスキルを身につけ、即戦力となる助けとなります。

業界の最新動向やトレンドを新入社員研修に組み込むことで、組織は変化に迅速に対応し、競争優位性を確立することができます。

9.個人のキャリア開発

個人のキャリア開発

新入社員研修において、個人のキャリア開発をサポートすることは、従業員の成長と組織全体のパフォーマンス向上に繋がります。新入社員には自己理解を深め、将来のキャリア目標を設定するサポートが必要です。自分の強みや興味を知り、それに基づいて目標を明確にします。

個人のキャリア開発をサポートするメリット
  • 個人が仕事においてより有用な存在になる
  • キャリアに対する方向性を理解しやすくなる
  • 仕事の効率性や時間管理のスキルを磨かれる

個人が仕事においてより有用な存在になる

従業員のスキルや能力を評価し、必要なスキルを向上させるトレーニングやプログラムを提供することにより、個人が仕事においてより有用な存在となります。

キャリアに対する方向性を理解しやすくなる

キャリアパスを従業員と共有し、組織内での成長や昇進の機会を明確に示します。透明性があると、従業員は自身のキャリアに対する方向性を理解しやすくなります。

一言メモ

上司や先輩社員がメンターやコーチとして新入社員をサポートすることで、経験からの学びやアドバイスを得る機会が増えますので、上司やメンターとの定期的な面談も目的があれば有益でしょう。

仕事の効率性や時間管理のスキルを磨かれる

新入社員には自己マネジメントスキルを向上させるトレーニングを提供し、仕事の効率性や時間管理のスキルを磨く手助けをすることが重要です。定期的なフィードバックセッションや成果の振り返りを通じて、新入社員は自身の成長領域を理解し、改善に取り組むことができます。組織内外の学習機会や研修プログラムを提供し、新しい知識やスキルを習得できる環境を整えるのも良いでしょう。

一言メモ

これらの取り組みは、新入社員が自身のキャリアを積極的に管理し、組織との共進化を促進します。組織が従業員のキャリア開発を重視することは、人材の定着やモチベーションの向上にも寄与します。

10.フィードバックと評価

フィードバックと評価

新入社員研修においてフィードバックと評価は非常に重要な要素です。フィードバックは新入社員が成長する方向性につながります。具体的な指摘や建設的な意見は、従業員がスキルを向上させる手助けとなります。

新入社員のモチベーションを向上させる

まず、定期的なフィードバックは、新入社員のモチベーションを向上させます。良い成果や改善点を認められることで、人間は仕事に対する意欲が高まります。

上司との効果的なコミュニケーションの手段

フィードバックは上司との効果的なコミュニケーションの手段となります。双方向の対話を通じて、期待値や課題を明確にします。個々の従業員に対して特定の学習機会を明確に示します。これにより、研修やトレーニングの効果を最大化できます。

具体的な目標に合わせて行動できる

フィードバックは目標設定の際にも役立ちます。従業員がどの方向に進むべきかを理解し、具体的な目標に合わせて行動できるようサポートしやすくなるためです。

フィードバックを通じて、新入社員は自身の強みや成長すべき領域を正確に把握できます。これは将来のキャリア開発に役立ちます。このように、評価基準や評価プロセスを透明にすることで、新入社員は評価の基準を理解しやすくなります。公正かつ公平な評価が信頼感を築きます。

一言メモ

これらのポイントを考慮して、フィードバックと評価を組織の新入社員研修プログラムに組み込むことで、従業員の成長と組織のパフォーマンス向上に寄与します。

新入社員研修の成功事例

新入社員研修の成功事例

ある企業の研修プログラムは次のようなステップで構成されました。
ここでは2社、紹介いたします。

A社の事例

0)ビジネスのルールの理解

まずは世の中のお金の流れや、顧客サービスの基本ルールを学び、ビジネスにおける顧客との関係性を理解しました。また、ビジネス環境は変化するものであり、変化への柔軟性や適応力の重要性を説明しました。

1)カスタマーエクスペリエンスの理解

最初の数日間は、新入社員たちは実際にカスタマーサービスの現場に出向き、商品やサービスを提供する側としての経験をしました。これにより、顧客の視点を理解し、サービス提供の重要性を実感しました。

2)チームビルディングアクティビティ

チームビルディングアクティビティが導入され、新入社員たちはグループで協力して課題に取り組みました。これにより、協力関係の構築とコミュニケーションスキルの向上が図られました。

3)プロジェクトベースの学習

新入社員は実際のビジネス課題に取り組むプロジェクトに参加しました。このプロジェクトは、彼らが学んだスキルや知識を実践する機会を提供し、同時に組織の成果にも貢献しました。

4)メンタリングと個別のフィードバック

各新入社員には経験豊富なメンターがつけられ、個別のフィードバックやアドバイスを提供しました。これにより、新入社員は個々の成長領域を理解し、それに対処できるようになりました。

5)実践的なプレゼンテーション:

研修の最後には、新入社員が学んだことやプロジェクトの成果を共有するプレゼンテーションが行われました。これは、コミュニケーションスキルやプレゼンテーションの能力を養う機会となりました。

A社の研修プログラムの結果

結果として、この研修プログラムは成功を収めました。
新入社員たちは実践的な経験を通じて即戦力となり、チーム全体の協力関係が強化されました。同時に、企業の文化や価値観にも深く浸ることができ、研修後も積極的に仕事に取り組んでいきました。

B社の事例

1)オンライン学習ツールへのアクセス権の提供

入社前に新入社員にオンライン学習ツールへのアクセス権を提供し、企業文化や情報にアクセスできるようにしました。これにより、入社前から企業に親しむことができました。

2)専門家からの講義

各部門の専門家や経営陣が講師となり、自らの経験や知識を新入社員に共有しました。これにより、企業の全体像や業務に対する理解が深まりました。

3)実践的なプロジェクト
研修の初めから新入社員は実際のビジネスプロジェクトにアサインされ、チームで協力して問題解決に取り組みました。これにより、理論だけでなく実践的なスキルも身につけられました。

4)メンタリングプログラム

各新入社員には経験豊富なメンターが割り当てられ、定期的なメンタリングセッションを通じてキャリアのアドバイスやフィードバックを提供しました。

5)グループディスカッションとワークショップ

グループディスカッションやワークショップを通じて、コミュニケーションスキルやチームワークを強化しました。実践的なシナリオに基づいたディスカッションがあり、ビジネス状況への適応力を向上させました。

6)自己成長プラン

新入社員は入社後すぐに自己成長プランを作成しました。このプランには、短期および長期のキャリア目標やスキルの向上に向けた取り組みが含まれていました。

7)フィードバックと評価

定期的な評価とフィードバックセッションが行われ、新入社員が自らの成長領域を把握し、改善に努める機会を提供しました。

A社の研修プログラムの結果

B社の研修プログラムは、新入社員が早期に組織に適応し、成果を上げるための包括的なアプローチを取っています。従業員の満足度向上や生産性向上にも寄与しています。

新入社員研修ならSトレにお任せください!

新入社員研修ならSトレにお任せ
今回のコラムでは、新入社員研修のカリキュラムに取り入れることができる工夫やアイデアを10個紹介いたしました。

新入社員研修を実施することで、従業員の満足度や学習効果を向上させることができます。これらの工夫とアイデアは、新入社員により効果的に学んでもらい、早期に組織に貢献できるようになっていただく上で重要です。

新入社員研修のことでお悩みならSトレにお任せください!

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オンライン研修を実施する際には、効果的な学習環境を提供し、受講者が最大限の利益を得るためにいくつかのポイントがあります。 本コラムでは、オンライン研修の手順とポイントを記載します。 オンライン研修とは オンライン研修とは ...

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オンライン研修を実施する際には、効果的な学習環境を提供し、受講者が最大限の利益を得るためにいくつかのポイントがあります。

本コラムでは、オンライン研修の手順とポイントを記載します。

オンライン研修とは

オンライン研修とは、PCやタブレット、スマートフォンをインターネット回線につないで参加する研修です。ここでは、双方向・リアルタイムコミュニケーション型のオンライン研修をオンライン研修と呼ばせていただきます。

コロナ禍でZoomを活用して行われる機会が増えた研修形式です。技術革新が進むにつれて操作や速度などへのストレスが減り、対面型の環境に近づきつつあります。現在では研修だけでなく、商談でも対面型に変わるものとして取り入れられています。

オンライン研修と対面研修の使い分け

当たり前のように続いたオンライン研修も、そろそろ使い分けが必要でしょう。演習を伴わない研修であれば、オンラインでも、期待する効果を得ることはできます。但し、受講者が共同作業で、その場での成果物を求められる研修をオンラインで行うことは難しいのが現状です。

弊社でも、オンラインでグループディスカッションを実施し、その成果を整理してまとめ、発表して共有するという演習を研修に取り入れることが多くありますが、対面研修の場合と比較して双方向でのリアルタイムな議論の掛け合いができず、まとまりに欠ける印象があります。

講師が知識を提供し、受講者がこれを受け取る一方通行型の研修であれば、このような状況でも問題ありませんが、創造的成果物を生みだすための研修であれば、これができないことは、致命的です。

このようにオンライン研修にはメリットもありますが、デメリットもあります。つまり、今後は「使い分け」や「受講前に受講者にどのような働きかけをする必要があるのか」が非常に重要であると考えます。

「オンライン研修は自社には合わない」と諦めてしまうのではなく、時代の変化に適合し、効率と効果を追究していくことが、企業には求められるでしょう。本コラムでは、世界と比較した日本の課題から、オンライン研修の実施ポイントまで述べていきます。

日本のデジタル競争力は低下

日本のデジタル競争力は低下

(出典)IMD 「World Digital Competitiveness Ranking 2022

デジタル競争力ランキング2023で、日本は63カ国中32位と低迷しています。特に「人材/デジタル・技術スキル」が、62位と低く、これが全体を引き下げる要因になっています。

また、日本では76%の企業がDX人材不足を感じている(米国は43%)にも関わらず、社員の学び直しを全社的に実施している企業はわずか7.9%です(米国は37.4%)。社員の学び直しを検討さえしていない企業が過半数近く存在しているというのが実態です(米国は10%未満)。

DX推進の課題は人材不足と社内育成体制の未整備

デジタル化を進める上での課題や障壁(国別)

(出典)総務省(2022)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究

情報通信白書(2022)における企業約3,000社への調査によると、デジタル化を進める上での課題・障壁として、日本企業は「人材不足(67.6%)」の回答がありました。これは米国・中国・ドイツの3か国に比べて非常に多い結果が出ています。

各国の企業でデジタル人材が不足する理由については、日本企業においては、両デジタル人材に共通して「デジタル人材を採用する体制が整っていない」と「デジタル人材を育成する体制が整っていない」が約40%と多い結果となりました。

何故ビジネスパーソンにDXリテラシーが必要か

何故ビジネスパーソンにDXリテラシーが必要か
社会環境・ビジネス環境の変化に対応するために、企業・組織を中心に社会全体のDXが加速する中で、人生100年時代を生き抜くためには、働き手一人ひとりが状況に合わせて学び続けることが重要です。

DXリテラシーとは

DXリテラシーは、働き手一人ひとりが、自身の日常生活や仕事の場でこのような取り組みの成果を享受するために実施する内容です。DXリテラシーを身に付けることで、働き手一人ひとりが、DXを自分事ととらえ、変革に向けて行動できるようになります。

DXについても今一度定義をおさらいしましょう。経済産業省では以下のように定義しています。

経済産業省によるDXの定義
DXの定義ポイント
DXとは、企業が
ビジネス環境の激しい変化に対応し、環境変化の中でも、企業が市場で淘汰されずに、成長し続けることが目的
データとデジタル技術を活用して、デジタルツールの導入=DXではなく、データやデジタル技術はあくまで変革のための手段
顧客や社会のニーズを基に、デジタルを使った製品やサービスを提供するだけでなく、データやデジタル技術を活用したプロセスの改善や、デジタルを活用しやすい組織づくりへの取り組みが必要
製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、
競争上の優位性を確立すること環境変化の中でも、企業が市場で淘汰されずに、成長し続けることが目的
である。

以下にDXリテラシーがビジネスパーソンにとって重要な理由をまとめます。

DXリテラシーがビジネスパーソンにとって重要な理由
No.テーマ内容
1競争力の向上ビジネス環境は急速に変化しており、デジタル技術を活用できる組織が競争力を獲得します。DXリテラシーがあるビジネスパーソンは、新たなテクノロジーの導入や活用を通じて効率を向上させ、市場競争で優位に立つことができます。
2効率と生産性の向上DXは業務プロセスの効率化や自動化を可能にします。ビジネスパーソンがDXリテラシーを持っていれば、デジタルツールやプロセスを適切に活用し、業務の生産性向上に貢献できます。
3イノベーションの推進DXリテラシーがあると、新しいテクノロジーやデジタルプラットフォームを理解し、それをビジネスに取り入れることができます。これにより、組織全体でのイノベーションが促進され、新しいビジネスモデルやサービスが生まれる可能性が高まります。
4柔軟性と適応力の向上ビジネス環境の変化に迅速かつ柔軟に適応するためには、DXリテラシーが重要です。新しいテクノロジーに適応できるビジネスパーソンは、変化に対応するスピードが速く、柔軟性を発揮できます。
5データ駆動の意思決定DXは多くのデータを生成し、これを分析して意思決定に活用します。DXリテラシーがあるビジネスパーソンは、データを理解し、分析して得られた情報をもとに戦略的な意思決定を行うことができます。
6顧客体験の向上デジタル技術の活用により、顧客とのコミュニケーションやサービス提供が向上します。DXリテラシーを持つビジネスパーソンは、顧客とのデジタルな接点を強化し、顧客体験を向上させることができます。

これらの理由から、ビジネスパーソンがDXリテラシーを持つことは、現代のビジネス環境で成功するために重要だと言えるでしょう。

また、No.2にあるように、「効率と生産性の向上」のためにはオンライン研修の普及は画期的な手法の1つと言えるでしょう。

オンライン研修の手順とポイント

オンライン研修の手順とポイント

Zoomを活用した場合のオンライン研修の手順とポイントについて記載します。

Zoomを活用した場合のオンライン研修の手順とポイント
No.テーマ内容
1事前の計画と設定研修の目的や内容を明確にし、Zoomで使用する機能やツールを検討します。
研修の日程や時間を事前に調整し、受講者に通知します。
必要な資料やリソースを事前に共有するなど、受講者が準備できるようにします。
2Zoomミーティングの設定Zoomアカウントを作成し、ミーティングを設定します。
セキュリティ設定を確認し、必要に応じてパスワードやミーティングルームの制限を設定します。
ミーティングIDや招待リンクを受講者に提供します。
3受講者へのトレーニングZoomの基本的な使い方や機能についてのトレーニングを受講者に提供します。
ミーティングへの参加方法やツールの使い方、画面共有などについて説明します。
4アクティブな参加促進ビデオをオンにすることや、チャットを活用して受講者同士のコミュニケーションを促進します。
質問やディスカッションの機会を設け、受講者が積極的に参加できるようにします。
5対話とフィードバック対話を重視し、受講者の質問や疑問に答えるとともに、ディスカッションを通じて学びを深めます。
定期的にフィードバックを収集し、研修の改善点を洗い出します。
6録画と資料の提供研修を録画し、後で復習できるようにします。
資料や関連リンクを受講者に提供し、追加の情報やリソースにアクセスできるようにします。
7アンケートや評価研修終了後にアンケートを行い、受講者の意見や感想を収集します。
研修の効果や改善点を把握し、次回の研修に生かすための評価を行います。
Zoomを活用した研修は、柔軟性があり多くの場所から参加できる利点がありますが、受講者の注意を引きつける工夫や対話を促進する配慮が求められます。

受講者へのトレーニング

特に重要な点が、No.3の「受講者へのトレーニング」です。受講者が研修に効果的に参加できるようにするための準備が重要です。

以下のようなトレーニングを取り入れることを推奨します。

受講者へのトレーニングと内容
No.テーマ内容
1技術トレーニングオンライン研修を受けるために必要なテクニカルスキルやプラットフォームの使い方に関するトレーニング。これにはビデオ会議ツールの使用法、オンライン教育プラットフォームのナビゲーション、基本的なデジタルスキルが含まれます。
2事前読書や資料の提供研修前に受講者に提供される資料や関連する読書課題。これにより、研修が始まる前に基本的な概念や知識を理解し、授業やワークショップにより深めることができます。
3自己評価や事前テスト受講者が現在の知識やスキルを評価するための自己評価や事前テスト。これにより、研修の初めに個々の受講者のレベルを理解し、適切な教育内容を提供することが可能になります。
4コミュニケーショントレーニングオンライン環境での効果的なコミュニケーションスキルのトレーニング。これは、ビデオ会議での参加、ディスカッションへの参加、質問の仕方などが含まれます。
5オンラインリソースへのアクセス情報研修中に使用するオンラインリソースや教材にアクセスする方法に関するトレーニング。これには特定のプラットフォームへのログイン方法やファイルのダウンロード手順などが含まれます。

これらの事前トレーニングは、受講者がオンライン研修により効果的に学ぶことにつながります。

有意義なオンライン研修を行うために事前準備をしよう

有意義なオンライン研修を行うために事前準備

オンライン研修は、参加者が会場に行く必要がないため、より参加しやすくなります。特に意欲が高い場合、オンライン研修は非常に効果的です。そのためには、主催者側が事前課題を準備し、参加者が研修に効果的に参加し、学びを最大化するための工夫が必要です。

事前課題は、研修の性質や目的に応じて変わりますが、関連する記事を読むこと、ディスカッションの準備、プロジェクトやケーススタディの分析などが、充実した研修に役立ちます。

参加者は、研修に関連する動画や記事を視聴・読書し、事前に基本概念を理解しやすくするための質問やメモを準備するとよいでしょう。また、予定されているディスカッションやグループワークに備えて、事前に提供された資料やプロジェクト、ケーススタディを分析し、それに基づくディスカッションや演習に備えることは、有意義な学習体験に繋がります。

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環境変化と経営上の優先課題、人材戦略上の優先課題は直結しています。環境変化として近年取り上げられることが多いのは「グローバル化」「デジタル化」「少子高齢化」です。これら3つの環境変化もまた、経営課題と人材戦略上の課題につ ...

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環境変化と経営上の優先課題、人材戦略上の優先課題は直結しています。環境変化として近年取り上げられることが多いのは「グローバル化」「デジタル化」「少子高齢化」です。これら3つの環境変化もまた、経営課題と人材戦略上の課題につながっています。

今回のコラムでは、経営課題と人材戦略上の課題から、幹部・管理職がどのような視点を持つべきかについて記載いたします。

3つの環境変化とそれぞれに連動する課題

3つの環境変化とそれぞれに連動する課題

環境変化にはグローバル化やデジタル化、少子高齢化などがありますが、環境変化に伴い、経営上、人材戦略上にどういった課題が発生するのでしょうか。

以下の表に纏めましたのでご参照ください。

環境変化経営上の優先課題人材戦略上の優先課題
①グローバル化・高成長の海外市場におけるシェア獲得や多様化する顧客ニーズへの対応
・グローバルな組織ガバナンス
・企業の存在意義(パーパス)の明確化
・グローバル成長を牽引できる経営人材をはじめとした、多様な人材の育成・確保
・職務やスキルに対応した「ジョブ型」の促進など柔軟な人事制度の構築や運用
②デジタル化・winner takes allの経済に移行、「すり合わせ」の競争優位が低下
・競争力や勝ち筋の再検証
・テクノロジーの変化スピードへの対応
・イノベーション創出をリードする人材の育成・発掘・獲得、既存オペレーション人材の強みとの両立
・ビジネスモデル変化に対応した人材の再教育・再配置
③少子高齢化・シニア人口増加・若年人口減少への対応
・社会で活躍する期間が長期化し、個人のキャリア意識が向上
・人材や価値観の多様化への対応
・従業員の自発的貢献意欲(エンゲージメント)の向上
・自律的なキャリア構築の支援、成長機会の提供

更に課題について掘り下げていきます。環境変化ごとに解説していきます。

グローバル化から生じる、経営上・人材戦略上の課題

グローバル化から生じる、経営上・人材戦略上の課題

グローバルな組織ガバナンスの基盤として重要なことは、企業文化を海外従業員も含めたグローバル全体に浸透させることであり、まさにCHRO(※1)のミッションでもあります。

CHRO(Chief Human Resource Officer)とは(※1)

CHROは日本語では「最高人事責任者」と訳される。CHROの使命は、経営者と従業員の間に立って人事が掌握する人的資源管理のすべてに責任を持ち、企業ビジョンや理念の達成、企業価値の向上のために寄与することである。

しかし、グローバル競争に打ち勝つためのイノベーションを生み出すことを最重要課題と認識しながらも、人事領域はいまだに自前主義が根強く、今いる従業員のモチベーションを高め、今いる従業員のスキルで戦おうと考える企業も多いようにも感じます。しかし、恐らく日本で働く日本人の従業員のことしか想定できていないのが現状でしょう。

企業自体のグローバル対応が進んでいない

商品は国境を越え、海外売上の比率が増加している一方で、海外企業の買収によるグローバル戦略を展開する日本企業が多いものの、企業自体のグローバル化対応は進んでいないという問題があります。

グローバル化に向けた本社の意識改革が不足しているという指摘や、政府主導のガバナンス改革に対応して資本市場向けのガバナンスは確立されたものの、海外拠点を含むグループ全体のガバナンスは依然として脆弱であるという実態が指摘されています。

経営経験が少ないため、経営会議の意義が薄い

経営経験の重要性は、人事部門の最高責任者(CHRO)に限らず、人事、経理、研究開発などの特定の職能に長けた役員ばかりではなく、日本の多くの大企業では各職能の専門性に基づいて昇進しているのが現状です。

部長レベルまではこのような専門性での昇進が適しているかもしれませんが、Cレベル(※2)の役員には経営者としての視野が必要です。

Cレベル(※2)

C-levelとは、経営幹部レベルCEO、CFO、COOなど、経営を司っているレベルのことを言う。要するに、C-という文字で始まる最高責任者レベルの経営幹部をこのように総称する。Chief Executive Officer (CEO=最高経営責任者)、Chief Operating Officer(COO=最高執行責任者)、Chief Financial Officer(CFO=最高財務責任者)など、社長(会長)クラスや各執行部門のトップをいう。例えばCFOなら、日本では昔、「財務担当副社長(専務)」などと呼んでいた役職に相当する。CEOは会長または社長、COOは社長または副社長と兼務している会社が多い。

経営者としての見識・考え方が問われるはずの経営会議も、経営トップの経験がない人ばかりが集まるのでは「大部長会議」になってしまいます。これでは部長会議と何が違うというのかわかりません。

部長から役員に上がるタイミングや、Cレベルの経営陣になるまでには、子会社や他社、少なくとも事業部門のトップの経験を積み、そこで実績を挙げたからこそボードに迎えるという形にならない限り経営会議は意味をなさないのです。

CHROの最大の仕事

CHROは、単に人事部門の延長としてではなく、顧客、取引先、社会、資本市場といったステークホルダーとの関係の中で、「ヒト」という経営資源をどのように確保し、活用するかを考え、適切な組織構造や意思決定プロセスを構築する必要があります。この役割は、戦略提案や情報提供、人事機能の提供といった人事部の伝統的な仕事とは根本的に異なります。

ジョブ・ディスクリプションが明確ではない

HRテクノロジー(※3)の導入が海外で急速に広がった背景には、人事が「ジョブ型」であるという特徴があります。専門家は、ジョブ型の人事では職務記述書(ジョブ・ディスクリプション)がはっきりしていることを指摘しています。

HRテクノロジー(※3)

HRテクノロジーとは、Human Resource(人事)とテクノロジーを合体させた造語。人的資源の調査、分析、管理を高度化し、ビジネスのパフォーマンスを高めるテクノロジー。DXの加速に伴って注目されている分野の一つ。

ジョブ・ディスクリプションが明確であるため、個々人のスキルや経験といった人事データを有効に活用できます。それに対して、これらが不明瞭だと、どのような仕事に適しているかのマッチングを行うことは困難です。

海外のジョブ型人事と比べて、日本の企業は「メンバーシップ型」が一般的です。このアプローチでは、人材を仕事に合わせて配置するのではなく、社員が様々な業務を経験しながらスキルを向上させることに重点を置いています。

どちらのシステムにもメリットとデメリットがあります。日本の企業がジョブ型に移行し、新卒一括採用を廃止することが必ずしも良いとは限らないとはいえ、ミレニアル世代を中心とする若年層の中には、従来の日本式のあいまいな職場環境でキャリアを築くことへの不安を感じている人もいるという声があります。

HRテクノロジーの取り組みが進んでいない

人事データを集積してAIが機能すれば、ジョブ定義などしなくてもうまく人事をマッチングできる時代になるかもしれませんが、ブラックボックス化したAIのマッチングを信じてやる気を出せるという社員は少ないでしょう。最低限のジョブ定義を行い、そのために必要なスキルを定義することが求められる時代に入っているのではないでしょうか。

グローバル競争力とイノベーションが経営の重要課題となっており、CHROや人事幹部にとっても、そのためのリーダー育成やマネジメント力向上、社員のマインドチェンジとモチベーション向上が課題となっていること、そして、そのためにHRテクノロジーに大きな期待が寄せられています。

しかし、人事分野やテクノロジー分野に専門人材が不足しているため、多くの企業でHRテクノロジーの取り組みが進んでいないというのが現状です。

日本でHRテクノロジーが進まない理由

日本企業の人事の仕事は、これまでの高度成長時代に築かれた年功序列、終身雇用といった日本型人事システムを前提に労務管理を中心とした時代が長く続いてきたこともあり、現在求められている人事部門の仕事とは、かなりのずれが生じているのが実態でしょう。現在の戦略的な取り組みを担える専門人材が不足しているということもその結果です。

弊社ではCHROの立場として企業に入らせていただくことも近年増加しております。CHROという経営者の視点に立った人事部門の機能強化、専門性強化に貢献すべく、取り組ませていただいております。

デジタル化から生じる、経営上・人材戦略上の課題

デジタル化から生じる、経営上・人材戦略上の課題

近年、デジタル変革が注目を集めるなか、消費関連分野においては、EC市場の拡大やデータを活用した新たなビジネスモデルの登場など様々な変化が生じています。21世紀においてデータはヒト、モノ、カネに続く重要な経営資源といわれており、企業は多様なデータの獲得に注力しているほか、それを活用したさまざまなマーケティング手法の導入が進んでいます。この背景には、ビッグデータやAIの登場によって膨大なデータの分析が実用化レベルで可能になったことがあります。

しかし日本では、昨今、デジタル変革の重要性は各所で指摘されるものの、正式な定義が存在しないことから、業界や企業によって捉え方は様々であり、デジタル変革によって企業が何を達成すべきかが曖昧であるように感じられます。

デジタル化に伴うリスキリングの重要性

企業の戦略は、時代の変化に合わせて変わっていきます。その際にどのように対応していくのかのカギとなるのがリスキリングです。

①解雇されることなく仕事を継続できる

かつて花形だった部署が衰退し、消滅するのは決して珍しいことではありません。その際に余剰人員となった従業員の雇用を守り、活用するための手段となるというのがリスキリングが重視される1つ目の理由です。リスキリングに取り組んだ従業員は、一度は余剰人員とみなされても解雇されることなく仕事を継続でき、企業は採用活動をすることなく人材不足を補うことができるのです。

注意ポイント

技術の進歩は早く、あらゆるスキルはすぐに時代遅れになります。当事者にとって、自らのスキルが古くなっているという事実を受け入れるのは難しいことかもしれませんが、リスキリングを成長の過程として捉えられなければ、従業員は職を失い、企業は衰退していくでしょう。

②DXへの対応に必要不可欠

リスキリングが注目されるもう一つの理由は、デジタルトランスフォーメーション(DX)への対応です。DXとは、単にデジタル化や効率化を意味するのではなく、企業の製品やサービス、ビジネスモデル、さらには組織自体の根本的な変革を指します。事業構造の変化は、全てのビジネスプロセスでこれまでとは異なるスキルを必要とします。このため、DXへの対応はIT技術者だけの責任ではありません。

すべての従業員には、会社の変化を把握し、新しい知識やスキルを習得し、新しいシステムに適応しながら業務を遂行し、利益を生み出す能力が求められます。企業がDXに真剣に取り組む際には、全従業員のリスキリングが不可欠です。自社の従業員が持つ現在のスキルと、将来必要になるスキルを明確に把握し、そのギャップを埋めるためのリスキリングプログラムを計画し、実施することが重要です。

少子高齢化から生じる、経営上・人材戦略上の課題

少子高齢化から生じる、経営上・人材戦略上の課題

近年の人口減少や少子高齢化、 都市部への人口集中の急速な進行によって、様々な課題が顕在化しつつあります。「地域」「組織」「個人」という観点から課題を考えましょう。

観点課題
地域・地域における医療・介護や移動手段の確保
・空き家問題や貧困問題などの複雑化
・多様化する地域課題への対応
組織・様々な分野で担い手が不足
・競争率(受験者数/合格者数)が年々低下
・必要な人材を確保することが困難
個人・「仕事」や「家庭・プライベート(私生活)」に対する価値観の変化・多様化
・柔軟な働き方・ライフスタイルを選択できるような社会が求められる

新型コロナウイルス感染症によりデジタル化の遅れが浮き彫りに

令和2年1月から世界的に急速な広がりを見せ、今なお収束しきっていない新型コロナウイルス感染症に関しては、日本においても国民の日常生活に大きな変化をもたらしました。この感染症の拡大により、都市部への人口集中による感染リスクや、経済機能等の国の中枢機能が一極集中していることのリスクが改めて認識された一方で、テレワークなどのリモートサービスの活用・定着が進み、多様な働き方や地方移住を前向きに検討する気運が高まリました。

行政分野でのデジタル化・オンライン化の遅れ、デジタル専門人材の不足など、社会の様々な課題やリスク、これまでの取り組みの遅れや新たな動きなどが浮き彫りにもなりました。

こうした中、総務省においては、地方公共団体に向けて、新型コロナウイルス感染症のまん延防止のため、出勤者の削減に取り組むよう要請しました。また、地方公共団体等におけ るテレワークの導入を促進するため、テレワークマネージャーによる相談体制の強化や、地方公共団体における職員向けテレワークの導入経費について特別交付税措置を講じるなど、テレワーク導入に向けた支援を強化しました。民間企業でも同様にテレワークは浸透し、コロナ前と比較するとテレワーク導入率は上昇し、商談や会議が遠隔開催で行われ、WEB会議が定着するなど、場所にとらわれない 働き方の環境整備が進みました。

人材マネジメントに時間とコストをかける必要がある

今後の少子高齢化の進行による生産年齢人口の減少を踏まえると、限られた人材を最大限に活用して課題解決に取り組む必要性が年々高まっているというのは、言うまでもないでしょう。人材を「人財」として捉え、人材を「マネジメント」する視点に立ち、必要な人材の確保、 育成、能力開発に時間とコストをかける必要があります。従業員の職歴、研修情報、能力・資格情報、将来のキャリアビジョン、人事評価結果等の人事情報を活用し、研修やOJT、人事評価、配置等の人事制度を、総合的かつ包括的に運用しながら、人材を育成することが求められます。「人材マネジメント」 の視点に立ち、人材育成の取り組みを進めることは、どの業界・企業においても必須事項と言えるでしょう。

リスクマネジメントの必要性

リスクマネジメントの必要性

デジタル技術の進化にともなう経営環境の劇的な変化に加え、今般の新型コロナウイルス感染拡大により、企業が対処すべき経営課題は大きな変化にさらされています。日本企業が決して変化に適応できていないと言うのではありません。戦後からの復興、高度経済成長、あるいはオイルショックや円高、日米通商摩擦など、様々な外的要因による経営環境の変化に対して、日本企業はうまく適応してきました。

しかし、それらの適応は、現象対応的、受動的なものであったとも言えます。もはや環境が変化することが当然となっている今日においては、むしろ、いかに能動的に変化に適応していくかが重要であり、そのための組織づくりが不可欠となっていると考えます。社会の変化はますます激しさを増しています。

こうした変化を想定しながら、絶えず事業を見直し、人材や組織の力を高め、新たな価値を生み出し続けることが最大の経営課題であると言えるでしょう。

人材マネジメントについてはSトレにご相談ください

人材マネジメントについてはSトレにご相談ください

人口減少や少子高齢化が急速に進む中で、企業においては、課題に的確に対応し、人材を確保し、育成する重要性がますます高まっています。今般の新型コロナウイルス感染症は、国民の日常生活に大きな変化をもたらしました。テレワークなど働き方改革の推進やデジタル技術の活用 など、さらなる取り組みの推進が求められています。今後、さらに少子高齢化の進行による生産年齢、人口の減少に伴う一層の働き手不足も指摘されており、 限られた人材を最大限に活用し、組織力の向上を目指すための取り組みが必要でしょう。

併せて、 職場としての魅力を高め、従業員個々のモチベーションの向上につなげるとともに、 多様な人材が働きがいを感じ、健康的で多様な働き方ができるよう環境整備を進めていかなければなりません。その際、取り組みのポイントとなるのは、人材を「マネジメント」する視点です。人材マネジメントについてもっと詳しく知りたい方はSトレまでお問い合わせください。

民間企業における事例も踏まえ、人材を「人財」として捉え、組織全体で、人材をマネジメントする視点に立ち、「人材確保」、「人材育成」、「適正配置・処遇」及び「職場環境の整備」に取り組んでいく必要性について記載しました。人材育成の取り組みを計画的に、実効性高く進めていくことが重要です。

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人材を企業価値向上の中核に据える「人的資本経営」の推進が叫ばれる日本で、人材投資の一環として「コーチング」の活用は、今後も広がると考えています。 そこで今回のコラムでは、近年話題のビジネスにおける「コーチング」について記 ...

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人材を企業価値向上の中核に据える「人的資本経営」の推進が叫ばれる日本で、人材投資の一環として「コーチング」の活用は、今後も広がると考えています。

そこで今回のコラムでは、近年話題のビジネスにおける「コーチング」について記載します。特に管理職の方は、知っておくべきスキルですので、是非ご覧ください。

雇用の変化

雇用の変化
日本では今、戦後の経済成長モデルとは異なる新たな市場経済の枠組み、新たな企業経営の姿、さらには新しい働き方が求められています。企業に経済的側面のみならず、社会的側面と環境的側面の責任を期待する「企業の社会的責任(CSR : Corporate Social Responsibility)」の広がりがその一つです。かつての男性正社員に見られた仕事中心の生活を見直し、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」を推進する社会的な動きも始まりました。

更に年齢、性別、国籍、健康状態などの異なるさまざまな人々が、一人ひとりの能力を発揮して企業を発展させる「多様な人材の管理(ダイバーシティ・マネジメント)」は、真のグローバル化を目指す企業において重要課題に位置付けられています。

コーチングなどの面談の種類

コーチングなどの面談の種類と概要

スポーツの世界でよく耳にする、チームや選手を勝利に導く「コーチング」が、企業の中での社員の能力開発や組織活性化の手法として注目されています。対話を通じて主体的な行動変容を促すコーチの存在は、働く人の生産性を向上させる可能性を秘めています。

相談者に対する「面談の方法」は重要ですが、実は面談にも様々な種類があります。今回のテーマである「コーチング」以外にもカウンセリング、ティーチング、コンサルティングなどの方法があります。

それぞれの概要について、下記表をご覧ください。

▼面談の種類・概要

名称コーチングカウンセリングティーチングコンサルティング
概要「答えは相談者が持っている」という考えのもと、コーチが質問と承認を繰り返し、相談者の意識を引き出す専門知識を持ったカウンセラーが行う対話をベースとしたメンタルサポートおよび相談学校の授業や社内研修が代表例であり、知識を持たない学習者に対して、指導者が教授すること専門家が有する知識と経験をもとに、相談者の問題解決策を提案し、共に実行していくこと
主な目的相談者の目標に向けた意識や行動変容を促すこと精神的に落ち込んだ状態から健康な状態へ戻すこと問題の解決に必要な知識を教えること対等な関係で問題解決に当たること
時間明確な答えがない悩みをじっくりと考えていく明確な答えがない悩みをじっくりと考えていく早期解決が可能早期解決が可能
マインド主体的主体的受動的主体的かつ受動的
メリットコーチから答えが与えられるわけではなく、自分で考えて答えを出すので、考える力が養われることカウンセラーは相談者の話を否定することなく傾聴するため、相談者は傾聴により、「これでいいんだ」と自分を肯定された気持ちになり、癒され回復していくこと問題に対して解決方法をダイレクトに伝えるため、緊急性の高い問題に対しては有効であること専門家が解決に最適な方法を提案する
コーチングとは

コーチングとは、自ら考え行動できる人材を育てることを目的として行われる面談とも言えるでしょう。

2種類のコーチングスタイル

コーチングスタイルには、大きく分けて「指示型コーチング」と「非指示型コーチング」があります。

指示型コーチングと非指示型コーチングにはどの様な違いがあるのでしょうか。スタイルや事例を下記表に記載しておりますのでご覧ください。

▼「指示型」と「非指示型」の違い

指示型コーチング非指示型コーチング
スタイル相手に対して考え方や行動の仕方を「教えていく」スタイル相手に対して「気づくきっかけ、考えるきっかけ、行動するきっかけを与える」スタイル
事例野球のバッティングコーチが、スイングの仕方を選手に教えること。コーチのもっている技術や知識を相手に伝えて、そのとおりにやらせる方法コーチの知っていることをやらせるのではなく、相手のもっているものを引き出すこと

近年注目されているのが「非指示型のコーチングスタイル」です。その理由には、以下のような内容が挙げられます。

非指示型のコーチングスタイルが注目される理由
  • 自発的な行動が発揮しやすくなる
    非指示型のコーチングスタイルを受けることによって、自発的な行動が発揮しやすくなる
  • 上位者の知識・経験がなくてもカバーできる
    現代のビジネスシーンでは、上位者(上司、管理者)のもっている知識や経験が陳腐化するのが早く、かならずしも下位者(部下)にとって有効とは限らず、また下位者のほうが知識や経験が豊富な場合もある。非指示型のコーチングスタイルでは、それをカバーすることができる
  • 自分で考えられるようになる
    人間の能力を向上させるには、与えられた知識や技術を受け入れるだけではなく、自分で考えることが重要であり、そのためには「非指示型のコーチングスタイル」が有効である

競争が激化する一方の現代のビジネス環境においては、成長の可能性を有した有能な人材を確保し発揮させることが、ビジネスの勝敗に直結するといっても過言ではないでしょう。

2つのコーチングの分類

コーチングは、誰を対象とし、どんな目的で行うのかで、いくつかに分類することができます。その中で、「パーソナルコーチング」と「ビジネスコーチング」という2つの分類があります。

この2つの分類における違いについては以下の表をご覧ください。

▼コーチングの分類

パーソナルコーチングビジネスコーチング
コミュニケーションの違い利害関係のない間柄において、相手個人が欲するものを手に入れたり、実現したり、あるいはよりよい状態への変容を、サポートするコミュニケーション組織の目的を達成するために、その構成員の各種能力を高め、業務遂行に対するモチベーションを維持向上するためのマネジメントツールとしてのコミュニケーション
時間的制約一般的に小一般的に大
被コーチング開始動機自発的(能動的)他動的(受動的)

組織の中で働く方は、ビジネスコーチングについても理解を深める必要がございます。

ビジネスコーチングを円滑に進めるための注意点

ビジネスコーチングを円滑に進めるための注意点

コーチングが効果を発揮するためには、コーチングを受ける人自身の喜びが土台となっており、それはパーソナルコーチングでもビジネスコーチングでも同じです。

ビジネスコーチングを受けることによって、その個人は、仕事に対しての喜びや職場での満足感を得やすくなります。そして組織のみならず自分自身にとっても大変好ましい状態を作りだすことができます。そのため、管理者が部下へコーチングをする際には、単なる管理ツールとして行うのではなく、その部下にとってよい結果になる、ということを肝に命じ、熱意をもって実施することが重要です。

具体的に注意点を3つ記載します。

  1. 個人の利益と組織の利益が一致する部分を見極める
  2. 上司の影響力は思っているより強いことを理解する
  3. 時間のかかり具合によるテーマを選択する

それぞれ見ていきましょう。

個人の利益と組織の利益が一致する部分を見極める

組織の目的を第一に優先した会話だけでは、コーチングは機能しにくくなります。しかし部下の個人的なビジョンだけを取り扱っていては、組織としての向上にはつながりにはません。

両方が一致する部分がどこなのかを見極め、そこに焦点を当て、また相違のないように進めていくことが重要です。

上司の影響力は思っているより強いことを理解する

組織において、上司は自分の考課者であり、部下としてはどこまで本音で話してよい相手なのか警戒する対象です。したがって、部下は無意識のうちに用心しながら上司と会話をするものです。それゆえ、上司の微妙な非言語的コミュニケーションを無意識のうちに敏感に察知し、自分に不利にならないような発言を選択していきます。

一言メモ

上司と信頼関係が相当深まっていてもこの傾向は残るため、そのことを承知の上で話しを聴くことが重要です。

時間のかかり具合によるテーマを選択する

ビジネスシーンでは、時間は大変重要な要素です。それゆえ、ゆっくり部下と話をする、部下の話を聴く、ということは難しいものです。コーチングは、一方通行的な指示や命令・報告ではなく「会話」ですから、それなりに時間もかかります。

一言メモ

多くの時間をかけてもよいテーマ、少しの時間でも可能なテーマの選択が重要です。

「コーチ」と「クライアント」の関係

「コーチ」と「クライアント」

コーチングには、コーチングをする側の「コーチ」と受ける側の「クライアント」がいます。ビジネスコーチングの場合、一般的には上司がコーチ部下がクライアントになります。コーチとクライアントの関係について、以下に記載します。

クライアントの立場とコーチの役割

コーチングにおいて、クライアントは主役ではありますが、コーチのコントロール下にあります。コーチに身をゆだねる立場、といってもよいかもしれません。もともとコーチというのは、4頭立ての馬車のことです。

馬車に乗った客(クライアント)は、自分の目的地を告げ、あとは馬車に委ねます。目的地に無事に着けるかどうか、時間通りに着けるかどうか、乗り心地が良いかどうかなどは、御者次第です。

では、コーチはどういう立場でしょうか。コーチは、クライアントを目的地に連れて行く役割ですが、それは組織にとって有益となることが第一の目的です。そして、そこに到達するために、クライアントの能力向上ややる気を引き出し、あくまで本人の力でそこに到達するように「サポート」することが大切です。具体的には下記の2つの方法です。

コーチの大切な役割
  • 部下の能力を引き出す
    コーチの役目はリードすることではなく、部下の能力を引き出す役割を果たすことです。
  • 組織として目的地に到達させる
    コーチがサポートするのは個人の目的地ではなく、組織としての目的地に到達させることです。

上司としてのアイデンティティに固執しすぎない

人間には、組織において何らかのポジションに就いているときに、そのポジションにいることの正当性を周りの人や自分自身に常に明示しておきたい、という深層心理があります。そのため、無意識のうちに、正当性を確認するような発言を行っているのです。これはとくに部下に対して行われます。

なぜなら、部下から「上司」と認めてもらうことが、自身のアイデンティティの確立にとって重要だからです。例えば以下のようなことです。

  • 部下に自分の考えをひけらかす
  • 部下のアイデアを否定して、自分のアイデアを認めさせる
  • 部下の責任で仕事を任せることをしない
  • 「~してやってる」というように、部下に恩を着せるような口調で話す

簡単に言えば、「部下より自分は優れている」ということを無意識のうちに示しているのです。コーチングにおいて、コーチとクライアントの関係は「対等」です。ですから、上司は部下よりも「偉い」必要はありません。もちろん部下が偉いということでもありません。

一言メモ

「相手をひとりの人間として尊重する」というスタンスに立ち、上司という立場に固執しすぎないことが重要です。

部下の潜在能力を信じる

部下の潜在能力を信じることができないと、現在の仕事ぶりや能力だけで部下を判断しがちです。部下の能力を「不十分」と感じたら、仕事や判断を任すことをしないで、上司が指示を出し始めることが多いでしょう。普段のコミュニケーションでは、こういうことも問題ありませんが、コーチングをする場合は少し考え方を変えてみましょう。

「この部下はもっと発揮できる能力があるはず」「今は何らかの理由でやる気が出ていないだけで、本当は情熱をもっているに違いない」というように、部下の潜在能力を信じることです。そして、そのポテンシャルを引き出して行くことが、上司の役割であることを認識しましょう。それができればこそ、コーチングスキルが有効になるのです。

上司と部下の信頼関係

上司と部下の信頼関係
コーチングが機能するために大切な土台となるのが、上司と部下の信頼関係です。この信頼関係が十分になければ、いくらコーチングスキルがあっても効果はなかなか得られません。特に部下がコーチである上司を信頼していることが重要です。なぜなら、部下がどれだけ本心で話しができるかによって、本人の気づきの深さや視点の変化度合い、行動へのきっかけの強さが異なるからです。

前述したように、部下は上司に対して大なり小なり何らかの警戒心をもっています。そのため、まずは警戒心を薄めてゆくようにしましょう。相手の警戒心を薄めるにはいくつかの方法があります。その方法を以下に記載します。

信頼関係(ラポール)とは

話し手と聴き手の間に築かれる信頼関係のことをラポール(Rapport)と言います。コーチングがうまくいくかどうかのかなりの部分は、ラポールの構築にかかっており、しっかりとしたラポールが築けると、部下はカウンセリング関係の中で、安心して自由に振る舞ったり、素直な感情を表現できるようになります。

一言メモ

ラポール構築のためには、カウンセリングの基本的態度(純粋性、受容的態度、共感的理解)が重要です。

面談のスキル

面談を実行する上で、今一度見直していただきたいスキルについては、以下の通りです。

(1)問題の把握

面談が進む中で、上司と部下が相互に確認をとりながら、相談内容に関しては部下はどのような目的で相談したのか、どんなことを解決したいのかを確認していきます。課題達成や問題解決などのためには、部下自身が積極的に決定に関与し、行動する意思を持たなければなりません。

一言メモ

上司は、部下の心理的ステップに配慮して、無理のない進め方を心がけることが大切ですが、その根幹には、相手の自主性、主体性を尊重し、過度に他者依存的にならないようにする配慮が必要です。

(2)目標の設定

課題達成や問題解決のためには、上司と部下が共有できる目標の設定が必要です。そして、目標は具体的であり、実現可能であり、部下にとっての価値がなければなりません。

上司は、そのような目標を共同作業を通じて作り上げる必要を説明し、部下が明確に宣言できるよう援助します。

(3)方策の決定と実行

目標が設定できたら、次に、それを実現するための方策を定め、実行に移します。ここでいう方策とは、面談の目標を達成するための行動計画のことです。

面談における方策の実行は、一般に次の6ステップで進められます。

▼面談における方策の実行の流れ

①可能性のある方策をいくつか考え、その中から最適な方法を選ぶ

 
②方策実行のプロセスを、部下に説明する

 
③部下のニーズに合うように方策を変更する

 
④方策達成のために、上司と部下で約束事を決める

 
⑤決定し約束された行動を行動の主体である部下が自分の責任で実行する

 
⑥方策の実行全体をチェックする

(4)成果の評価

最終段階は、成果を適切に評価し、無理のない終結に導くことです。成果の評価は、部下の成長と上司の成果の両面から行う必要があります。

部下の成長
  • 感情面だけでなく行動面も変化したか
  • 評価の主体は上司ではなく部下である
上司の評価
  • 具体的な結果(目標の達成度など)
  • 質的な側面(部下の自信につながったかなど)
  • 時間的枠組み(所要時間や回数は適当だったかなど)

(5)面談の終了

部下に正式に面談の終了を宣言し一区切りを付けます。延々と面談を続けることは、部下の自律性を阻害する危険性があるため、避けるべきです。部下には、将来さらに必要が生じた場合には、面談に応じることを伝える必要もあります。

面談が終了したら、上司は、今後のためや部下に対して責任をとるなどのために、記録を整理して保存しておくと良いでしょう。

おすすめポイント

記録には、部下の名前や部署名、面談を担当した上司の名前、面談の目標や時系列の実施記録、成果、上司の所感などを記しておくと、今後部下が部署を異動する際や昇格面談時の判断の際にも役立ちます。

コーチングの手法を学びたいならSトレにお任せ!

コーチングの手法を学びたいならSトレにお任せ
コーチングの手法を学ぶことは、OJTや部下指導を行う際に、管理者にとって大変メリットのあることです。コーチングの手法を知っているか知らないかでは、指導力に大きな差がつきます。そして、コーチングの手法は先天的な能力に頼るものではなく、後天的な学習(自己啓発等)によって誰でも習得することができるものです。

Sトレーニングでは、コーチングの手法を効果的に学ぶことができるプログラムもご用意しております。是非ご活用ください。

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中堅・中小企業が求める人材を確保するためには、求職者から選ばれる組織になる必要があります。求人票を出して待っているだけでは、人は集まりません。魅力ある社員、魅力ある職場となるためには、今、組織の強化が求められています。 ...

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中堅・中小企業が求める人材を確保するためには、求職者から選ばれる組織になる必要があります。求人票を出して待っているだけでは、人は集まりません。魅力ある社員、魅力ある職場となるためには、今、組織の強化が求められています。

また、「働く」ということに対する個人の価値観も変容してきており、MVV(企業のミッション・ビジョン・バリュー)への高い貢献意欲を持つ人材を確保し、やりがいを持って働き続けることのできる職場環境をつくるには、人事部だけではなく企業全体としての取り組みが必要です。

本記事では、中堅・中小企業において、なぜ企業全体で組織人事に関心を持ち、取り組みを実行する必要があるのかを解説します。企業の人事・教育担当者はもちろん、管理職・幹部・経営陣にも是非読んでいただきたい内容です。

10年前と比較した変化

10年前と比較した変化

中堅・中小企業の中には、組織人事マネジメントが、10年前から殆ど変化していない企業も存在します。

デジタル化、少子高齢化、働き方改革など、この10年間で社会の変化や国家施策も進展しており、これらの変化は企業の人事マネジメントにも影響を与えています。具体的にどのような変化があるのでしょうか。

  1. 中小企業をとりまく環境の変化
  2. 人材育成を基軸に据えた人事管理の必要性の向上
  3. 良い組織でなければ「良い人材」には選ばれない

それぞれ見ていきましょう。

①中小企業をとりまく環境の変化

デジタル社会の到来は、企業に新しいチャレンジと変化をもたらしています。定型業務のデジタル化により、高度な専門性を要する業務に従業員が集中できるようになりました。これにより、企業はより効率的かつ効果的に業務を進めることができます。

また、組織の運営と発展を支える人材の育成は、今後の競争力を保持するために不可欠です。少子高齢化が進む中で、新しい世代のリーダーを育て、経験と知識を次世代に伝えることが重要となっています。そして、実務に精通した人材を育成し、職務のノウハウを確実に継承することが急務となりました。

②人材育成を基軸に据えた人事管理の必要性の向上

今後、限られた人数で増える顧客ニーズに効果的に対応するためには、担当部門が担うべきコア業務を明確にし、執行体制を整える必要があります。これには、絶えずの努力と改善が必要となります。また、コア業務に必要な知識、能力、スキル等の人材要件を具体的に定義し、適切な人材を確保し、育成することも重要です。

コア業務の「明確化」と人材の「精鋭化」は、企業の成功のために一体として推進するべきです。企業を牽引し、支えるプロフェッショナル人材を育成するためには、社員自身が「自己成長」の意識を持つことが重要です。これにより、社員は企業の将来に対する「ビジョン」を持ち、自らの「選択」で強みを発展させ、キャリアを築くことができます。そのために、効果的な人事管理(制度・運用)を確立し、社員が自らの可能性に挑戦できる環境を提供する必要があります。

③良い組織でなければ「良い人材」には選ばれない

若手社員の育成に焦点を当て、受けた教育を次世代に伝えるサイクルを確立することは、組織全体の成長を促進します。そして成長する組織と社員の姿の発信を強化することにより、より優秀な人材を集め、定着させることができます。

組織の活性化と強化のためには、社員が意欲と能力を最大限に発揮できる環境の構築が不可欠です。これには、研修、人事評価、給与などの各要素が密接に連動して動く必要があります。研修だけでは社員の成長は限定されます。各社員が自らの役割と責任を理解し、組織が人材育成基本方針に基づいて各種制度で支援することが重要です。

▼例:育成方針

~入社3年目社会人としての基礎固めをする。

・自社組織についての理解を深める。
・担当業務の内容を理解する。
・上司の指示に従い、担当者として業務を迅速かつ正確に処理する能力を身につける。
・服務規律の遵守
・組織理解
・業務知識とスキルの習得
入社4年目
~29歳
(主任)
能力を伸ばし、大いに発展する。

・常に改善の意識を持って担当業務の効率化を図り、サービス向上を実現する。
・管理職と連携しながら新規採用や部下の育成に努める。
・経験を積み、広い視野を得るため、様々な分野の仕事に携わり知識を習得し、自らのキャリア形成の基礎を作る。
・部下指導
・業務改善提案
30歳
~35歳
(係長)
係の中心となり、第一線で実務を行う。

・マネジメントや部下の指導などを通じて、お互いの能力を高め合うための取組みを積極的に行う。
・将来の管理職としての自覚を持つ。
・係のマネジメント
-部下の指導・フォロー
-的確な進捗把握
・上司の補佐
・施策改善の企画、立案
36歳
~40歳
(課長)
【管理職】
課の中心となり、業務を遂行しながら課をマネジメントする。

・仕事を通じて部下を指導育成しつつ、着実に実務を遂行する。
・担当業務や職務について、先見性を持って予測するとともに、発生した課題をスピード感を持って解決する。
・課の部下に対して卓越した知識・技術を有し、的確な進捗把握のもと、円滑な業務執行を図り、部下への適切な助言と指導を通じて信頼を得る。
・担当業務の知識の習得に向けて常に努力し、調整力に長けていると同時に、上司への報告
・課のマネジメント
-所属目標の明示(設定)と管理
-的確な判断と指示
40歳~
(部長)
【管理職】
組織の目標達成に向け、部下への権限委譲をし、責任を負う。

・組織としての目標を設定し、目標を達成するためのチームをつくる(組織の目標達成に向け、的確な判断や指示を行う/組織・職場の目標を社員一人ひとりに確実に浸透させ共有する)。
・部下に仕事を任せながら、人材育成と組織の活性化を図る(職務に関する背景や意義などを部下に伝え、職務の意味を把握させ、やりがいを感じさせる/仕事の達成感等喜びを与え、目標を高い水準で達成させる/部下の仕事内容や進捗具合を常に把握し、適切なサポートと指導を行う/部下の仕事内容を普段から十分に把握し、適正に評価する/人事評価を活用し、 信賞必罰の実行をする)。
・業務の改善を中心となって行う(部下の評価は自分の評価であることを認識し、部下指導・育成を怠らない/業務の問題を認識し、必ず解決するという意識を持つ/前例にとらわれることなく、より効果的・効率的な方法がないか考える)。
・組織のマネジメント
・施策改善の中心的役割
・将来の幹部候補人材の発掘・育成

このような人材育成基本方針が明文化されている企業とそうでない企業では、明文化されている企業の方に人が集まる傾向があります。

人材確保と早期育成のための戦略

人材確保と早期育成のための戦略

前項で述べた通り、望ましい人材を確保するためには、選ばれる組織である必要があります。選ばれる組織になるためには、企業は採用プロセスにおいても慎重に進める必要があります。このセクションでは、人材の確保とその早期育成のための戦略に焦点を当てます。

①自社の将来像の実現を担う人材を採用する

自社の求める人材であるかを、企業側と求職者側の双方が理解することが重要です。そのための戦略として、以下に3つ記載します。

自社の求める人材採用のための戦略
  • 「選ばれる組織」になるために、採用と育成を全社的な取り組みとして実行する
  • キャリア等に応じて採用試験の手法を選択し、必要な人材を見極める
  • ミスマッチを防ぐため、求める人物像や採用後の育成方針を事前に伝える

【戦略1】
「選ばれる組織」になるために、採用と育成を全社的な取り組みとして実行する

  • 採用から育成までを組織全体で取り組むという意識を醸成する
  • 新規採用社員の育成指導員制度及びメンター制度を導入し早期育成を図る
  • 採用後のOJT継続実施・人事評価を活用し育成する
  • 求職者向け採用試験説明会・職場見学・インターンシップを実施する

【戦略2】
キャリア等に応じて採用試験の手法を選択し、必要な人材を見極める

  • 適切な採用試験の手法を職種ごとに選択する。
    例)適性検査(SPIなど)、小論文、面接(集団・個別)、エントリーシートの導入など
  • 新卒、第二新卒、社会人経験者、専門職など、キャリアや職種に応じた評価基準の整理を行い共有化する
    【キャリアによる評価の着眼点】
    新卒・・・学生時代までの経験から見極める。
    社会人経験者・・・過去の仕事の成果・経験から見極める。

【戦略3】
ミスマッチを防ぐため、求める人物像や採用後の育成方針を事前に伝える

  • どのような人材を求めるのか、自社で働く魅力を発信する
  • 人材育成基本方針の「求める人材」を基本に面接を行う
  • ミスマッチ防止のため、採用後の育成方針を示す

履歴書や雇用条件などの紙面だけで採用不採用を決めるのではなく、採用前に企業側と求職者側の双方が理解を深められる仕組みを、企業側は構築する必要があります。

職員としての基礎固めのための職場内研修(OJT)の実施

入社後の個人の目標を具体的に決めることで、「1人で完結できる社員」へ、そして「自ら考える社員」へ変革させることができます。
以下に例を記載します。

▼例:確実に習得する事項

入社3か月後社員として必要な基礎実務能力を習得する(業務の進め方・基本マナー)。

・相手に応じて適切な挨拶ができ、電話応対も問題なくできる。
・文書作成、起案の作成、日常の事業運営に係る指示業務を遂行できる。
・業務上の指示について、業務の根拠、目的、対象を理解し、遅滞なく進めることができる。
・自分が携わった業務を振り返り、業務の根拠、目的、対象をまとめ、スケジュール等必要な実務に関するマニュアルをまとめることができる。
・他課の決裁や上司の指示業務について疑問のある場合は、上司や先輩に質問したり、自ら調べて疑問解消することができる。
入社6か月後実務での自立を目指すと共に、課題発見の習慣を身につける。

・担当業務について、業務内容や制度について、根拠となる法令・条例とともに理解し、外部からの問合せに対応できる(法的根拠を確認する習慣を身に付ける)。
・指示された業務内容について、業務実施の根拠、目的、対象を明らかにし、過去の起案等を参考にして、業務実施に向けたスケジュールを明らかにした上で、遅滞なく進めることができる。
・自らの担当業務について、課題を見つけ、改善の方法を検討し、上司や先輩に相談することができる。
入社1年後実務担当として自立し、1人で完結できる。

・担当業務について、5W1Hを踏まえて明確に説明でき、自らの経験を元にスケジュールを立て、余裕をもって進めることができる。
・業務内容の理解を深め、問題点や課題の洗い出しと改善策の提案ができ、上司・先輩の協力と指導のもと実行できる。
・業務内容や制度について、根拠法令・条例も理解した上で、より細かい問合せにも対応できる。
・他の所属の社員から頼られると同時に、支えてもらえる社員になる。
・困ったときに頼れる社員を増やし、ネットワークを構築する。
・担当業務だけではなく、課内全般の業務を一定理解する。

入社後、1年が経過するまでにどのような状態になって欲しいのか、雇用開始時に新入社員と擦り合わせを行うことが重要です。

次のチャプターでは、「高水準で目標を達成できる集団を育成する」ための手法を記載します。

高水準で目標を達成できる集団を育成する

高水準で目標を達成できる集団を育成する

高水準で目標を達成できる集団を育成するために、人事評価制度を活用します。人事評価制度とは、個々に差をつけることだけが目的ではなく、組織全体の業務能率やパフォーマンスの向上、人材の活用・育成を目的とします。

人事評価制度の活用には、以下のようなメリットがあります。

人事評価制度の活用によるメリット
  • 一人ひとりが高水準で目標を達成することで、組織全体の目標達成レベルを上げることができる。
  • 仕事を通じて社員を育成するという風土が形成され、強み弱みを確認して、育成計画を立て、職場指導や研修受講指導を行うことができるようになる。
  • 働きがいとやりがい、達成感を与えることができる。
  • 制度を活用し、風通しのいい組織を目指し、良好な人間関係の構築と業務能率向上につなげることができる。
  • 評価シートから、部下が「日頃感じていること」や「挑戦していること」を把握することができる。
  • 管理職のマネジメント力向上を目指すことができる。

また、人事評価制度は人材育成に活用できます。人事評価制度がどのように人材育成に活用できるかについて、解説していきます。

①人材育成と能力評価

能力評価は、人材育成に活用できます。能力評価は、組織の求める行動に社員を誘導するもの(人材育成基本方針と連動)であるためです。

具体的に、日常業務で確認していきます。

例:能力評価の人材育成への活用
  • 求められる能力(評価項目)を中心に日々指導する(OJT実践)
  • 元々の保有能力や人間性ではなく、評価期間中に発揮した能力を評価する
  • 評価者(管理職)は部下の仕事ぶりを正しく把握し、仕事を通じて職員を育成する(OJT実践)
  • 評価のプロセスを着実に実行することで、評価者(管理職)のマネジメント力とコーチング能力の向上を図る
  • 評価結果を分析し、求める行動に達しない結果が目立つ項目は研修計画などに反映する

②人材育成と業績評価(目標管理)

業績評価も、人材育成に活用できます。業績評価は、組織目標と連鎖した個人目標の達成に誘導するためのもの(目標必達)であるためです。

具体的に、日常業務で確認していきます。

例:業績評価の人材育成への活用
  • 達成基準を明確にして進捗管理を行う
    ⇒マネジメント力・コーチング力を発揮する。
  • 目標達成のための努力過程で職員を成長させる。
    ⇒上司からの適切なアドバイスやフォローで目標達成に誘導する。
  • 少し高い目標を指示する。
    ⇒目標をもつことで、工夫し能力が向上する。
  • 高水準での目標達成の実績を評価し、直接伝えて成長させる。

通常業務(本来行うべき業務)を目標に設定し、『確実に目標を達成させる』『高い水準で達成させる』ことが重要です。

③人材育成と面談

面談も、人材育成に活用できます。面談は人材育成や社員同士のコミュニケーションの最重要機会(信頼関係の構築)であるためです。

また、業務やメンタル面のトラブルの早期発見・解決・プロセスの改善につながります。社員を「財産」ととらえマネジメントする視点で面談することが大切です。
例を見てみましょう。

例:面談の人材育成への活用
  • 組織目標と個人の役割・目標を擦り合わせる。
    ⇒ゴールの確認と共有、組織目標の達成を促す(認識のずれは信頼関係の崩壊につながる)。
  • 職場の活性化、モチベーションを向上させる。
    ⇒部下の希望や潜在的な能力を把握する。
  • 少し高い目標を指示する。
    ⇒目標をもつことで、工夫し能力が向上する。
    普段上司に話しにくい意見や希望について話す機会と捉える。
    仕事に対する責任感や自己向上意欲が高まる。
    チャレンジしていることを把握する。
  • 部下の状況把握の機会拡大とする。
    ⇒指導育成に活用、キャリアアップ・実務能力アップ支援が可能となる。
    メンタル不調の早期発見につながる。
    コンプライアンスの保持につながる。

なぜ社員研修が必要か

なぜ社員研修が必要か

前項では、人事評価制度がどのように人材育成に活用できるかについて解説しました。人材育成には、社員研修も必要です。

社員研修は目的・効果・役割を正しく理解した上で、積極的に取り入れると良いでしょう。

社員研修は、社員に対して成長する機会を与え、意欲の継続を支援することにつながります。社員研修は社内研修はもちろん、外部を活用することも有益です。

研修制度の目的
  • 社員が自社の求める人材になるための支援を行う。
  • 学び取る意欲を持ち続けることが成長につながるという意識付けを行う。
  • 組織が理想とする社員レベルに全社員が到達することを目指す。
  • 「自学・自習」を基本として積極的に知識・技術を習得させる。
研修制度の効果
  • 自ら考え、行動できる自律型職員の育成につながる。
  • 高い能力を有した幹部社員の安定的な確保・育成につながる。
  • 風通しのいい組織の実現につながる。
研修の役割
  • 研修を実施することで、組織の求める理想の人材像とめざす組織の在り方を社員に伝えることができる。
  • 実務に活かせる研修を実施することで、業務能率が向上する。
  • 能力開発や意識改革のヒントを提供することができる。
  • 研修情報を中心に、事業運営に有益な各種情報の発信を行うことができる。
  • 他社合同研修では、他者の社員など、参加者同士の交流を通してネットワークを構築することができる。また、社員が多様な価値観を学ぶ機会を提供することにつながる。
  • 組織及び社員に求められるマネジメント力の向上、キャリア形成を支援することができる。

Sトレーニングでも、階層別(役職別)・職種別(職務別)・目的別の各種研修を取り揃えております。外部研修をご検討の際は、是非ご活用ください。

全社で組織人事マネジメントに取り組もう

全社で組織人事マネジメントに取り組もう

このように、求職者から選ばれる組織になり、求める人材を確保して、企業を成長させていくには、全社で組織人事に対する取り組みに関心を持ち、取り組んでいくことが重要です。

最後に、一般社員と管理職は、各種施策項目に対してどのようなことに注意をして行くべきかを記載します。

施策項目内容
一般社員管理職
人材確保と早期育成・内定者懇談会、求職者向け説明会、面接官等さまざまな機会に参画する。
・企業全体で社員採用に取り組むという風土を醸成する。
・選ばれる組織になるため、魅力ある職場づくりを推進する。
・企業全体で社員採用に取り組むという風土を醸成する。
自ら学習し教えあう風土づくり・研修や勉強会に積極的に参加する。
・持っている知識やスキル、ノウハウを進んで提供する。
・挑戦を支援する風土を醸成する。
・ナレッジマネジメント(※)を推進する。
※ナレッジマネジメントとは、知識を共有して活用することで、新たな知識を創造しながら経営を実践すること
人事制度・自らのキャリアプランのため、人事制度を活用した能力育成に努める。
・自己申告や研修等を積極的に活用し、ネットワークを構築する。
・人と仕事のマネジメントを通じて、ジョブローテーションに対応できる体制を整備する。
人事評価制度・人事評価を契機に自らを振り返る。
・上司との面談を通して、意識、能力の向上につなげる。
・人事評価を育成ツールとして活用し指導、育成を行う。
・被評価者との面談を活用したコミュニケーションを行う。
研修・将来の展望や現在の弱点等を把握し、積極的に研修を受講するなど能力向上に努める。
・能力や経験の棚卸しを行い、キャリアデザインに活かす。
・OJTを推進する。
・社員の積極的な研修受講を妨げない。
・研修内容を実践に活かすよう促す(研修後の効果測定)。
働きやすい職場環境づくり・必要に応じて休暇を有効に活用し、同僚の休暇取得にも理解を示し協力する。
・定時退社できるよう業務の進捗管理を徹底する。
・メンタルヘルスにおけるセルフケアを実践する。
・休暇や育児休業等を取得しやすい職場環境づくりに努める。
・定時退社できるよう業務配分や水準を設定する(業務のマネジメント)。
・メンタルヘルスにおけるラインケアを実践する。

一般社員は、高い水準で目標を達成するために、業務を遂行することが重要です。定期的に自らの能力・経歴を棚卸し、自ら能力向上に努めることを基準とすることを推奨します。目指す人物像を意識し、キャリアをデザインするとともに、社外研修等も積極的に受講し、人的ネットワークを構築することも良いでしょう。会社に守ってもらう、社会に守ってもらうという意識ではなく、自らのワークライフバランスを考え、健康管理に取り組める人材になりましょう。

そして管理職は、高い水準で目標を達成できるチームづくりをすることが重要であり、高い組織経営力を持った風通しのよい組織づくりを行うことを推奨します。OJTを推進し、積極的に部下を育成するとともに、社員が最大限に能力を発揮できる職場づくりをしていきましょう。

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【管理職向け】効果的なリスクマネジメントの具体的な方法とは?事例を元に詳しく解説https://s-tore.co.jp/management-training/1926/Fri, 22 Sep 2023 13:36:02 +0000https://s-tore.co.jp/?p=1926

リスクマネジメントという言葉は、皆さんもよく耳にされている言葉でしょう。その定義は多種ありますが、今回は経済産業省が定めた定義をご紹介します。リスクマネジメントとは、「収益の源泉としてリスクを捉え、リスクの影響を抑えつつ ...

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リスクマネジメントという言葉は、皆さんもよく耳にされている言葉でしょう。その定義は多種ありますが、今回は経済産業省が定めた定義をご紹介します。リスクマネジメントとは、「収益の源泉としてリスクを捉え、リスクの影響を抑えつつ、リターンの最大化を追究する活動」と定義されています。

リスクと聞くと、マイナスの側面をイメージしがちですが、リスクはマイナスの影響だけでなく、収益の源泉でもあると定義されています。リスクは事業を行う上で付きまとうものですが、上手く管理することで、収益に結びつけられるし、管理できなければ損失が生じるという考え方に基づいています。

では管理職はどのようにリスクマネジメントを実践していくべきなのでしょうか。このようなリスクを適切に管理するようなリスクマネジメントを実行する上で、管理職に期待される役割は、下記の2点です。

  1. リスクに基づく損失等の未然防止
  2. リスクに基づく損失等の再発防止

今回は具体的に管理職が職場でどのようにリスクマネジメントを実践していくか、について記載します。

リスクマネジメントと危機管理

リスクマネジメントと危機管理

リスクマネジメントの全体像は以下の手順で構成されます。

事故発生前

(1) 基本方針の策定

 
(2) リスクの洗い出し

 
(3) リスクの評価

 
(4) リスクの優先順位付け

 
(5) 実施計画の策定

 
(6) 実施状況の確認

(1)~(6)がリスクマネジメント
  • 平常時において継続的に実施する対応を指す
  • リスクが顕在化しないように管理する

事故発生後

(7) 危機対応組織の構築

 
(8) 情報管理

 
(9) 復旧活動

(7)~(9)が危機管理
  • 事故が発生してから短時間で実施する対応を指す
  • 損失や被害を最小限に抑えるように管理する

日本において「リスクマネジメント」という言葉が一般化したのは、阪神大震災後であり、その影響もあり、事故後の対応をイメージされる方も多いことでしょう。現場における対応は、事故の発生前後で大きく異なることから、事故発生前の対応を狭義のリスクマネジメント、事故発生後の対応を危機管理とそれぞれ区分されます。

事故発生前後の区分
  • リスクマネジメント
    平常時において継続的に実施する対応であり、リスクが顕在化しない、事故が起こらないように未然防止や再発防止のために実施する活動です。
  • 危機管理
    事故が発生してから短時間で実施する対応であり、顕在化した事故の損失や被害を最小限に抑えるために実施する活動です。

リスクマネジメントの全体像

リスクマネジメントの全体像

今回は現場管理職が日々の対応をしていただくことで、生産性向上を図ることを目的とし、狭義のリスクマネジメントである下記(1)~(6)ついて記載します。

  1. 基本方針の策定
  2. リスクの洗い出し
  3. リスクの評価
  4. リスクの優先順位付け
  5. 実施計画の策定
  6. 実施状況の確認

(1) 基本方針の策定

リスクマネジメントの最初の手順は、基本方針を作成することです。基本方針は、基本目的と行動指針から構成され、基本目的は何のためにリスクマネジメントに取り組むかを明確にするものであり、行動指針は基本目的を達成するために、職場として何をして欲しいかを示すスローガンのようなものです。

これらを設定することで、何を目的として、何をどのように実施するかを明確にすることができます。

(2) リスクの洗い出し

基本方針を策定することで、以下の3つのメリットを得ることができます。

①組織内外に明確な言葉でリスクマネジメントの取り組みを説明することができる

方針を明確に示すことで、取り組みに対する職場内外の理解が得やすくなります。リスクマネジメントが失敗に終わる要因として、こうした周囲の理解が得られないことが往々にしてあります。そうした事態を防ぐことができます。

一言メモ

こうした方針を明確にすることで、職場内でのリスクマネジメントに対する求心力を高め、職場一丸となった取り組みが実現できるようになります。

②リスクマネジメントに関する共通言語を組織内に作ることができる

リスクという言葉に関して、職場内において各人によって定義が異なり、意識を統一することが難しい場合があります。

そうした際に、リスクとは何か、リスクマネジメントとは何か、その目的は何かを明確にすることで職場内において、共通言語と認識が醸成され、職場全体での取り組みに対する効果を高めることができます。

③組織内にリスクマネジメントに関する意識を定着させることができる

何のためにリスクマネジメントに取り組むかを明確にすることで、社員一人ひとりがリスクマネジメントの趣旨を理解しやすくなります。その結果、職場内のリスクマネジメント意識の向上を期待できます。

(3) リスクの評価

洗い出したリスクに対して対応策を検討するためには、リスクの優先順位づけをして取り組むことが重要です。複数の分野にまたがるリスクを客観的に評価するためには、予め評価指標、評価基準、スケールを設定し、関係者が納得する合理性を持ち、わかりやすく評価する必要があります。

評価指標として、「発生可能性」、「影響度」、「管理の脆弱性」が代表的な例として挙げられます。それぞれの指標について、評価基準および尺度の例を記載します。
各社の目的と状況に合ったものを選択して、リスク評価を実施することが重要です。

▼評価基準とスケールの例

評価指標例評価基準例スケールの例
発生可能性(発生頻度)● 過去の発生頻度
● 自己体験、自社や他社での事例
● 企業の文化や特徴
● 高・中・低
● 月に1回程度・年に1回程度・数年に1回程度
● 日常的に発生・中程度・ごくまれに発生
影響度● 業績(売上・利益)への影響
● 社外からの評判への影響
● 経営目標達成への影響
● 業務遂行への影響
● 高・中・低
● 1,000万円以上・100万円以上・100万円未満
● 平均経常利益率の10%以上・10%程度・10%未満
● 全社的な影響・部門的な影響・一部への影響
管理の脆弱性● 規程や対応マニュアルの整備度
● 従業員の理解度
● 高・中・低
● できていない・ほぼできている・できている

(4) リスクの優先順位付け

評価したリスクをリスクマップに表すことで、複数のリスクを相対的に比較することができ、優先的に取り組むべき事項を整理することができます。

(5) 実施計画の策定

リスクの優先順位付けまで行うと、どのリスクが自社では対応の優先度が高いか、等が明らかになってきます。そして今後は、その対策について具体的な実施事項を考えていきます。

まずはリスクマネジメントを実施していく上で、実施計画が必要です。計画概要の事前説明が不十分であると、中々効果を発揮しなかったり、現場社員の理解を得られない状況に陥ってしまうため、実施計画という形で整理していくと良いでしょう。

ポイントは、「5w1h」で整理することです。

▼実施計画を策定するに当たり整理すべき事項

Whyなぜリスクマネジメントに取り組むかリスクマネジメント目標
Whereどこで行うかリスクマネジメント目標
What何を行うか実施事項
Howどのように行うか実施方法
Whenいつ始めて、いつ完了するか開始日、終了日
※この期間が決まっていないと取り組みの効果を測定できない
Who誰が担当するか担当者
※担当者名や役割内容を細分化する。
往々にして生じる「私の担当範囲じゃないと思ってました」を未然に防ぐ。

(6) 実施状況の確認

「実施計画を策定して実施するまでは行ったけれど、その後の経過確認はできていない」ということも多いです。そのため、予めKPI(成果目標)を立てていくことを推奨します。

計画で立てた期間について、いつまでにどこまで進んでいないといけないかを設定しましょう。その際は、具体的に数値で決めることが重要です。

一言メモ

人事評価と同様に、目標管理にあたっては客観的・定量的に測れるものがよいでしょう。取り組みが遅れていないかなどをチェックする上でもKPI設定は重要です。

▼成果目標の例

項目成果目標測定方法
労働時間管理の徹底タイムカードの打刻忘れを0%にする達成率
ハラスメントリスクの低減職場メンバーの80%に外部研修を受講させる受講率
反社会的勢力との取引全ての取引先と誓約書を取り交わす達成率
業務ミスのリスク軽減毎月の課内ミーティングにおいて、発生した業務ミスやトラブルについて原因と対策を共有する実施率
メンタルヘルス不調リスクの軽減職場メンバー全員と定期面談を実施する実施率
情報漏洩リスクの低減媒体ごとの管理ルールを策定する実施率

策定した計画を形骸化させないためには、定期的に実施状況を確認することが重要です。実施状況を確認するためには、成果指標を設定し、その達成度合いを管理することが有効です。

リスクマネジメントに関してはSトレにお任せください!

リスクマネジメントに関してはSトレにお任せ

リスクマネジメントを実施する上で管理職に求められる役割は、未然防止と再発防止を実施することです。

管理職の皆さんには、今職場で生じているリスクを低減させるのか、回避するのか、あるいは別の角度から考え直す必要があるのかを考えていくことが求められます。
そして、それを「誰が」「どのように」「いつまでに」実施していくべきなのかを整理し、明確にし、実施、継続していきます。

Sトレーニングの管理職研修の中には、リスクマネジメントについての知識を習得し、実践まで支援するプログラムもございます。効率的かつ効果的な取り組みの実施を検討されている場合は、是非Sトレーニングの管理職研修をご活用ください。

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【管理職向け】不祥事の変遷から学ぶリスクマネジメント!再発防止事例も紹介!https://s-tore.co.jp/management-training/1920/Fri, 22 Sep 2023 12:46:44 +0000https://s-tore.co.jp/?p=1920

近年、セクハラ・パワハラ・情報セキュリティ等に端を発する不祥事が顕在化しており、労働環境の悪化や生産活動の停止等により、企業の生産活動に悪影響が生じています。こうした事態に対して、問題の発生を抑制するためには、管理職の方 ...

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近年、セクハラ・パワハラ・情報セキュリティ等に端を発する不祥事が顕在化しており、労働環境の悪化や生産活動の停止等により、企業の生産活動に悪影響が生じています。こうした事態に対して、問題の発生を抑制するためには、管理職の方々を対象とした教育・研修を実施することが効果的と考えます。そのため、今回のコラムは管理職の皆さんを対象に記載いたします。

本コラムを管理職の方に読んでいただきたい理由は、下記の2点です。

  1. 職場で発生する可能性のあるトラブルとその対応方法について理解していただく
  2. リスクマネジメントの基本的な考え方と対応手順を理解していただく

現場管理職の皆さんは日々様々な問題やトラブルに直面されています。そういった問題やトラブルの未然防止・再発防止を検討される際に、知っておいていただきたいリスクマネジメントの基本的な手順について記載いたします。知識を習得していただいた後は、本内容を社内教育に活用していただけましたら幸いです。

企業不祥事の変遷

企業不祥事の変遷

2000年代以降に起こった主な企業不祥事のうち、その時代の特徴を表したものを記載します。
以下の表と併せてご覧ください。

年代業界代表的な不祥事事例
2000年代2000年食品メーカー乳製品の生産設備において停電が発生し、基準を超える病原菌が発生したが、製造責任者が隠蔽し、市場に流通したことで約15,000人に上る集団食中毒が発生した。
2000年
2004年
自動車メーカー18件約69万台にのぼるリコールに繋がる重大不具合情報を監督官庁へ報告せず、社内で隠蔽していることが内部告発により発覚した。
その後も74万台にのぼるリコール隠しが発覚し、一連のリコール隠しにより2件の死亡事故が発生した。
2007年飲食店賞味/消費期限の改ざん、産地偽装、食べ残しの再提供などを経営陣の指示の元、恒常的に行っていたことが内部告発をきっかけに発覚。
2010年代初頭2011年精密機器メーカーバブル期の巨額損失を隠すために経営陣主導で不透明なM&A取引と会計処理を行っていたことが週刊誌で報じられ、独自調査を行った社長が解任された。
2011年製紙メーカー創業家出身の経営者が子会社から取締役会の決議や賃借契約を作成しないまま個人的な融資を受け、多額の未返済融資が発生したため、特別背任で逮捕・起訴された。
2015年総合電機メーカー経営トップ主導で利益の水増しや不適切な会計処理の強要など一連の不正を行い、7年間で1500億円以上の利益のかさ上げをした。
2010年代後半2015年広告代理店長時間労働が常態化していた状況で、上司による勤務時間の過少申告の指示、セクシャルハラスメント・パワーハラスメントが行われたことで従業員が自殺した。
2018年スポーツ団体特定の選手に対するパワーハラスメント発言や練習の妨害等の事案が第三者員会によって認定され、スポーツ団体としてパワーハラスメントの事実があったとされ、選手強化本部長が引責辞任した。
2019年飲食チェーン店アルバイトの従業員がSNSに職場における不適切な動画を投稿した結果、情報が拡散し社会問題化した。当該企業は全店舗一斉休業し、従業員の研修を行った。

2000年代

食品メーカーによる大規模な食中毒や食品偽装、自動車メーカーによる大規模なリコール隠しなどがメディアで大きく取り上げられました。

これらの不祥事では、企業トップのメディア対応のまずさが注目を集めましたが、皆さんに注目していただきたいのは、これらの不祥事発覚のきっかけです。2000年代に記載している3件とも発覚のきっかけとなったのは、従業員等による内部告発です。

一言メモ

2003年がCSR経営元年と言われていますが、このころから企業の社会的責任という言葉が浸透し始めたことから、順法意識も高まり、企業の不祥事を内部から告発する動きがみられるようになりました。

2010年代初頭

企業トップによる不適切な会計処理に関連する不祥事がいくつか発生しました。これらの不祥事をメディアが報じる際に言及していたのが、企業統治のあり方です。

CSRに対する社会全体での理解が進み、企業は経営者のためのものではなく、株主・従業員・取引先などをはじめとしたステークホルダーを意識した経営が求められるようになり、そうした経営管理体制が十分に整備されていない、もしくは機能していないことが問題視されました。

2010年代後半

コーポレートガバナンスに関する不祥事に加え、より職場での問題や部下マネージメントに起因する問題が企業不祥事として注目を集めるようになりました。この背景には、ワーキングプアやブラック企業などの劣悪な労働環境を表現する言葉が一般化し、職場環境に対する関心が高まったことや、社会全体として人権を尊重する意識が醸成されたことがあります。

各種ハラスメントに対して、厳格に対処されるようになったり、職場に多様な従業員が混在するようになり、職場のマネージメントが難しくなってきた状況に対処しきれていなかったりしたことが考えられます。メディア等で取り上げられる企業不祥事が、企業の問題だけでなく、職場の問題も対象となってきています。

近年、コンプライアンスに対する社会の意識が急速に高まっていることから、企業不祥事が発生した際には、ステークホルダーに対して情報開示をしていくことが求められています。そのため、これまでは社内対応で処理できていた不祥事も、外部に対して情報開示されます。

その結果、取引先との取引中止や営業活動の停止といった事態に陥ったり、不祥事の事後対応で職場が機能不全に陥ったりする可能性があり、決して他人事として捉えることはできません。

次に皆さんの職場でも起こりえる可能性の高い不祥事の例を記載します。

企業を取り巻くリスクと対応

企業を取り巻くリスクと対応

どの不祥事も悪意のない出来事がきっかけであったとしても、顕在化した後では、その対応次第で企業活動に大きな影響を与えてしまう結果に繋がります。

問題を顕在化させないためには、平時から対応を講じておくことや、顕在化した際の対応を決めておくことで、影響を小さくすることができます。

企業には様々な不祥事やトラブルに繋がるリスクがあります。一般的に、企業が保有するリスクは、以下の表のように分類できます。

分類全社的対応職場の対応
自然災害リスク● 建屋・設備の耐震化検討
● 災害発生時の事業継続体制の構築
● 職場の減災対策
● 従業員との連絡体制の整備
● 災害発生時の仕入れ先等の代替先の検討
オペレーショナルリスク● 事務処理のシステム化・機械化の推進
● 情報セキュリティ対策の検討
● 内部監査体制の構築
● 業務手順の見直し・標準化
コンプライアンスリスク● 遵法意識醸成に向けた教育・研修の実施
● 社内規程の整備・見直し
● 内部通報窓口の設置
● 業務手順の見直し
環境リスク● 自然災害・設備故障等による有害物質漏洩等の対応策検討
● 土壌・地下水汚染等の把握
人事・労務リスク● 労働法規に関する教育・研修の実施
● 働き方改革の推進
● ストレスチェック制度の運営
● 勤務時間・休暇取得状況の把握
● ハラスメント防止の意識醸成
戦略リスク● 新規事業・海外進出・企業買収・設備投資等のリスクの把握

出典:大和総研(2015),「「攻め」のリスクマネジメントに向けて」

自然災害リスク、オペレーショナルリスク、コンプライアンスリスク、環境リスク、人事・労務リスク、戦略リスクのように分類することができ、これらの分類ごとに全社的な対応、それらを受けて実施される職場の対応といった形で対応手順が定められます。

職場で起こりうる主な不祥事・トラブル

職場で起こりうる主な不祥事・トラブル

「ヒューマンエラーの発生」、「ハラスメントの発生」、「メンタルヘルス不調者の発生」、「長時間労働の発生」の4つは特に職場で発生しやすく、対策の重要性が高いです。

不祥事の内容が移り変わり「職場」の問題に焦点が当てられてきています(バイトテロ等)。また、規模の大きな企業だけでなく、中小・零細企業もリスクにさらされていることを自覚する必要があります。

では、どのようなリスクを予期して準備しておけばよいのでしょうか。
以下に記載します。

対策の優先度が高いリスク

以下は「発生頻度」と「発生した際の影響」の両方が高いため、対策の優先度が高いと言えるでしょう。

項目リスク
ヒューマンエラーの発生不注意によるメールの誤送信顧客からのクレーム・情報流出
安全確認の怠り怪我
ハラスメントの発生パワハラ、セクハラ、マタハラ特にパワハラは対策について法制化されたこともあり、企業が訴訟対象となる可能性も高くなった。
他の2つは「男女雇用機会均等法」や「育児介護休業法」で対策が義務付けられている。
長時間労働の発生メンタルヘルス不調者の発生過重労働撲滅特別対策班(かとく)が発足されたり、法改正があったりと取り締まりがどんどん厳しくなっている。

再発防止事例

「ヒューマンエラーの発生」、「ハラスメントの発生」、「メンタルヘルス不調者の発生」、「長時間労働の発生」の4つについて、発生防止のための標準的な取り組み事項を記載します。

項目未然防止発生後の再発防止
ヒューマンエラーの発生①提供サービスにおける人的ミスのリストアップ
②対策が打たれている人的ミスの消し込み
③人的ミスの要因検討
④人的ミスの対策案検討
⑤対策の実施
ハラスメントの発生①良好な職場環境を維持する役目
②雇用管理上の危機管理の問題であるという認識
③自社の方針、防止対策を知ること
④決して行為者にならないこと
⑤事案が生じた場合の相談対応者としての役割
⑥事後対応のキーマンとしての役目
長時間労働の発生①時間外・休日労働時間の削減
②健康管理体制の整備・健康診断の実施
③長時間労働者に対し面接指導等を実施

ヒューマンエラーをなくすための取り組みステップは、「提供サービスにおける人的ミスのリストアップ」「対策が打たれている人的ミスの消し込み」「人的ミスの要因検討」「人的ミスの対策案検討」「対策の実施」の5点があり、管理職はそのすべてに関与し推進していくことが重要です。

職場におけるハラスメントを防止するために、管理職としてどのように対策に係わるべきかについて、6つの観点があります。

長時間労働の発生と、それによる健康障害を防ぐためには3つの取り組みが必要です。
特に「時間外・休日労働時間の削減」については、管理職の果たす役割が影響します。

不祥事の変遷から学ぶリスクマネジメントまとめ

不祥事の変遷から学ぶリスクマネジメント

ここまで、企業不祥事の変遷から企業を取り巻くリスクと対応、職場で起こりうる主な不祥事・トラブルと、対策の優先度が高いリスク並びに再発防止事例について記載しました。具体的に管理職はどのようにリスクマネジメントを実践していくべきなのでしょうか。管理職のリスクマネジメントについては【管理職向け】効果的なリスクマネジメントの具体的な方法とは?事例を元に詳しく解説に纏めましたので是非ご覧ください。

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ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の概要と中小企業が取り組む方法を解説https://s-tore.co.jp/personnel-rating-system/1809/Thu, 14 Sep 2023 07:05:49 +0000https://s-tore.co.jp/?p=1809

現在、多くの日本企業に注目されている「ジョブ型雇用」は、日本で主流の雇用形態である「メンバーシップ型雇用」とは異なる雇用形態です。 スキルを重視した採用を行い、結果、生産性の向上につながるといった特徴を持つジョブ型雇用は ...

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現在、多くの日本企業に注目されている「ジョブ型雇用」は、日本で主流の雇用形態である「メンバーシップ型雇用」とは異なる雇用形態です。

スキルを重視した採用を行い、結果、生産性の向上につながるといった特徴を持つジョブ型雇用は、急速にグローバル化する世界経済に対応する雇用形態と言われています。

今回はジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の概要ならびに今後中小企業が取り組むべき事項について、組織マネジメントコンサルタントの立場としてお伝えできる内容を解説します。

「ジョブ型雇用」と「メンバーシップ型雇用」

「ジョブ型雇用」と「メンバーシップ型雇用」
正社員(正規雇用労働者)については、厚生労働省が2012年3月にとりまとめた「非正規雇用問題に係るビジョン」において詳細に述べられています。この文書によれば、正社員とは以下の3つの要素に基づいて特徴づけられます。

    ①労働契約の期間が定められていないこと
    ②所定労働時間がフルタイムであること
    ③直接雇用であること

また、大企業で一般的に見られる正社員の形態は、長期雇用慣行に基づいて以下の要素を備えています。

    ④勤続年数に応じた処遇と雇用管理の体系が存在すること(勤続年数に応じた賃金体系、昇進・昇格、配置、能力開発など)
    ⑤勤務地や業務内容に制約がなく、時間外労働が発生すること

これらの要素を満たす形態が、正社員として一般的に議論されています。

また、人材マネジメントの基本的なアプローチには、ジョブ型雇用メンバーシップ型雇用という考え方があります。

人材マネジメントの基本的なアプローチ
  • ジョブ型雇用
    仕事内容を明確に定義し、それに適した人材を選定する雇用方法
  • メンバーシップ型雇用
    人材を中心に配置し、人と仕事の結びつきを柔軟に調整する雇用方法

日本の正社員制度は、「メンバーシップ型」雇用の特徴を強調したものとされており、上記の要素(④および⑤)はこの特徴を反映していると考えられます。

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の特徴

ジョブ型雇用メンバーシップ型雇用
採用担当職務(ジョブ)を明確にして採用職務を明確にせず、組織の一員(メンバー)として採用
異動少ない多い
育成スペシャリスト育成ゼネラリスト育成
報酬職務(ジョブ)に応じて決定(職務給)能力(スキル)に応じて決定(職務給)
制度職務等級制度(仕事基準の制度)職務資格制度(人基準の制度)
特徴欧米企業に多い日本企業に多い

引用:日本総研

ジョブ型雇用とメンバーシップ型のメリットとデメリット

ジョブ型雇用とメンバーシップ型のメリットとデメリット

ジョブ型雇用とメンバーシップ型の特徴については前述したとおりですが、それぞれメリットとデメリットがあります。メリットとデメリットを表で紹介しますので是非ご参考ください。

ジョブ型雇用のメリット・デメリット

ジョブ型雇用は、業務内容、求める能力、労働時間、勤務地が明確に定められた上で人材を採用する雇用形態です。

以下に従業員と企業の立場での、メリットとデメリットを記載します。

メリットデメリット
従業員1.専門職の仕事に集中できる
職務記述書以外の仕事を行う義務がないため、自分の専門分野の仕事に集中できます。

2.スキルアップすることで高い報酬を得られる
スキルが評価基準になるため、自分でスキルを磨くことで高い報酬を得られ、厚待遇の企業への転職も可能です。
1.新卒社員の活躍の場が限定される
専門的なスキルや知識があることを前提に雇用されるため、一般的に研修がなく、新卒社員は活躍の場が限定されるうえに常に自己研鑽を続けなければなりません。

2.仕事がなくなった際のリスクが高い
総合職と異なり他の分野の仕事経験が極端に少ないため、専門スキルを活かした仕事が社内でなくなれば退職せざるを得なくなります。
企業1.雇用のミスマッチがなくなる
求職者は事前に勤務内容を把握してから入社するため、企業の求めるスキルなどとのズレや希望する職務と与えられる仕事の違いが生じづらくなります。そのため、こうしたミスマッチから生じる従業員のモチベーションの低下を防げます。

2.専門分野に強い人材を採用できる
業務範囲を限定するため、より専門性の高い人材を採用しやすくなります。
1.企業側の都合で転勤や異動ができない
職務記述書にて勤務内容や勤務地が限定されているため、急ぎの欠員補充や人材育成の必要が社内で発生しても転勤や移動を命じることができません。

2.より条件の良い企業に転職されやすい
勤務内容が限定されていることから社内でのキャリアアップが難しく、スキルが高まった従業員がより条件の良い企業に転職してしまうリスクが高くなります。

メンバーシップ型雇用のメリット・デメリット

メンバーシップ型雇用は、年功序列、終身雇用、新卒一括採用が前提とされる、従来の一般的な雇用形態です。

以下に従業員と企業の立場での、メリットとデメリットを記載します。

メリットデメリット
従業員1.多様なスキルを身につけられる
定期的なジョブローテーションによって多様なスキルや知識を身につけられます。

2.スキルがなくても採用される
研修制度が整っている場合が多く、未経験や専門的なスキルがなくても採用してもらえます。
1.長時間労働に陥りやすい
勤務内容が限定されていないため仕事の幅が広く、長時間労働に陥りやすくなります。

2.特定分野のスキルを伸ばせない
定期的なジョブローテーションによって部署や仕事内容が変わるため、得意分野のスキルは伸ばせない可能性があります。
企業1.長期的な人材育成ができる
終身雇用が前提のため、ジョブローテーションによって従業員に多様なスキルや経験を習得してもらうことができます。

2.柔軟に人材の配置や異動ができる
企業の方針変更や欠員補助、人材育成などの理由で従業員に異動や転勤を命じることによって柔軟な組織づくりが可能です。
1.専門職の人材が不足しやすい
企業内での教育が前提ですが、ITエンジニアなどの専門分野においては教育体制が整っていないことが多く、専門分野の人材が不足しがちです。

2.人件費が割高になりやすい
年齢や勤続年数を重ねるごとに報酬が上がる仕組みのため、人件費が割高になる傾向があります。

政府や経団連の方針と労働政策の変遷

政府や経団連の方針と労働政策の変遷

2022年の骨太方針は多様な働き方として「ジョブ型雇用」に言及

政府の施策方針では、2022年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太方針)の第2章「新しい資本主義に向けた改革」の「1.新しい資本主義に向けた重点投資分野 (1)人への投資と分配」で、「ジョブ型の雇用形態」についての言及があります。

人的資本投資の取組とともに、働く人のエンゲージメントと生産性を高めていくことを目指して働き方改革を進め、働く人の個々のニーズに基づいてジョブ型の雇用形態を始め多様な働き方を選択でき、活躍できる環境の整備に取り組む

経済財政運営と改革の基本方針2022

上記の様に同方針は「ジョブ型」を多様な働き方の1つの形態として着目しています。その上で、労働契約関係の明確化、就業場所や業務の変更の範囲の明示、専門知識や技能を持った新卒学生などの一層の活躍を促進するための採用方法の検討、フリーランスが安心して働ける環境の整備、優れたテレワークの普及、多様なキャリア形成を推進するための副業・兼業の支援などが、今後の施策メニューとして挙げられています。

経団連の「2023年版経営労働政策特別委員会報告」

人材とは競争力の源泉であり、グローバルでの競争力を高めていくには、国境を越えて優秀な人材から選ばれる企業にならなければなりません。また、DXへの対応が急務となる中で、専門性の高い人材が企業から求められています。

経団連は「2023年版経営労働政策特別委員会報告」の中で、「(2)円滑な労働移動に資する企業における制度整備」の項において、制度整備の1つの具体策として自社型雇用システムの確立を挙げています。

報告は、グローバル化の進展やDX・GX(※1)を見据えて企業が競争力を高めるためには、社外から必要な人材を採用して定着を図るとともに、「社内においては、自社の事業ポートフォリオの組替えに合わせて、成長が見込まれる事業分野・部門等に人材を重点配置していく必要がある」と強調しています。

DX・GX(※1)
  • DXとは
    デジタルトランスフォーメーション。テクノロジーを導入した単なるデジタル活用ではなく、変革そのものを実現することです。変革を実現するためには、まずは戦略やビジョンを明確にし、組織トップのコミットメントをもとに、ビジネスモデルや人材・組織をあるべき姿に変え、それに基づくデータ活用やプラットフォーム変革などの実装を進めることが重要です。さらには継続的なアップデートも求められます。
  • GXとは
    グリーントランスフォーメーション。温室効果ガスを発生させる化石燃料から太陽光発電などのクリーンエネルギー中心へと転換し、経済社会システム全体を変革しようとする取り組みを指します。

各企業が最適な「自社型雇用システム」を確立するのが望ましい

さらに、特定の仕事や職務、役割、ポストに人を割り当てる「ジョブ型雇用」は、該当職務に必要な能力、スキル、待遇などを明確にすることで、働く人が自身の能力向上やスキルアップの目標を立てやすくし、主体的なキャリア形成やエンゲージメント向上につながるだけでなく、外部の才能を受け入れやすくし、円滑な労働移動にも寄与する制度の整備と言えます。

社内においても、事業戦略に基づいて特定の分野や部門に必要な人材を集中配置する「ジョブ型雇用」は、能力開発と人材移動をスムーズに結びつける面で優れています。ただし、同報告書は同時に、「メンバーシップ型雇用」の利点を最大限に活用しつつ、各企業が最適な「自社型雇用システム」を確立することが望ましいとも指摘しています。

岸田政権における労働政策の変遷

「新しい日本型資本主義」を掲げて2021年10月に発足した岸田政権は、同月に「新しい資本主義実現会議」を設置し、その第1回会議で「人への投資」を重要なテーマとして取り上げました。

ジョブ型雇用を導入しても、自社で働くことの意義や価値が不明確であれば、優秀な人材が退職する可能性が高まります。たとえば、企業の理念や価値観に共感するなど、企業に残る魅力が必要です。

ジョブ型雇用を単に導入するだけでは、転職者が増加するだけであり、その維持には独自の魅力が求められます。中小企業には大企業とは異なる強みがあります。ジョブの明確化は、既存の人事評価制度や賃金体系との整合性や調和の問題を浮き彫りにする可能性が高いと考えられます。

中小企業の人材育成は外部専門家のアドバイスが必要

大企業とは異なり、中堅・中小企業が人材を確保し、人材育成を考える際には、私たちのような外部専門家による実践的なアドバイスが不可欠であると考えます。

今後中堅・中小企業が取り組むべき事項

今後中堅・中小企業が取り組むべき事項

働き方の現状と課題について

全ての従業員が企業の競争力向上に貢献できるような組織を構築するためには、企業全体で人材への投資を積極的に行うことが不可欠です。

従来、日本企業の強みは企業固有のスキルをOJTで身につけることでしたが、急速に変化する産業環境に柔軟に適応するためには、企業固有のスキルだけではなく、デジタル技術などの企業を越えたスキルや新たなスキルへの投資も重要です。これにより、企業は新たな価値を創造し、持続的な成長を実現できます。

また、企業の成長を考える際には、人材投資を受けた人材が他の企業に流出するリスクなどがあるため、この点に対処するための対策が必要です。同時に、労働者も企業の人材投資を評価し、人材育成に積極的な企業への転職を考える可能性が高まるでしょう。

実際に「あさがくナビ2024」で「研修・教育制度」をテーマに実施したアンケート結果を見ると、いかに研修や教育制度に力を入れているかが就職活動において重要かが分かります。

【TOPICS】
(1) 就職活動において、「研修・教育制度を知ると志望度が上がる」と回答した学生が9割に迫る
(2) 就職活動において、「研修・教育制度を重視する」と回答した学生が8割を超える
(3) 研修・教育制度で重視するものは「社内研修の実施」が最多。
  次いで「資格取得支援」「異動や配属の希望制度」

【調査の背景】
終身雇用が当たり前ではなくなりつつある今、働き手による主体的なキャリア形成への関心が高まっています。
現在就職活動をしている2024年卒の学生は、「企業の研修・教育制度」をどの程度重視しているか、アンケートを実施しました。

「あさがくナビ2024」のアンケート結果より抜粋

人材不足の中で、育成に力を入れることはますます重要となると言えるでしょう。
そのため、企業内の人材育成においては、一人ひとりのキャリア志向を大切にしつつ、個人に焦点を当てた人事評価や育成が重要です。

デジタル技術への対応・リスキリング

近年のIT技術の進化などにより、短期間で環境が大きく変化する現代において、持続的な価値創造を実現するには、迅速に変化に適応できるスキルを確保することが企業にとって不可欠です。そのためには、新たな必要なスキルを適切に評価し、必要であれば従業員のリスキリング(※2)を推進する必要があります。

リスキリング(※2)

新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応して価値を創造し続けるために、必要なスキルを獲得する/させることを指します

リスキリングに取り組む際、企業は従業員に対して、経営戦略として社会や経済の変化に適応する必要性や、企業がどのように変革し、そのためにどの能力や技術が必要で、何を学ぶべきかといった具体的なビジョンを伝える必要があります。

同時に、従業員個人も変化を前向きに捉え、新たなスキルを身につける意欲を持つことが重要です。自己啓発とリスキリングへの積極的な意識を持ち、自身のキャリア発展に向けて努力する姿勢が求められます。

IT技術が特に注目

リスキリングの中でも、最近ではIT技術が特に注目されています。DXを推進する際には、専門知識を備えつつ、デジタルツールを駆使して問題の発見や解決方法を理解する人材が非常に重要とされています。リスキリングは、新しい機器や技術の使用だけでなく、課題解決の提案や推進を通じて、新たな価値を創造できるようにすることが必要です。

リスキリングの必要性・目的意識

AI 等の新技術の導入によって、新規事業の創出のみならず既存事業の業務プロセスの変化も進むため、リスキリングやデジタル技術への対応に本格的に取り組むには、全ての従業員が取り組むことが重要です。

新しい仕事のアプローチが従業員が浸透していなければ、仕事の課題を達成することは難しいです。しかし、自己啓発を積極的に行う者は多いとは言えず、さらに、自己啓発を支援するために実際に費用をかけている企業の割合も低いのが現状です。

従業員が従来とは異なる仕事のアプローチを習得し、課題解決能力を獲得するには時間がかかります。変化に適応できない従業員に対しては、企業は変化への対応の必要性を丁寧に説明し、その過程で新たなマインドセットを醸成し、実際の学習機会を提供する必要があります。リスキリングの支援やスキル取得に関する評価基準を明確にし、従業員に働きかけていくことによって、変化に柔軟に対応できる人材を増やしていくことが肝要です。

全ての従業員が対象である理由
  1. 全ての従業員でないとDXの実現は困難
    企業が本格的なDXを目指せば、バリューチェーン上のあらゆる場面で仕事のやり方や職務が変化する。その際、全ての従業員が新しい仕事のやり方に習熟したり、新たな職務の遂行に必要なスキルを獲得できていなければ、DXの実現は困難であるから。
  2. 仕事の課題感とデジタルの知識の掛け合わせが重要
    企業がデジタル技術を活用して事業課題を解決していく上で、業務の非効率や顧客の声に接する第一線の従業員が、仕事の課題感とデジタルの知識を掛け合わせて解決策を提案・推進できることが重要だから。
  3. デジタルの知識なしだとコミュニケーションが難しい
    管理職に就く人にとっても、デジタルの知識なしに部下や他部署とのコミュニケーションや意思決定を行うことが難しくなるから。

リスキリングには目的意識が重要

リスキリングは、なぜ学ぶのか、学んだ上で自分がどんな仕事ができるようになるかといった目的意識が重要です。企業がリスキリングの必要性を明確にし、積極的にリスキリングの機会を設けるとともに、経営者が自ら積極的に学んでメッセージを示すなど、労使でのコミュニケーションも重要と言えるでしょう。

一方、多くの日本企業が中小企業で占められており、瞬時に変わるビジネス環境の中で、企業の存続と成長のためには新たな事業展開などが必要です。このような切迫性から、中小企業にとってはリスキリングが不可欠です。

しかし、中小企業は人的リソースが限られているため、時間と大きな費用をかけずに、必要なタイミングでスキルを向上させる機会を提供する必要があります。また、社内の透明性や経営者の影響力も重要な要因となります。

一部の企業は存続の危機感から労使が共通の理解を持ち、リスキリングに成功しているケースもありますが、中堅・中小企業の経営者の中には、まだ一歩踏み出せていない方も多いのが現実です。

中堅・中小企業のリスキリングを導入できない背景
  1. デジタル技術の導入・活用やそれに伴う仕事の変化への抵抗が大きくなりやすい。
  2. 社外から必要な人材を柔軟に獲得することが難しい。
  3. 現場にとって使い勝手が悪くても、システムの修正コストを負担できない。
  4. リスキリングに時間をかけられない。
  5. 仕事での活用に直接紐づかない訓練や座学のみの研修、一斉研修には慎重になる傾向が高い。

弊社では、DXを進めていく上でポイントになるのは、中間管理職と考えます。企業はそのビジョンを明らかにした上で、中間管理職に、デジタルの基本的な知識や活用方法について知見を提供することが必要です。弊社ではそのための中間管理職研修や管理職研修も実施しております。

経営者のリスキリングと従業員のリスキリング

経営者のリスキリング

ビジョンの明確化、自社の経営課題解決におけるデジタル活用の戦略を描く。

従業員のリスキリング
  1. 使いこなしのリスキリング
    従業員がこれまでと全く異なる仕事のやり方に習熟し、価値創造できるようにする。
  2. 変化創出のリスキリング
    従業員が自らデジタル技術による課題解決を提案・推進できるようにする。
  3. 仕事転換のリスキリング
    DXの進化に伴い、従業員がこれまでと全く異なる仕事に移行できるようにする。

個々の創意工夫を誘発する人材マネジメント

技術や産業構造の変化は急速に進行し、今後ますます事業や仕事の性質が大きく変わっていくでしょう。これに伴い、仕事や事業の性質も頻繁に変遷するため、主体的に自己啓発を行い、キャリアを築いていく能力がますます求められます。

近年、大企業でも転職入職者の割合が増加しており、IT化とDXの影響で専門的なスキルを持つ人材がますます重要視されています。このため、中途採用者を受け入れるための適切な賃金体系などをどのように整備していくかも課題となっています。

そのような中では、従来のような人事部による一元的な管理でやってきたような人材マネジメントから、多様性を尊重し、個々の創意工夫を誘発するような新しい人材マネジメントを展開していく必要があると考えます。

企業がIT化・DXに対応していくためのリスキリング

大企業の人事制度は、新卒一括採用・長期雇用・年功賃金が中心であり、雇用の確保に資する面がある一方、人事システムは減点主義になっており、失敗すると復活が難しいので、イノベーションを阻害しているのではないかという意見もあります。労働の対価として適正に評価・処遇されることは大前提ですが、従業員のリスキリングを推進するためには、新しいスキル取得による能力の向上や新しいことへの挑戦といった意欲も適正に評価・処遇することは、これまで以上に重要であると考えます。

また、企業がIT化・DXに対応していくためには、既存社員への Off-JT 研修等によるリスキリングも必要であり、やはり管理職のデジタル技術の知識や業務のデジタル化への理解が重要と言えるでしょう。

目指す姿
  • 従業員一人ひとりの専門性の強化、人材の多様性の確保により、最適な人員配置が実現している。
  • 従業員一人ひとりが自らの強み・課題を認識し、自ら育ち、成果を出すという高い意識を有している。
  • 男性も女性も様々な働き方が可能となり、暮らしが充実することで、仕事に対しても高い意欲で取り組んでいる。
  • 従業員一人ひとりが自らの成長やキャリア形成について、長期的な見通しと自信を持ち、満足している。
  • 働きやすく、成果を生み出しやすい職場風土が醸成されている。

取組の方向性
  • 人材ポートフォリオを踏まえた、高度・複雑な企業課題等に対応できる人材の確保・育成
  • 従業員が高いパフォーマンスを発揮し続けるための仕組みづくり
  • 働き方の多様化への対応を通じた自発的な能力開発等の推進

人材マネジメント戦略
  • これまでの人事制度を見直し、採用・退職、能力開発・研修、人事評価・給与、異動・任用といった各領域の人事施策を、首尾一貫した方針に基づき一体的に実施する。
  • 個々の従業員に強みや課題を認識させるとともに、多様な働き方の選択を可能とすることで、自らのキャリアを主体的に考え、そのキャリア形成に向けて自発的に成長していくことを支援する。
  • 数値目標を盛り込むことで、PDCAを「見える化」する。

日本ではホワイトカラーを中心としてジョブ型人事を導入する動き

企業の中には、いわゆるジョブ型人事と呼ばれるような人事制度を新しく導入する動きが出てきています。このような人事制度の導入については、企業が導入の目的や働く人に何を求めるかが重要です。

ジョブ型雇用は、狭義には職務が雇用契約に明示的に記載され、それに応じて労働時間も制約される雇用形態です。この雇用形態は、徹底的な分業の中で特定の職務に焦点を当てた雇用管理を指し、特に欧米ではブルーカラー労働者を中心に採用されてきました。

近年、日本でも、ホワイトカラー労働者を中心に職務と待遇を明確化する観点から、ジョブ型雇用の導入が進んでいます。しかし、欧米で確立されたジョブ型雇用と比較すると、日本では従来から企業が持っていた人事権が強力であり、この新しい雇用形態の導入に際しては、若手の育成を妨げる可能性があるジョブローテーションの実施が難しいという課題も浮上しています。

多様な人材の才能を最大限に活用し、新たな人材を育てる障壁を取り除くためには、企業内での労使双方の対話が重要です。

ジョブ型人事の導入において必要となる配慮
  1. ポストに見合った人材を広く社内・社外から求める必要がある。
  2. キャリアアップに伴う再教育支援の仕組みが不可欠である。
  3. 労働者一人ひとりのキャリア志向に対応する必要がある。
  4. 職務以外の情報共有や組織貢献意欲を促す仕組みが不可欠である。

そのため、ジョブ型人事の導入に当たっては、事前に丁寧な労使コミュニケーションを行うことが必要であり、導入に当たっては、企業の目的や戦略を明らかにすることと、従業員のキャリア自律やスキル取得の機会を確保することが重要です。つまり、企業としてジョブ型人事を適用していく際には、従業員一人ひとりが持つ特性や資質が重視されることが重要と言えます。

人事評価制度に透明性や客観性が求められる時代に

日本においても、ジョブ型人事と呼ばれる人事制度を導入している企業は増えていますが、欧米のジョブ型雇用とは異なるアプローチを採用しているケースがあります。具体的には、①新卒採用時には職務遂行能力ではなく潜在能力を重視し、採用後に一定期間の研修を行うこと、②本人の希望による公募制を採用しながらも、最終的な人事異動の権限は会社に委ねるという「メンバーシップ型人事」の要素と「ジョブ型人事」の要素を組み合わせています。

今後、各企業においては、経営戦略に最適な人事制度を考案することが非常に重要です。たとえば、トヨタ自動車はメンバーシップ型の雇用形態を採用しており、これは企業のDNAに「モノづくりは人づくり」という確固たる価値観が根付いているとともに、人間性を重視し、中長期的な視点で人材を育成する能力があるかもしれません。しかし、これだけに限らず、すべての企業が同じアプローチを採用できるわけではありません。

なぜなら、ジョブ型雇用は「雇用や評価に透明性をもたらす」という利点があり、経済成長期の時代とは異なり、現代では人事制度に納得感や透明性が求められています。環境が急速に変化する現代において、企業の雇用システムや人事評価制度は従来の方法にとどまることなく、変革が必要です。それが、優秀な人材を獲得し続け、確保するための不可欠なステップです。

人事評価制度の3つの原則
  1. 公平性の原則
    評価される側は他人と同じ土俵で評価されることを望む。それゆえ、決められた一定の期間において、全員を同じ方法で評価する。
  2. 客観性の原則
    評価者による差異を極力少なくするために、決められた基準や項目で評価を実施する。ゆえに評価者に対する教育や訓練を行い、尺度の差を少なくする。さらに差を少なくするために、評価基準や評価項目を具体的に明記し、評価内容の確認や評価者同士の基準のすり合わせを行う。
  3. 透明性の原則
    客観的に評価を行なうために設けた基準や項目を、評価される側に公開する。具体的に記述された評価項目とその内容は行動指針にもなる。評価シートを目の前にして、できている項目やできていない項目を上司と部下で話し合う。

企業に求められる対応と従業員に求められる対応

企業に求められる対応と従業員に求められる対応

企業に求められる対応

企業が成長していくためには新たな技術を労働者が身につけることが必要であり、リスキリングの必要性を明確にした上で、経営者、管理職、現場従業員の全てのレベルで、リスキリングを含めた能力開発に主体的に取り組んでいくための動機付け、環境整備が必要です。
しかし、日本の企業は欧米と比較して人材投資が著しく少ないのが実態です。

人材投資をコストとして捉えるのではなく、無形資産投資や非財務価値を高める意識が重要です。学んだことに対する価値、身につけたスキルに対して対価を払うことや、自社内でのスキルに見合った人材の再配置を行うことによって、結果として企業にリターンが返ってくるので、学び直しやスキル取得のインセンティブを高める好循環を作っていく必要があります。

管理職には一人ひとりに合った繊細なマネジメントが必要

また、多様な人材が働く現代において、キャリア志向やワークライフバランスの確保、エンゲージメントの向上は重要なテーマとなっており、管理職には一人ひとりに合った繊細なマネジメントが必要です。特に、新型コロナウイルスの影響でテレワークの普及が進み、管理職は従来の「目の前にいる部下」から「在宅勤務をする部下」へと適切な業務の配分や管理を行う必要が生じ、管理職や中間管理職の業務内容と負担が大幅に変化しました。

このため、人事部門においては、管理職向けの研修プログラム(例: 1on1ミーティングの実施方法に関する研修など)の充実と改善、管理職の業務負担軽減策の開発が不可欠です。企業活動に従事する労働者は、雇用形態や属性に関わらず、価値創造の重要な要素です。企業は、全ての労働者に対して、労働条件の向上やキャリア形成に貢献する能力向上の機会を提供し、その責任を果たす必要があります。

従業員に求められる対応

多くの変化が短期間に起こる現状においては、過剰に変化を恐れるのではなく、変化を前向きに捉えて対応していくことが求められます。経営者、管理職、現場従業員の全ての階層で、リスキリングに主体的に取り組んでいく必要があるのです。先述した産業構造の変化や、AI等の新技術の導入による働き方を取り巻く環境の変化に対応していくため、従業員自らが自律的にキャリア形成や学びを深めていくことが必要です。

現在の加速する社会・経済の変化の中では、働き方や必要とされる職業能力も短期間に大きく変化していきます。大きく変化していく環境においては、企業による人材育成に加えて、一人ひとりの従業員が職業能力を高めていけるよう自律的にキャリアについて考えることも必要です。企業の取組だけでは十分に機会が確保されないことも想定されます。このため、リスキリングについても、従業員一人ひとりが力強く成長できるよう、意識して取り組んでいくことが重要です。

ジョブ型雇用に不安ならSトレにお任せください

ジョブ型雇用に関してはSトレにお任せください

ジョブ型雇用やメンバーシップ型雇用はあくまでも仕組みであり理念ではありません。企業で従業員が「はたらく」ことの意義から逆算し、制度の導入を検討すべきでしょう。

日本型の雇用について何らかの改善施策を打つことは必要かもしれませんが、「ジョブ型雇用」か「メンバーシップ型雇用」かの二択で考えるのではなく、自社の実態に合わせた最善策を検討する必要があります。

また、ジョブ型雇用に関する正しい理解の不足や判断に不安を感じる場合には、外部の知見や支援も有効と考えます。経営者だけが知識を習得しても、幹部・管理職以下が理解し、その下の現場従業員まで正しく浸透していかなければ、組織の改革にはつながりません。

ジョブ型雇用にはメリットも多くありますが課題もあるため、メンバーシップ型雇用を継続しつつ徐々に移行するとよいでしょう。尚、ジョブ型雇用が良い悪いというのではなく、新たな制度を導入する際には企業全体の大改革が必要であるということを理解した上で、特に関係者は団結し、1人の力では動かせない大きく重い石を転がしていくように力を併せて前進をさせていくことが何より重要です。その上で外部の力を借りて進めていくことは有効だと考えますので、弊社にもお気軽にお問い合わせください。

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人材育成は、職場を離れて実施する研修「Off-JT」、職場で行う「OJT」、従業員自身が行う「自己啓発」の3つが柱です。その中でも、職場で仕事を通じて行われる「OJT」は、日々の業務の中で個別に具体的な助言や指導が可能であり、人材育成の基本となるものです。そこで今回は、多くの上司が経験するであろう、OJTの実施のポイントについて記載いたします。

効果的なOJTの進め方

OJTの進め方

OJTでは、業務を通じて、教わる側(部下)の思考と業務に必要な能力や知識を高めていきます。教える側(上司)は、部下の現状を良く観察し、思考と業務に必要な能力を同時に高めていくという視点を持ってOJTを進めていくことが重要です。

初めに上司は、部下の思考と業務に必要な能力を観察し、それぞれが現在どのような状態なのか、それによりどのように教えていくのかを検討します【他者理解】。そして業務に必要な知識やノウハウを【説明】し、実際に実践で【任せ】、進捗状況や理解度に応じて【説明する】・【気づかせる】・【後押しする】ことを繰り返します。上記のサイクルを回すことで、成果を出す行動ができるようになります。

OJT実施のポイント① 相手を良く知る

OJTにおいては、相手に教える前の信頼関係構築に加え、相手を理解することがとても重要です。

求められているスキルや任せたい仕事をただ伝えるのではなく、相手の状況(業務知識や経験、取り巻く状況)を把握していくことで、相手にとっても効果的なOJTにつながります。そのためには、普段から下記の2点に気をつけて、相手のことを良く知ることが重要です。

観察すること

日頃から表情や態度、状況の変化をよく観察することで、言葉に表れてこない感情や行動のサインを見つけられるようになります。

相手の話をよく聴くこと

人は相談されると「アドバイスをしなければいけない」「判断しなければいけない」と思いがちですが、まずは相手の話を聴き切ることが非常に重要です。
職場で相手の話を聴く姿勢を持つことで、相互理解が進みます。

OJT実施のポイント② 指導する対象者のタイプ別に接し方を変える

リーダーシップに関する研究の中に、リーダーシップ状況論があります。その中の代表的な理論に、ハーシー&ブランチャードの「SL(Situational Leadership)理論」があります。

これは、部下・後輩の能力と意欲に応じて、有効なリーダーシップ・スタイルは異なるという考えです。この理論を使うと相手を4つのタイプに分けることができます。

SL理論で見るタイプ別部下指導のポイント

もし現在の指導が上手くいっていないと感じた時や、どのように接したらよいか悩んだ際には、指導する部下・後輩のタイプを考え、現在の状況により接し方を変えてみることも効果があるかもしれません。

委任型(能力が高く、意識も高い)

成熟度が高く、高能力、高意欲の相手には「委任型」の形をとります。
課題や進め方などはコーチングを使いながら本人が自発的に考えるように促し、意思決定、執行の責任など社員に任せていくことが効果的です。

参加型(能力は高いが、意識は低い)

成熟度が中程度で、高能力、低意欲の相手には「参加型」の形をとります。
コーチングを活用し、相手の発言や意見を引き出す会議やプロジェクトに参加させることも効果的です。

説得型(能力は低いが、意識は高い)

成熟度が中程度で、低能力、高意欲の社員に対しては「説得型」の形をとります。
理由・意義などを丁寧に説明し、有意味感を持たせ、本人ができるところは気づかせながら自主的に行動させていくことが効果的です。

指示型(能力が低く、意識も低い)

社員の成熟度が低い場合(低能力、低意欲)には「指示型」の形をとります。
何を、いつ、どこで、どのようにと具体的に説明し、その後任せることで行動しやすくさせる必要があります。

管理職はOJTを通じて、部下や後輩が「委任型」に成長していくことを目指しましょう。

タイプ部下・後輩のタイプ接し方
委任型能力が高く、意識も高い意思決定、執行の責任など社員に任せていく
参加型能力は高いが、意識は低い相手の発言や意見を引き出す会議やプロジェクトに参加させる
説得型能力は低いが、意識は高い本人ができるところは気づかせながら自主的に行動させていく
指示型能力が低く、意識も低い具体的に説明し、その後任せることで行動しやすくさせる

OJT実施のポイント③ 実際に教えたことを試す

OJTにおいて、上司が部下に、実際に教えたことを試させることが重要です。一度で全てできるようになることではなく、実際に試してみることで、イメージがより具体的になり、また理解度の漏れなどを相互に確認することができます。

教わる側の主体性を尊重し、また始めから完璧を求めずに何度も試させ、説明することを繰り返していくことで、教わる側は説明内容が腑に落ち、少しずつ実践できるようになります。

試させる上での注意点
  • 依頼内容を説明する
    依頼内容を説明し相手の理解度を高めます。
  • 必要な情報や判断基準を与える
    仕事を実施するために必要な情報や、迷った時の判断基準(相談先)などを伝えることで、行動しやすくなります。
  • 報告・連絡・相談のタイミングを確認する
    仕事の性質で報告のタイミングは変わりますが、教わる側任せにするのではなく、どのタイミングで報告や相談が欲しいか設定することが重要です。
  • 支援する
    仕事を任せた後は任せきりにせず、必要に応じて進行中の業務状況を確認・軌道修正を促し、責任を持ち、支援します。そして結果を振り返り、必要な知識を説明したり、気づかせるよう、働きかけます。

OJT実施のポイント④ OJTの課題分析を行う

いくら指導・助言をしても、上手く伝わらない、何も行動が変わらないと感じることは多々あることでしょう。以下に職場でよくある場合を事例として対応のヒントや職場の人材育成のポイントを紹介しています。

OJTで何か課題を感じたら、まずは以下の視点で多角的に分析してみてください。

OJTの課題分析ポイント
  • 相手に業務知識や経験があるか
    ⇒相手はどの程度業務の知識、経験があるか
    ⇒相手の立場に立った伝え方ができているか
    ⇒相手の理解度を確認しているか
  • 相手のことを理解し、尊重しているか
    ⇒相手にレッテルを貼っていないか
    ⇒相手の意図を尊重しているか
    ⇒感情的になっていないか
  • 職場全体で取り組めているか
    ⇒一人で抱え込んでいないか
    ⇒上司や先輩、同僚をいかに巻き込むか
    ⇒環境づくりはどのように行っていくか
  • 相手に必要な関わり方は何か
    ⇒一人で抱え込んでいないか
    ⇒上司や先輩、同僚をいかに巻き込むか
    ⇒環境づくりはどのように行っていくか
  • 相手に必要な関わり方は何か
    ⇒相手が期待される立場や役割は何か
    ⇒相手の気づきにつながらない、指導・助言を繰り返していないか
    ⇒相手はどのような支援を求めているのか

OJTは自社の型として浸透させていくのかが重要

OJTは自社の型として浸透させていくのかが重要

「OJT」は、研修の中でも実施時間が長いため、「OJT」をどれだけ自社の型として、浸透させて行けるかが重要です。まずは、OJT実施者が、OJT実施のポイント①~④をよく理解していただき、実践することが重要です。

「OJTについてどうすればよいか分からない」という方は是非Sトレにご相談ください。

OJT実施者にも負荷がかかりますが、長期的視点で捉えると、入社直後にしっかりと教え込むことがいかに重要であるかがわかるでしょう。日々の業務の中での指導の積み重ねを大切にしていかれてください。

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